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第010話 魔道具とマジックアイテム

日が落ちる前に村につくことが出来た。

もう夕食の準備の時間のため道に村人もいないので堂々と熊悟郎の家の前までストーンゴーレムでリヤカーを引いていった。

村人に見つけられたらなんて言い訳しようか悩んでいたのでこれはありがたかった。


玄関前でゴーレムを解除し地面の中に浸透させ証拠隠滅!


“ちょっとまっててね”


ニワトリモドキ達にそういうとドアをあける。


“今帰りました~♪”


そう言って扉を開ける。

すると中から勢いよく飛び出してくる弾丸ひとつ。

この弾丸をよけるわけには行かないので体で受け止めるのだが…

胸に思いっきり当たって痛いです…

弾丸の名前はマリちゃん、この家の長女である。


「ランお姉ちゃん、『クアックルブ』 みつけた?…って、どうしたのランお姉ちゃん?」


ランはマリちゃんの特攻を受け胸を抱えて悶絶していた。

この体、胸にクッション無いからダメージ吸収できないのですよ…

めちゃくちゃ痛い…ダンプに追突されたかと思った…

とあるネットサイトでAAAの微乳と判定されたチッパイは伊達ではない。

ちなみに身長に対しての理想(Dカップ)サイズに20cmほど足りないと出て打ちのめされた経験がある。

男なのにアバターのカップを気にしている時点で変態に近づいてる気がするがゲームとはいえ長年『女の子』をしているとそのあたりも気になるようで…


“ク、『クアックルブ』 なら…そ、外にいるから…”


それを聞き外に飛び出すマリちゃん。

外ではなんか感動的な再会劇がおこなわれているようだがランはそれどころじゃない。

無い胸が陥没するところでした。

とりあえず痛みを堪えつつリヤカーと獲物を裏口からレビテーションで浮かべつつ運び込んでそこでダウン。

魔獣の攻撃もいなして見せていたランに最初に巨大なダメージを与えたのはマリちゃんでありました。(笑)


ペタペタペタ


肉球でランのほっぺたを叩く子虎ちゃん。

慰めてくれるのは君だけですよ…


夕食は今回ランの取ってきた猪肉のステーキ。

皆さんおいしく食べています。

もっともラン的には少しお味が物足りないようで…

ますます内心でこの村の復興計画を固く固く誓っていた。

ちなみに香辛料等は行商人に聞いたところ高価ではあるが金さえあれば庶民でも購入できる程度の値段らしい。

さすがに気温的にここいらで育てるのは無理だがそれなりの量が入る程度には産地と繋がりができているとのこと。

ただこの村の状況上少々購入はきついので控えているとのことだ。

うん、一応台所で胡椒等の香辛料の存在は確認できていたんだ。

ということはあとはこの村の経済状況が良くなればなんとかなると。


夜マリちゃんが寝てからカールド夫妻ととりあえず大体のこの村の現状とこのあとどうするかを話してみることにした。

本来なら村人全員で話しなくちゃならんのだが一応状況確認の意味もこめてカールド夫婦と話してみることにしたのだ。



幸いと言うかカールド夫婦は元腕利きの冒険者だったそうだ。

ギルドランクはB。

現在でも山で取れた獲物の毛皮や薬草などを持って王都に行くことがあるらしく完全な引退はしていないらしい。

やっぱり行商人だけでは手に入らないものもたくさんあるので数ヶ月に一度は王都等の他の街に行くそうだ。


おかげで夫妻はいろいろなことを知っていた。

さすが冒険者。

情報は命ってか?


ちなみに…科学の進んだ地球の日本育ちのランが多少は仕方ないにしても何不自由無く村で生活できているのは訳があった。

驚いたことにガス・水道・電気に相当するものが普通に各家庭に存在していたのだ。

その正体は『魔道具』。

これは過去の大魔道文明時代に開発された『魔道具』がいまだに一部製造方法が伝えられていたためだ。

簡単に言えば各属性魔法のランク1クラス中でも初歩的な所謂『生活魔法』と呼ばれる魔法が『魔道具』として作られていたからだ。

ガスコンロにあたるのは火属性ランク1の『イグナイテッド』、蛇口に当たる部分は水属性ランク1『アクア』、明かりは当然光属性ランク1の『ライト』。

しかも手洗いまでこの『アクア』を使った魔道具を使い水洗を実現していた。

さらに驚きはこの汚水や汚物処理する方法。

庭の一部にタンクが埋められておりタンク自身には時空魔法の魔法陣が得かがれていて常時発動状態のマジックアイテムだとか。


さて…俺がやっていた『One in the WORLD Onltn』というゲームはこの世界がモデルだ。

多少の違いはあってもこの世界に送り込む人間を選抜するためのゲームだから (プレイヤーには当然そんなことは知らされていない) 基本スキルや魔法なんかは同じものなんだが…

『時空魔法』とはなんぞや?

