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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第七章 対立

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もう、追わなくて良いでしょ

とんでも無く更新が遅くなり申し訳ありません。。

ブックマークを解除せずいてくださった方々、本当にありがとうござます!

なのに面白くなかったらごめんなさい…

宜しくお願いします!!




 さて、モジンバル本陣に張った結界を解くとしますか。


 今の私は、腕を前で縛られている状態だけど、ストレージに入れておいたものは念じれば手元に引き寄せられるから、スマホも難なく取り出せる。

 私の今の位置的にはヒースさんが盾になり、兵士からは見えていないはずだ。


(じゃ、カジさんオフにしますね)

 

 私の前にいるカジさんに聞こえるくらいの小声でそう伝えると、カジさんはうんとひとつ頷いて、結界に両腕を手首の位置まで差し込んだ。

 それを見て私が、毎日で設定しておいた“予定”をオフにする。

 するとその瞬間、乳白色だった結界は消え去り、中にいた兵士達が現れた。


「「「……っ!?」」」

「「おぉぉー!!!」」


 中にいた兵士達は唖然とし、外にいた兵士達は歓喜し中へ走り出す。

 何とも対照的な反応。

 中にいた兵士達は、外の兵士の歓喜姿を見てようやく状況が飲み込めたようで、何人かがいくつもあるテントの中で一際大きなテントに向かって走って行った。

 心無しか中の兵士達はやつれている様に見える。

 それから暫くして。


「賢者か! 良くやった! ん? そいつらは何だ?」


 奥から、体格は細身だが、いかにも上官です!と言わんばかりに軍服に幾つも勲章がついた偉そうな態度の人が出てきて、カジさんに声を掛けた。


「……捕虜です。使えそうな能力を持っていたので司令官にご報告を」


 そう答えたカジさんの目には、憎悪が宿っている気がする。

 

「そうか、しかし、女は兎も角、子供は役に立たんだろうに。まあ良い。こっちだ」


 本当に偉そうだ。

 だけど、その偉そうな人に言われるまま一際大きなテントへ向かう。

 入室の許可を取り中へ入ると、大きな木のテーブルを囲み五人の男達が慌ただしく議論をしていた。


「これは誠なのか!?」

「何かの手違いか、敵の罠ではないでしょうか!?」

「ムムム……」

「漸く訳の分からない状況から解放されたと言うのに、次から次へと、どうなっているのだ!!」

「どうなされたんです?」


 私たちを案内した偉そうな奴が、テーブルを囲んでいる人達に問いかけた。

 案内した奴が敬語なんだから、幹部や司令官なんだろうと察する。


「どうしたもこうしたもない! 今しがた皇帝陛下が敗戦を認めたと知らせが来たのだ!!」

「何ですと!?」

「おい賢者! お前は何か知らんのか!!」


 結界を解除した事で途絶えていた連絡が取れるようになったんだろう。

 恐らく魔道具か何かで。

 でなければ皇帝の敗戦を認めたって知らせが、遠く離れたこの場所で今知る事はできないはず。


「ふふ……ハハ、ハーハハハハー!!!」

「何、何なのだ!? とうとう気でも触れたか!?」


 問いかけられたカジさんは、見下す様な笑いをした。

 その姿を見た幹部らしき人達はより一層混乱している様だ。

 その間に私、ヒースさん、オリちゃんは縄を解き、私たちの周りにだけ見えない結界を張る。

 気づかれるかなと思ったけど、皆混乱してるからか全く私たちが目に入っていない様だ。

 そんなんで大丈夫か、司令室。


「そうだよな、お前ら何も知らないもんな。これ見ろよ。ああ、触るなよ?」

「き、貴様何を偉そうに」

「それは何なのだ」

「お、おい、敗戦を認めると陛下の署名が……」

「本物であるはずがない!! 偽物であろう!!」

「それを寄越せ!!」

「触んじゃねぇ!!」

「ゴフッッ!!」


 口々にカジさんの無礼を咎めたり、誓約書を見て絶句したりと様々な様子を見せる中、案内して来た偉そうな奴が誓約書を奪おうとした。

 が、カジさんの反対の手から出た水の球を受け、後方に吹っ飛んでいった。

 その勢いでテントの一部が壊れる。

 もう良いだろうと呟いたカジさんは天井に向けて風の魔法を勢いよく放ち、テントは上空に吹き飛び、外から中が丸見え状態に。

 そして、外にいた兵士達が驚きこちらに注目する。

 

