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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第六章 ロッテントーク大陸
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盲信は逆にプレッシャー



「……」

「良く撮れていると思うのだが、どうだろうか?」

「……プロか!?」


 部屋に持ってきて貰った軽食を食べ終え、ヒースさんが昨日撮った世界樹の写真をタブレットで見た私の感想。


 デジカメ渡して四、五日よね?

 私がヒースさんに渡したのは比較的流通している一般的なデジカメだよね?

 何だこの生命力に溢れ、躍動感を感じる写真は。

 今にも写真から出て来そうな位迫力が有る。

 実物を見ている私は、余計にこの写真だけで泣ける。

 私が撮った写真を見せるのが恥ずかしい程だ。

 これもっといいカメラで撮ったらどうなるのだろうか……


「ヒースさん、やはりカメラの才能あると思いますよ……」

「そうだろうか」


 いや、本当ビックリするくらい使いこなしてらっしゃいますよ。

 そこで、昨日考えていた事をヒースさんに話した。

 世界樹の存在を他大陸の人たちに知って欲しいって話。


「そうだな、確かに私もユエに話を聞くまで世界樹の存在を知らなかった。特にヒューマニア大陸で知る国は無いかもしれない。しかし、世界樹の存在を広める事は難しくないと思うぞ。そもそもロッテントークは未踏の地と言われる程だ。人族では瘴気に耐えられず、上陸出来ない事を前提で話すと言うのも手だとは思うが」

「そうか! カマック様も瘴気に耐性がなければ耐えられないって仰ってましたもんね! わざわざ浄化したから上陸出来る様になるかもしれないなんて言わなきゃ良いのか」

「勿論それを前提として、ロッテントーク大陸に住む者の許可を得るべきとは感じるがな」

「浄化の目処が立ったらファンさんに相談してみます! ちょっとスッキリしたなぁ、流石ヒースさんですね!」 

「いや、まだ許可を得ていないからな」

「そうでした。でも、もし許可が得られたらこのカメラでまた世界樹を撮ってもらえますか?」

「!? 何だそれは!?」

「!? ヒースさん近い近い!!」

「ああ……失礼した」


 私がストレージから一眼レフを取り出し見せると、一瞬で私の目の前に移動してきたヒースさん。

 いい顔が近いんだよ!

 カメラとなると急に目の色変えるんだから!


 それから一眼レフカメラについて説明していった。

 終始説明を聞いているヒースさんの目はキラキラしていたよ。

 勿論、世界樹の撮影は意気揚々と請け負ってくれました。


♢♢♢


 翌日、世界樹を前にして私は絶句していた。

 昨日までは根元から数百メートル程しか色の変化がわからなかったが、今は浄化を行った根元から上に幹を通り、下の方の枝から葉まで色が変わっていた。

 それは巨大な世界樹からしたら小さな範囲ではあるが、浄化が進んだそこだけ明らかに光を放っている。

 瘴気に覆われているロッテントークでも、その一部だけは太陽の日が当たっているかのように。


「マジか……」

「美しいな。これが本来の世界樹の姿なのか」


 私とヒースさんが呟く。


 これを自分がやったのか実感が湧かない。

 確かに気絶するほど吸われた感覚はあったけどさ。

 こんなにも劇的に成果が見えるとは思わなかった。


「一部でこれ程までに壮麗なのです。本来の姿を取り戻した世界樹はどれほどなのでしょうか」

 

 そうファンさんが後ろで言った。

 

「本当に……あっ、ファンさん。そこで相談なんですけど__」


 昨日、ヒースさんに相談した話を今した。

 浄化の目処が立ったらって話してたけど、今聞いても良さそうな雰囲気だったから。

 すると。


「私共へのご配慮、望外の喜びでございます。ですが、トウコ様。私共がトウコ様へ許可を出すなど畏れ多い事でございます。トウコ様の思うままお進め下さい」


 と、あっさり返ってきた。


 何度か本当に良いのかと、バオさんやスーリさんにも聞いてみたけど、ファンさんと同意見だと言うばかり。

 やばい、寧ろあっさり許可が降りた事の方が不安になってきた……

 ファンさん達は私が御使って立場だと思ってるから、盲信し過ぎている気がするのよ。

 それが余計にプレッシャーを感じる。


「……私が信用する人にだけ広める事にします……」

「御心のままに」


 ヒィ……どこぞの偉い人だよ私は。


「じゃ、じゃあ今日の浄化を始めますね。あっ、そうだファンさん話は変わるんですけど、世界樹に浄化を行う時、魔力を吸われてる感じはあります?」

「魔力をですか? いいえ、ございません。皆はどうだ?」

「感じた事はございません」

「私もです」


 そうか。

 感じないのか、って事は私だけ?

