色っぽい世界樹
大分更新が遅くなりました…
『ねぇ、聞こえる?』
「えっ!? 誰? えっ?」
『今、貴女は私に触ってるわよ』
えっ?
マジ?
世界樹?
「世界樹が喋ってる……?」
『貴女にだけ話しかけてるわ。やっと意識がはっきりしてきたの。感謝するわ!』
「はぁ、それは良かった。じゃなくて! 世界樹にも意思があり、話す事が出来るなんて……」
『そりゃそうよ、この世界ができた時からいるんだから当たり前でしょ?』
「あぁ……そりゃそうか。ごめんなさい、失礼なこと言って」
『許すわ。ふふ、他の奴だったら許さないけどね』
「……えっ?」
『ふふふ、大丈夫よ、安心して』
いや、何が安心して?
軽い感じで仰ってましたけど、私以外が同じような事言ったら許さなかったの?
どう許さないのかとか、なんとなく怖くて聞けないわ……
『そうそう、ごめんね。貴女の魔力があまりに心地よかったから毎回根こそぎ貰っちゃって。ちょっと意識が薄かったから自制できなかったの。これからはそんな事しないから』
「あぁ……そう、だったんですか」
「ユエ、ユエ、すまない。先程から何と会話をしているのだ?」
「あっ」
後ろからヒースさんに声を掛けられ、私にだけ話しかけていると言った世界樹の言葉を思い出した。
「スミマセン、世界樹から話しかけられて。どうやら意識がハッキリしてきたみたいです」
「意識が……思えばバステト神が彼女と言ってたか。瘴気に侵されていたのが、少しずつ浄化され戻ったという事か。話中遮ってすまない。世界樹との問題はないか?」
「大丈夫です。昨日まで意識がハッキリしなかったから私の魔力を根こそぎ奪ってしまったと、謝罪もしてくれました」
「そうか、では私は下がろう」
そう言ってまた一歩後ろに下がったヒースさん。
ヒースさんの理解力が高過ぎる。
『良い男じゃない』
「ですよね! 私も常々そう思ってます!」
世界樹との会話に戻る。
そして、ヒースさんが良い男なのは完全同意である。
『ふふふ。それより、お陰でだいぶ力が戻って来たけど、まだまだ本調子じゃないわ。もう暫く手伝ってくれるかしら?』
何だか、色っぽい声だよね、世界樹さん。
もし人の形をしてたら、出るとこ出たグラマラスなお身体でちょっと意地悪なお姉様って感じ。
男の人を手玉に取りそうだけど、強い男に弱いような印象。
勝手な声での印象だけど。
「はい、勿論です。カマック様からも一ヶ月毎日って言われましたし」
『あら、カマックが。あいつ、ちっとも手伝ってくれないんだから。神は下界に干渉するものでないとか言ってるらしいけど、この世界作っておいて良い加減よねぇ』
「ははは、私は何とも言えないですね……」
それから少しの間、神様達への不満を募らせた世界樹さんの愚痴を聞いた。
もっと早く対処しろとか、何故私だけにこの世界の浄化を任せるのだとか、色々溜まってらしたよ。
『ふぅ。話を聞いてくれてありがとう。会話をしたのは久しぶりで話し過ぎてしまったわ』
「久しぶりって?」
『意識がハッキリしていた時は、浄化を手伝ってくれてるハン族達ともたまに会話をしてたけど、おそらく、私、何百年単位で意識がハッキリしてなかったと思うわ』
「!? 何百年も意識が!? やっぱ結構ヤバかったんだ……」
『そうよ! 私がいなくなったらこの世界は終わりなのにあいつは!』
さっきから、多分だけどカマック様を“あいつ”呼び。
凄いな世界樹さん。
しかしその気持ちも分からんでもない。
この世界の瘴気を一身に受けてくれているのは彼女だ。
ハン族の方達がお手伝いしていると言っても、瘴気を集め浄化出来るのはこの世で彼女だけ。
私だったら一人でその重責を背負う事なんて出来ないし、多分、数年で精神崩壊しているだろう。
樹齢何年なのか聞いて良いのか分からないけど、この世界ができた時から生き続けてるなら、何千年って話ではない気がするし、そんな途方のない年月ずっと浄化し続けてるなんて……
愚痴だけで留まっている世界樹さんに頭が上がらない。
「世界樹さん、この世界を守ってくれて本当にありがとうございます。私は元々この世界の人間ではなくて、最近来たばかりの新参者だけど、今生きていられるのは貴女のおかげです。本当にありがとうございます」
『ふふふ、良いのよ。これが私の使命だから。でも、この世界の人間じゃ無いの?』
「ええ__」
私は別の世界からこの世界に召喚された事、この世界に来てから受けた扱いの事、カマック様、メル様から加護を頂いた事を話した。
『あら、あいつたまには粋な事するのね。それにしても、ヒドイ話じゃない!』
などと、私の境遇に憤ってくれたり、不便は無いのかなど心配すらしてくれた。
どこまで出来た心の持ち主だ。
この短い時間で世界樹さんの虜だ。
セクシーな良い声だし。
「って、スミマセン。話し過ぎて浄化をまだしてませんでした」
『そうだったわね。ついつい話に夢中になってしまったわ』
「また明日も来ますので、浄化しますね!」
『ありがとう。貴女の魔力は、加護のお陰か心地良いから好きなのよね。そう言えば、大分前にも似た魔力の子が来てくれた事があったわね。思えばあの子も良い男だったわぁ』
男……似た魔力?
