第70章(最終回):ご安全に! 永遠の現場監督
第70章(最終回):ご安全に! 永遠の現場監督
それから、どれほどの月日が流れたでしょうか。
世界は「盆山工務店」が敷いたインフラの上で、平和で清潔な時代を謳歌していました。
深きダンジョンの最深部。そこには、究極にカスタマイズされた「隠居部屋」で、ハンモックに揺られながらタブレット端末(神域仕様)を眺める盆ちゃんの姿がありました。
「……ふむ。カイルの野郎、聖都の排水管のジョイント、少し緩んでやがるな。……まあいい、あいつなら自分で気づくだろう」
隣では、相変わらず美しいままのレルちゃんが、お茶を淹れています。
「茂さん、本当に幸せそうですね。もう、世界を直しに行かなくていいんですか?」
「……ああ。俺の仕事は終わったんだ。これからは、このハンモックの『揺れ加減』をミリ単位で調整するっていう、最高に贅沢な現場が待ってるからな」
盆ちゃんが目を閉じ、微睡みの中に入ろうとしたその時。
「世界の壁」の向こう側から、微かな「異音」が聞こえてきました。
『……ギギッ、ガガガ……』
盆ちゃんは片目を開けました。
それは、この宇宙(現場)そのものの、新たな「設計ミス」か、あるいは「経年劣化」による軋み音。
「……チッ。あそこのパッキン、安物を使ってやがったな。レルちゃん、悪いが『腰袋』を取ってくれ」
「えっ!? 親方、隠居するんじゃなかったんですか?」
「隠居はしてるさ。だがな……『不安全箇所』を見つけて、そのまま見過ごせるほど、俺の性根は丸くなっちゃいねえんだよ!」
盆ちゃんは愛用のヘルメットを被り、顎紐をパチンと締めました。その瞳には、新人の頃と変わらない、現場への情熱が宿っています。
「レルちゃん、行くぞ! 宇宙の果てまで、大規模改修工事だ!」
「はい、親方! どこまでも、ご一緒しますっ!!」
光の彼方へと駆け出す二人と、それを追いかけるポチとタマ。
盆山工務店の「現場」がある限り、この世界が崩れることは、決してありません。
「よし、野郎ども! ……ご安全に!!」
(完)
ご拝読ありがとうございました┏○ペコッ
尚、後日談の閑話など3章執筆しましたのでそれも良ければお楽しみください┏○ペコッ