 いや、今日は違うかもしれないもんね。


「そうですか……じゃ、ヒースさん叫んだらお願いしますね」

「心得た」


 今日は昨日浄化を行った根とは別の、横の根の前に行く。

 昨日とは違い、跪かずそのまま手を根元につけ、魔法を発動した。

 また私の手から少し金色の混じった白色の光が世界樹に注がれる。

 そして、徐々に私が送っている魔力の量よりも多く体から抜け始める。

 嫌な感じはしないのに、何故か自分では世界樹から手を離すことが出来ない。

 

「!? やっぱり! ヒースさん!!」

「わかった」


 そう言ったヒースさんに両腕を掴まれ、強制的に世界樹から手を離す。

 自分では離せなかったが、ヒースさんによって離れる事が出来て良かった。


「トウコ様! 如何されましたか!?」


 ファンさん達皆さんが集まってくる。

 

「ちょっと待って下さいね」


 そんな慌てたファンさん達を置いて、私は自分を鑑定した。

 するとMPが半分以下になっていた。

 たった数秒注いだだけで半分って……


 そして世界樹の方を見ると、私が手を当てた根の部分から幹に向かって、一番低い枝の半分程まで色が変わっていた。

 どこか嬉しそうにキラキラと光を放って。


 そう、どこか世界樹が喜んでいる様に感じるのだ。


 こりゃ完全に私の魔力吸われてるね。

 きっと神様の加護の有る魔力を、世界樹が気に入ったって事なのかな?

 恐るべしカマック様、メル様の加護。

 

「やはり、私が浄化を行うと世界樹に魔力を吸われるみたいです。どこか世界樹が喜んでいる様にも感じるので、このまま浄化は続けます。なので、今後も毎回気絶することになりそうです」

「世界樹の感情……?」

「「「……」」」

「そうか、わかった」


 ハン族の皆さんはスーリさん以外男性で、皆仮面をつけているから顔はわからないが、スーリさんは驚いた表情をしている。

 ヒースさんは流石、顔色を変える事はない。


「じゃ、ヒースさん、残りの魔力も注ぐので宜しくお願いします」

「わかった」


 そして、また世界樹の根に手を当て浄化魔法を注ぐ。

 数秒して意識は遠のいていった。



 それから毎日、ちょっとずつ浄化する根の場所をずらしては魔法を掛け気絶する、と言うことを繰り返し十日が過ぎた。


 屋敷から見える範囲の世界樹は元の色を取り戻している様に見える。

 それに昨日までは下の方の枝と葉だけだったが、今日世界樹を見上げると、上の方の枝や葉っぱまで浄化出来ている様なのだ。

 と言ってもここからではテッペンなんて見ることはできないから、どこまで浄化できてるかは確認出来ないけど。


 しかし、元の色を取り戻しつつある世界樹は、美しいという言葉では表せないな。

 今ではこの姿に慣れて来たが、三日目、四日目の浄化の時は無意識に涙が流れていたもんね。


 そして、ファンさん達ハン族のお偉いさんも今は里に戻っている。

 三日に一回スーリさんが白ハン族の方とお世話しにしてくれるけど、それ以外はヒースさんとバステト様とのんびり過ごしてる。

 勿論毎日気絶してるけどね。

 だけど、気絶から目が覚める時間は短くなっている。

 今では二時間ほどで目覚められるようになった。

 まあ、魔力欠乏でクラクラするのは変わりないけど。

 それと私の総魔力量が上がったのは嬉しい誤算。


 そんな十一日目。

 いつも通り根に手を当てると、いつも通りでない事が起きた。


『ねぇ、聞こえる?』

「えっ!? 誰? えっ?」

『今、貴方は私に触ってるわよ』


 えっ?

 マジ?

 世界樹?

 

ここまでお読みくださりありがとうございます!

ちょっと進みが遅くて申し訳ないです。

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