第60章:魔導戦艦の「車検」と、帰還へのバンプアップ
第60章:魔導戦艦の「車検」と、帰還へのバンプアップ
「……おい、支店長。なんだこの船の汚れは。喫水線に魔界のフジツボがびっしりじゃないか。これじゃあ燃費が悪くて『オキナワ』まで辿り着けんぞ」
盆ちゃんは、聖都の港に接岸した盆山丸を見上げ、呆れたように腰袋を叩いた。
魔王はアロハシャツの襟を正し、バツが悪そうに笑う。
「いやぁ、魔界の海は強酸性でな。コーティングが剥げてしまったのだ。済まぬ、盆山殿」
「チッ、これだから『乗りっぱなし』のオーナーは困るんだ。……レルちゃん! 帰還のついでだ。この船を**『最高級キャンピングカー仕様』**にアップグレード(増改築)するぞ!」
「了解です、親方! ついでに神域の『自動追尾・オートクルーズ機能』と、船内『大浴場(露天風呂付き)』も増設しちゃいますねっ!」
「お、おい、レルちゃん。露天風呂はやりすぎ……まあいいか。長旅になるしな」
盆ちゃんは概念模倣で、船体に**『自己修復型・超撥水セラミックコーティング』**を施していく。
アルフレッドや弟子たちも、これが最後の「移動現場」だとばかりに、目を輝かせて作業に加わった。
「アルフレッド、エンジンの魔石を交換しろ。タマ、予備の熱源としてエンジンルームに入って、出力を安定させてくれ」
「キュイッ!(お任せ! 快適なクルーズを約束するよ!)」
数時間後、盆山丸はかつての威容を超え、空飛ぶ五つ星ホテルのような優雅さと、戦艦並みの堅牢さを備えた究極の移動拠点へと進化した。
「よし。積み荷(聖都の特産品とお土産)の積み込み完了! 安全帯よし、足元よし!」
盆ちゃんが船首に立ち、水平線の彼方——かつての拠点『オキナワ・エデン』がある方向を指差した。
「……野郎ども、出航だ! 帰るぞ、俺たちの『本拠地』へ!」
「「「ご安全に!!」」」
聖都の人々、そして新所長となったカイルが見送る中、魔導戦艦は力強いエンジン音を響かせ、夕焼けの空へとゆっくりと浮上していった。
盆山工務店の物語は、今、一周回って「原点」へと回帰する。