「何故だ、隷属紋を刻まれておるのに……我らには攻撃出来ないはずではないのか!?」

「ハハ、そんなもんはもうねぇよ! お前らは終いだ! ハーハッハハハ!!! これでもくらえよ!」


 そこからは、どっちが悪役かわからない位カジさんの独壇場となった。

 なんかトルネードみたいな魔法やら、雷みたいなの、地面を盛り上げて足場を失わせたり、落とし穴を作ったりとやりたい放題。

 お偉いさん方を守るように兵が集まってきたけど、その多くの兵がそれらに巻き込まれ飛ばされていく。

 見た目は派手だけど、一応殺傷能力の低い魔法を放ってくれているので、飛ばされても兵士なら平気だろう、耐えている人もいるし。

 私たちは特にやることが無いので、場所を端に移し結界の中で待機。

 私達来る意味あったかな?と思ったけど、まあ、一応カジさんのストッパーって意味で必要だと思おう。

 しかし、敵に反撃を許さないほど魔法を素早く連発してるカジさんだけど、魔力は大丈夫だろうか。


「皇帝は敗戦を認めたんだ!! 殺られたくなかったらとっとと帝国に帰れ!」


 そう言って最後に一際大きい嵐のような魔法を放つ。

 その魔法が落ち着き辺りが見渡せる様になると、偉い人達の姿は無く、一般兵達が沢山呻き転がっていると言う惨状だけが残っていた。


「えぇ……カジさんやり過ぎじゃないですか?」

「ハァ、ハァ、ハァ、」

「しかし、皇帝が敗戦を認めているとは言え、仮にも戦争を仕掛けた国側の幹部クラスが一人も残らないとは。手加減された攻撃である事もわかるだろうに、実に情けない」


 カジさんは魔力の使い過ぎか、肩で息をしながらこちらに向かっていて、ヒースさんは敵の軟弱さを嘆いているようだ。

 

「手加減してのアレだから分が悪いと思ったんですかねぇ。しかも賢者が味方だと思ってたから油断してたんだろうし。所で、カジさん大丈夫です?」

「ハア、ハア、ハア、き、きつい」

「お、お疲れ様でした……カジさんはこれ飲んで休んでて下さい。オリちゃん、危ない怪我を負ってる人がいないか見てもらってもいい? 私はあっちから見てくから、オリちゃんはこっちから」

「はーい!」

「ングッ! お、おい、その子供はともかく、スズキさん一人では危険だ! あんたレベル低いから手負の兵士でも危ない」

「確かに戦闘力はないですけど、言われると何かなぁ……でも大丈夫です。私、怪我しないので」

「はあ?」


 どこかのドラマで聞いた様なセリフを言ってしまったが、これは絶対大丈夫と自信を持っていえる。

 “予定”スキル様のおかげ。


 MPポーションを飲んで落ち着いたカジさんの言う事は無視して、オリちゃんと手分けして危ない状態の人がいないか確認して行った。

 オリちゃんは全く関係ないのに、嫌な顔せず手伝ってくれる。

 本当に良い子だ……

 幸い、カジさんの手加減のおかげで瀕死な人はいなかったけど、ちょっと痛々しい怪我をした人は盛り沢山。

 治す義理なんてないけど、今後生きるに支障がありそうな怪我だけは治して行った。

 この転がっている人たちの中にも、無理矢理従軍させられた人がいるかもと思ったら、気の毒に思えてしまったから仕方ない。

 はい、また私の完全なる自己満足のためにオリちゃんに手伝ってもらいました、ごめんなさい。


 見回っているうちに気絶から覚めた兵達には「これ以上は攻撃しないから、さっさと帰れ」とも言ってある。

 驚いたような顔をして、無言で何度も頷いていたから自分たちで何とかしてくれるだろう。


 それに、早く移動しなければ、そのうちメズラム側の兵達が来るだろう事は容易に想像できるから、急いで逃げるだろうよ。

 