もしかして、カマック様の加護を受けた神使と呼ばれた人なのかな?
「それは、神使と呼ばれてた人ですか? って、私名乗ってませんでした! スミマセン、トウコ・スズキと申します。トウコが名前です」
『トウコね、覚えたわ。前に来たあの子は神使とは名乗ってなかったわよ。確か、えーと、そうそう! サルワトールだわ。サルって呼んだら怒られたのを思い出した』
「サル……は、確かに怒るかもしれませんね。サルワトールさんですか」
神使と呼ばれた人の名前は伝わってないって前にエドゥアルドが話してた。
だけど、私と似た魔力って事はカマック様の加護を持ってたのかもしれない。
そう考えると、サルワトールさんが神使な気がする。
もしサルワトールさんが神使なら、全属性使えたらしいし、加護もあるからこの大陸にも来れたよね。
「サルワトールさんも浄化していかれたんですか?」
『ええ、あの子は魔力量が膨大だったから、一度でかなり浄化してくれたのを覚えているわ』
「一度で……凄いですね」
『ふふ、あの子はここに来た時点でかなりレベルが高かったからね。気にしないで』
「ハハ、はい」
やはりサルワトールさんが神使説が濃厚だな。
だからって私がサルワトールさんと張り合う事なんてないし、私は私で頑張ろう。
そして、私は世界樹さんに浄化の魔法を放った。
『ああ、気持ち良いわ。ありがとう』
今日は魔力を吸われる事なく、私のタイミングで止めることが出来た。
「また明日来ます」
『ええ、待っているわ』
そう言って世界樹の根から離れ、ヒースさんの元へ向かった。
「お待たせしました。話し込んでしまってスミマセン……」
「問題ない。今日は気絶する事なく良かったな」
「はい! それに世界樹さんとお話できてよかったです! とても素敵な方でした!」
「そうか」
ちょっと興奮気味に話す私に、ヒースさんは子供を見る様な目でそう言った。
いや、良いんだけどね、なんかちょっと複雑な気分なだけ。
「今日聴き忘れてしまいましたけど、明日世界樹さんにあの話をしてみようと思います」
「世界樹の存在を広めると言う話か?」
「はい。彼女が嫌がるならやめようと思います」
「そうだな、それが良いだろう」
もしかしたら、広めてほしいと思ってないかもしれないから、彼女に意思があるなら聞くべきだよね。
♢♢♢
『えっ? 全然良いわよ。寧ろありがとう、そう思ってくれた事が嬉しいわ』
翌日、世界樹さんに貴女の存在を知らない国が多い事、存在を広めて良いかを聞いた彼女の回答。
これまたあっさりと承諾してくれた。
「で、でも、もしかしたら、貴女を害そうとする者が来るかもしれないですよ?」
『あら、心配してくれるの? ふふふ、ありがとう。でもね、私そんな柔な女じゃないわよ。遥か昔だけど、魔大陸から当時の魔王が攻めてきたけど追い返してやったもの。魔力全て奪ってやったわ』
「す、全て……しかも、魔王を……」
『干からびながら帰っていく様は見ものだったわよ』
「干からび……強いんですね」
『伊達に何百万年と行きてないわよ』
「何百万年……」
さっきから私は鸚鵡返ししか出来ない。
あまりに話が壮大で。
とにかく彼女にとっては何の問題も無いということだけは理解出来たよ。
「じゃ、じゃあ、遠慮なく貴女の偉大さを広めます!」
『ふふふ、好きにして』
世界樹の布教も許可をもらい、今日の浄化を行い、ヒースさんにこの事を伝えた。
「では、私も心して撮らねばな」
「ヒースさんよろしくお願いします!」
まずは、ヤヴォン国の王様とナージンさん、ヨーク国のラミーさん一家に伝えたいな。
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なかなか進みが悪いですが、頑張ります。




