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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第七章 対立

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目を回して何か言い出した

恐ろしく更新が遅く申し訳ないです。。

ブックマークを解除せずお待ちくださった方本当にありがとうございます!

よろしくお願いします。

混乱回。



 結局カジさんを探さず、そのままメージー砦に戻ってきた。

 イユーさんへ何て言おうかと悩みながらの足取りはとても重い。

 

 ああ、イユーさんを悲しませると思うと憂鬱だ。


 そんな私の気持ちとは対照的に、戻ってきた砦内で挨拶を交わす兵士達の顔つきは、今までの張り詰めたような険しいものでなく、どこか皆安堵したようなものに変わっていた。

 

 きっとここへも終戦の知らせが届いたんだ。

 戦闘の最前線であるここにいる兵士達はそりゃ嬉しいよね。

 

 行き交う兵士達の生き生きとした表情を目にして、さっきまで重かった私の足取りも自然と軽くなっていった。

 イユーさんへ言い難い事に変わりはないけど、言わなければならい事にも変わりはない。

 ならば早く伝えよう。


 そして、充てがわれた部屋の前に着いて部屋を開けるも、誰もいない。

 もしかしたらイユーさんがいるかもしれないと思ったけど部屋は無人だ。

 それならと、隣の部屋をノックする。

 すると、中から誰何されたので答えると扉が開かれた。


「お二人ともお疲れ様でした」


 そう言ってナージンさんが出迎えてくれる。


「ただいまー!」

「ただいまです……疲れました流石に。ヒースさんはまだ戻ってないですよね? イユーさんは大丈夫です?」

「だいぶお疲れですな。どうぞ中へ。ヒース殿はまだです。イユーチェ王女は念の為救護室で休まれていますよ」

「そうですか、あ、失礼します。……後で……様子を見てきます。オリちゃんお腹空いてるよね? ヒースさんが戻るまでもう少し時間がかかるかもしれないから先にご飯食べる?」

「うーん、お腹すいたけど、ヒース様を待つ!」


 そう満面の笑みで言われた。

 途中少し眠ったりしたけど、今日一日動きっぱなしだったし、今はもう夕食どき。

 それなのに文句ひとつ言わず付き合ってくれてからのこの一言ですよ、マジ天使。

 そして、まだまだ元気が有り余ってる感じは、とても羨ましい。


「じゃ、ヒースさんが帰ってきたら一緒に食べようか。今日はデザート奮発するね」

「やったー!!」


 ぴょんぴょん飛び跳ねるオリちゃんに癒され、ナージンさん達の部屋でしばしの休憩。

 そこでナージンさんにカジさんのことを伝えた。


「そうですか、恐らくユエさんの見立て通りご無事でしょうな。そして、暫く戻ってくる事は無いでしょう」

「……ナージンさん、こうなることも察してました?」

「可能性は考えておりましたな」

「はぁ……イユーさんにこの事を伝えますけど、その後どうしたら良いと思います?」

「そうですなあ……イユーチェ王女がとれる選択肢は幾つかありますが、現在混乱中のムガド国への帰国の線は薄いでしょう」

「何故?」

「賢者殿とイユーチェ王女は駆け落ち同然で国を出ており、それは国民も知る所の様です。それに加え、モジンバル帝国の人質となってしまった事により、ムガド国は動揺したでしょう。その隙をつかれて、あれほどの速さで侵略される事になったとも言えますから。それを踏まえてイユーチェ王女の帰国は歓迎されない可能性が高いですな。その事はご本人も理解されているでしょう」

「……」


「まあ、生き残っている王族がいなかった場合、必要とされる可能性も残っていますが」と平然と感情のこもらない声で説明してくれたナージンさんがちょっと怖かった。

 

