表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/38

第34話

「アネット様は、やりたいこととか、ないのですか? 好きな人の心を射止めること以外にも、何か人生の目標のようなものとか。わたしは、両親や兄弟姉妹と一緒にサヴァツキ家を盛り立てて行くことが目標でした。田舎の貧乏貴族なんて絶対に呼ばせないくらいサヴァツキ家の名前を王国中に轟かせるのが夢でした。もう、達成しちゃいそうですけど」


勢いのままそう言った直後、エリーザは条件反射的に両手で口元を覆った。

もう達成しちゃいそうですけど、なんて余計なことを。

けれども、アネットは特段気にした様子もなく、無表情のまま顔を上げた。


「そんなものないわ。王子様の心を射止めるってこと以外、人生の目標なんてない。高級貴族の娘が目指すのはより良い家柄の王族や貴族に嫁ぐことだけ。もちろん、遊び惚けちゃう人もいるけど、わたしはより良い家柄の男性たちの心を射止めるゲームが好きだったし、自分にとって向いてると思ってた。実際に社交界では無敵で、わたしに惚れない男性貴族なんていなかった。だから父上は、自信を持ってわたしを王子に仕向けた。王子だってわたしに満足してるとわたしは思ってた。『アネットが一番マシだよ。美人で、教養があって、どこの国の指導者に会わせても恥ずかしくはない。その点については間違いなく一番だ』って王子はいつも言ってたから、それを真に受けてた。『マシだよ』が照れ隠しじゃなくて、本気の妥協だったなんて思いもしなかった」


そう言ってから、アネットは首を傾け、久しぶりにエリーザの顔を直視した。


「でも、良かったと思う。わたしはヨハン王子が好きだけど、きっと、わたしと王子の結婚生活ってダメになる運命だったと思う。まぁ、マキシミリアン皇子と上手くいくかも分かんないけどね。国際舞踏会で一度だけ一緒に踊っただけだし」

「それだけで結婚を申し込んできたのですか?」

「そうよ。一目惚れだって。一目で惚れて、一緒に踊ってもっと惚れ込んで、もうこの人と結婚するしかないって思ったって」


寂しそうな表情のアネットに、エリーザは言葉をかけることができない。

美人過ぎて困ることがあるのだなと、エリーザは人生で初めて思った。


「帝国の第四皇子に嫁ぐなんて何のメリットもないのに、断れないって父上は嘆いていてた。でも、自業自得ね。帝国の皇子に見初められるほど魅力的な女性をつくってしまったんだから。マキシミリアン皇子は帝国の美女たちよりもわたしのほうが良いって言うんだから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