 なので、ある程度の回復を行った私達は、これ以上関わるのはやめ、メージー砦に戻る事にした。


♢♢♢


「……なぁ、このまま皇帝のところへ連れてってくれないか?」


 メージー砦への帰り、グンちゃんに運んでもらっている籠の中でカジさんがそう言ってきた。

 ヒースさんは私たちが乗ってきた馬で戻ってくれているので、この場にはいない。


「っ、……嫌です」

「頼む! グリフォンならすぐ着くだろ! そのまま置いてきて良いから!」

「嫌です! イユーさんのためにメズラム国で休息を取るって言ってたじゃないですか! なのに、いかにも“会ったら殺す”って顔に書いてある人を送り届けるなんて事、できる訳ないでしょ! 何の為に私がここまで着いてきたと思ってるんですか!」

「分かってる! 分かってるけど、あんなんじゃ、気が晴れない。怒りがおさまらないんだ……」

「……」

「頼む、頼むよ……っ」


 何度も頼むよと咽び泣きながら言うカジさんを見ると、流されてハイなんて言ってしまいそうになったけど、言うことを聞くわけにはいかない。

 殺さないからと言われたって今のカジさんでは全く説得力がない。

 むしろ、必ずやり遂げそうなほどだ。


「……ごめんなさい……」

「……これだけ、頼んでも無理なのか、そうか」


 ヤバイ、カジさんの目が据わっててヤバイ。

 え、この感じ攻撃される?

 え、どうしよう、オリちゃんを守らな……


「じゃ、ここで降りるわ」


 急に片足を籠の淵に掛けそう言ったカジさんは、私の言葉を待たず飛び降りた。


「……へっ?」

「グンちゃん追って!」

「っ、ヤバイ、早く打たなきゃ、っ、間違えた、」


 私は何が起きたのか瞬時に理解できなかったけど、オリちゃんの言葉で状況を理解して、“予定”スキルに入力を試みたけど焦って打ち間違う。

 上空千メートルは超えてるこの場所から、人が落ちたら地上にはどのくらいでたどり着くのかも分からない。

 焦りながらも何とか「ヒデオ・カジは怪我をしない」と入力し、実行ボタンを押そうとした時、下の方から大きな爆発音が響いた。

 きっと、地上への激突前にカジさんが風魔法かなんかで威力を殺そうとしたのかもしれない。

 でも、それに驚いて私は実行ボタンを押すのが遅れた。

 それでも何とか実行ボタンを押すと、自動入力される十分程度の短時間設定にも関わらず、魔力を二百も持っていかれた。

 いつもなら終日設定で百程なのにだ。


 グンちゃんに追ってもらって、一分以内には地上に降りる事が出来た。

 ちょっとその場を見るのが怖かったけど、恐る恐る確認すると、そこには抉られた地面と血の海が広がっているだけでカジさんの姿が見当たらない。


 一際窪んだ中心から少し血を引きずったような跡があるけど、それは途中から途絶えていた。

 

 どう言う事だろう?

 とりあえず姿がないと言う事と、体を引きずった跡がある事から生きているだろう事には安心した。

 でも、あんな高さから落ちてこれだけの血を流したなら動けないはずなのに、今この場に見当たらないのは何故なのか?

 もしかしたら上級ポーションを持ってたのかもしれない。

 結局、本人がこの場にいないから分かりようがない。


「トコ様、多分あっち!」


 オリちゃんがそう言って前方を指した。

 きっと、カジさんが向かった方角だろう。


「……」

「トコ様?」


 私はその方角を見て、悩んだ。


 どうしよう、追うべき?

 あの高さから飛び降りるほど意志が固いなら、私が何を言っても響かない気がする。

 それに、今朝イユーさんの涙に絆されてたくせに、それでも飛び降りたんだから、止めても無駄じゃね?と思ってしまった。

 怪我をしないって“予定”スキルが実行出来たなら、カジさんの負った怪我は治ったのかもしれない。

 あんだけ魔力を持ってかれたんだから、そんな気がしてきた。

 うん、逃げるように降りてったなら追う必要ないな。

 薄情なのかな?

 これがオリちゃんやヒースさんだったら確実に追うけど、カジさんにそこまで思い入れないし、同郷ってだけだし。

 あそこまで助けたんだから、もう良いでしょ。


「オリちゃんありがとう。追うのは……いいや」

「? そうなの?」

「グンちゃんも追ってくれてありがとう。ごめんね、帰ろうか」


 あぁ……イユーさんになんて言おう……

 きっと悲しむんだろうなぁ……

 あの野郎、今度あったら覚えてろよ。

 絶対お米とかあげないからな!


 




ここまでお読みくださりありがとうございます!

また少し更新が遅くなるかもしれません。。

ただ、早く更新出来るよう頑張ります!


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