 何となく前にカジさんが訳あってムガド国には帰れないって言ってた時に、駆け落ちかなーとは察してた。

 でも、だからこそそれをわかってて一人で行ってしまったカジさんに沸々と怒りが沸いてくる。

 イユーさんが頼れる人はカジさんしかいないのに。


「あの無責任、腹が立つ!!」

「まあ、賢者殿はユエさんがイユーチェ王女を放って置かないと踏んでもいるでしょうけどな」

「……余計腹立つ!!!」


 確かにこのままイユーさんを放って、他の国に行くなんて気分になれない事は自分が良く分かってる。

 それを踏まえて去っていったと考えたら心底腹が立つ。

 カジさんに今後会うようなことがあっても、シカトしよう。

 そして絶対【買い付け】アプリの物は渡さないと心に決めた。


 それから程なくしてヒースさんが戻ってきて、四人で砦内の食堂で夕食を食べ、言葉通りオリちゃんへデザートをこれでもかと提供し、一人でイユーさんのいる救護室へ向かった。


♢♢♢

 

 救護室内のカーテンで区切られた場所にイユーさんがいると、衛生兵が教えてくれた。


 そこへ向かうまでの救護室内には、応急手当てはされているが新たに怪我を負った兵士達が何人か寝かされていたので、衛生兵に許可を取って回復魔法をかけていった。

 殆どの兵士が眠りについていたので、そのまま起こさず魔法を掛けていくと、苦痛に歪んでいた顔つきが和らぎ、安らかな寝息へと変わる。

 安らかに眠る兵士達を見て、私はこの国とは関係ないけど、多くの命を守るために戦ってくれてありがとうという気持ちが湧いてくる。

 でも、安らかだった寝息が、盛大な鼾へと変わり、救護室内に響き渡るのが可笑しくて思わず笑ってしまった。

 それと同時にもう大丈夫だろうとカーテンの奥にいるであろうイユーさんの元へ向かった。


 救護室内にこだましている鼾でイユーさんはきっと起きているだろうと、小さくカーテン越しに声をかけると、案の定返答がありカーテン内へと入れてもらう。


 そこには今朝よりも幾分顔色が良くなったイユーさんが、上半身を起こした状態でベッドの背にもたれかかっていた。

 

「スズキ様、このような体勢で失礼かと存じますが、まずは御礼を。此度の終戦へのご助力感謝の念に耐えません」


 顔を合わせるなりそう深々と頭を下げて言われてしまった。


「え、あ、いえ、どういたしまして……体調は大丈夫そうですか?」

「ふふふ、ええ。お陰様で食欲も戻り、後は少しずつ体力を付けていくばかりです」

「良かった……けど、あの、その……伝えなければならないことがあります」

「……はい」

「止めたんですが、カジさんは恐らくモジンバルへ行ってしまいました。いつ帰ってくるかもわかりません」

「……そうですか」


 私の端的な説明に、少し間はあったもののイユーさんは顔色を変える事なくそう言った。


「え、あ……イユーさんは今後どうしたいですか? 希望があれば言ってください……私にできる範囲ならお手伝いを、」

「スズキ様。既にご存知と思いますが、私は貴方様にお会いした際、ムガド国王女としてご挨拶申し上げましたが、本来その身分はとうに無いのです。身分を偽ったにも関わらず、このような私に心を砕いてくださりありがとうございます。そして、申し訳ございませんでした。これ以上皆様にご迷惑をお掛けする事の無いよう、私は修道院へ参ります」

「え、」

 

 そうはっきりと私の目を見てイユーさんは言った。


「で、でも、カジさんが戻って……」

「そうですね、ヒデオ様は戻ってくださるかもしれません。ですが、私は自分の身勝手で国を去り、剰え国を危機に陥れた身。ヒデオ様が戻って下さったとて、修道院へ参る所存です」

「え、」

「スズキ様、大変心苦しいお願いではございますが、近くの街の修道院へお連れ頂けませんでしょうか」

「え、」

「その後ご迷惑をお掛けする事はございませんので、何卒お願い申し上げます」

「え、」


 また深々と頭を下げられてしまった。

 あまりにもイユーさんの目が覚悟を決めていて、何を言ってもその気持ちは揺らがないんだと思わされる。

 きっと私がここに訪ねたらカジさんの事は関係なく、そう言おうと決めていたんじゃないだろうか。


 私がイユーさんの言葉に動揺して何も返せずにいると、さっきまで響いていた兵士達の鼾が止み、急に救護室が騒がしくなった。

 そして、「治癒師殿はこちらか!!」という声と同時にいきなり引かれていたカーテンが勢いよく開けられた。


「え、誰!?」


 ついビックリして声が出てしまったら、カーテンを開けた大柄な男性が私に焦点を合わせた。

 座っていた私は首が痛くなるほどその男性は背が高く、ガッチリとした体格で、顔にいくつも古傷が見える。

 四十代位に見えるその男性は、いきなり私の手を取った。


「治癒士殿、兵士達を救ってくれた事深く感謝している!」

「え!? いえ、あの、どちら様です?」

「治癒師様、この砦の総司令官、シュトライダー辺境伯レオラ様でございます」


 既にイユーさんの話で混乱している私にさらに動揺させる男性に誰なのか問うと、いつの間にか大柄男性の横にいた眼鏡をかけた男性が辺境伯であると教えてくれた。


「え!? 総司令官!? あ、スミマセン、ご挨拶せず。トウコ・スズキと申します。お役に立てて何よりです」

「本に感謝している。国からも教会へ治癒師の派遣を依頼していた。だが、ついぞ叶わず、負傷兵は増えるばかりで頭を抱えていたところへ其方と共の者が現れ、回復魔法を施してくれたと聞いたのだ。瀕死の者までも助かったと。其方らがいなければ助からない命があったと言う事だ。礼が遅くなった事をここに詫びる」

「とんでもない……良かったです」

「おお、つい掴んでしまっていたか、失礼した」

「いえ」


 なかなか力強く握られて確かに痛かったけど、その分感謝の気持ちが伝わってきた。

 いきなり入ってきて、用件のみバーっと言う感じにはビックリしてるけど、人を呼び付けるのではなく、自ら出向いてくれて、身分もない私にお礼が言える貴族って少ないんじゃないかな?

 しかも兵士達を思って。

 きっと一人一人と向き合ってくれる人なんだと、勝手にいい人枠に位置付けた。


「夜分に騒がせてしまって済まなかったな。謝礼に関しては明日以降決まったら報告しよう。そこの者もゆっく……」


 シュトライダー辺境伯が私からベッドに横になっているイユーさんへ目線を移したと思ったら、大きく目を見開いて固まってしまった。

 どうした?

 イユーさんも分からないみたいで、首を傾げてキョトンとしている。


「ッ!? イ、イユ、イ、イエ、イユーチ、イ!?」

「え、何!?」


 さっきまでスラスラと話していたガタイの良い総司令官がいきなり慌てて吃り出すとか、ちょっと怖いんだけど、何事?


「イユ、イユ、イイイイイ」

「レオラ様落ち着いて下さい」


 隣にいた眼鏡をかけた男性がシュトライダー辺境伯へ落ち着くように言うが、見る見るうちにシュトライダー辺境伯は顔を赤くし、目が回り始める。


「イ、イユー、チェおう、おう、王女……け、け、」

「あ……」


 やばい、この人はイユーさんが王女だって知ってる人だったか!

 イユーさんもそれを察したらしく、顔色が悪くなっていく。


「レオラ様、深呼吸をして下さい」

「ふっ、ふっ、ふぅ、はぁ……け、け、け結婚して下さい!!!」

「「「……」」」

「……はい?」


 いやマジで「はい?」だわ。

 もうこれ以上私を混乱させないでくれ!!






ここまでお読みくださり、ありがとうございます!

今までのを読み返して、だいぶ辻褄があっていないところが多く、申し訳ない限りです。

ちょっとずつ修正していこうと思います。

そして、毎回言ってますが、更新頑張ります。。

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