ゲームにはそんな魔法はなかった。

確かにゲームには『精霊魔法』があったのにこの世界では存在しなかったりするからこの世界にあってゲームにないものがあっても不思議ではないのだがすごく気になる。

当然俺としてはカールド夫妻に根掘り葉掘り聞くわけだ。

それで判ったことは…


まずゲームでは一緒くたにしていたがこちらの世界では『魔道具』と『マジックアイテム』は明確に別のものと認識されている。


『魔道具』は内部に『魔法回路』と呼ばれる魔法陣が描かれていて使用者が魔力を流すことにより使用できるようになる。

使用条件は魔力の有無だけで基本当人の適正属性はまったく関係ない。

対して『マジックアイテム』とは『魔石』もしくは『魔水晶』が取り付けられており一定のキーワードを唱えることで魔法が発動するアイテム。

使用条件は別になくキーワードさえ判れば『魔石』もしくは『魔水晶』から魔法が発動する。

これは別に使用者の魔力は関係ないため魔力の無いものでも使用できる。


そしてこの2つは『大魔道文明時代』に製造方法が生み出され現在に伝えられている。

しかしそうはうまくいかないのがこの世の中。

『製造方法』は伝えられている。

しかしその知識まで伝えられていなかった。

したがって『魔道具』でも簡単な生活に必要なものは分解できるため『魔法回路』は写すことは出来たのだが特殊なものは分解そのものが不可能だったり『魔方陣』がどこに描かれているか判らなかったらしい。

また『知識』が伝わっていなかったので『魔法回路』の意味がわからず改良や新しいものは作れないということだ。

一応研究はされているのだが今のところ成果はゼロだという。


『マジックアイテム』は『大魔道文明時代』に作られたものは壊れない限り何度でも使えるのだが今ではそれは作れない。

どうもエネルギー源となる『魔水晶』は人工のものらしく製造方法や知識が伝わっていなくて製造不能なんだそうだ。

ただ変わりに『魔石』をはめ込むと使用回数の制限 (魔石の魔力分) はあるが同じように使えることが判明し今ではそちらの方式で作っているとか。

したがって『魔石』型はそれなりの値段を出せば買えるが(それでもかなり高価)『魔水晶』型は腕がよく運のいい冒険者たちが遺跡の奥から見つけ出すか国家や大貴族ぐらいしか保有していないという。

まぁ、大抵は『国宝』だそうだ。


話は戻ってタンクの『時空魔法』だが当然『知識』は失われているのでこうかけばこうなるとだけしか判らず他のものは無いそうだ。

当然魔法としての『時空魔法』もない。

どうりてゲームの中に登場しないわけだ…。


ところでだ…俺は『魔水晶』の製造法とやらにおもいっきり心当たりがあった。

ゲームの中に立ち入り制限があるためなかなか立ち入れる者が少なかった『図書館』で『人工宝石製造法』というのがあり俺は図書館に入れたためこの本を見つけることが出来読むことが出来た。

中に『魔法回路』と呼ばれる『多層魔力回路』の書き込みが必要だがおそらく『魔水晶』というのは『多層魔力回路』を書き込まれた『人工宝石』だと思う。

ゲーム内で使ってた道具は全部ある。

『人工宝石』を作るための材料も多分だがそんなに貴重なものはまったく無いのでこちらでもそろうだろう。

機会があれば挑戦してみようと思う。


もっともこのとき俺は『人工宝石』のことにばかり考えが行っていて『魔石』には『魔力回路』がなく別の場所に書かれていることに気がつかずうっかり『大魔道文明時代』のものを完全再現してしまい大騒ぎを起こすことになる。

もっともこれはもう少し後の話だ。



まぁ、こういったことも含めカールド夫妻と村の復興計画を話した結果、1ヶ月後から村の復興作業を始めることとなった。

なぜ一ヵ月後かと言うとこれから冬に向けて大麦の作付けや冬の食糧貯蔵の準備のため保存食作りに忙しくなるからだ。

当然ランも自分の資金稼ぎも兼ねて(動物を狩れば肉は村に提供しても皮は行商人に売れる)狩をする予定だ。

ついでに最近増えているというゴブリンの間引きというか発見しだい即全滅させる作業も平行して行う。

これはラン個人が請け負うことにした。

普段は冒険者ギルドに依頼するのだがこれから村の再建をするのに金は出来るだけ節約したほうがいいということとランならよほどのことが無い限りラン一人でゴブリンのコロニーを殲滅できること。

そして代金はゴブリンから取り出せる『魔石』で済むため村は結局1∂(デル)も出す必要が無い。

ランにしてみたら1人でゴブリンのコロニーを殲滅したら最低クラスとはいえ『魔石』が20個前後は手に入る。

それだけで半金貨4枚分以上の儲けが出るのだから問題は無い。

1ヶ月もコロニー潰しを続ければゴブリンの数もだいぶ減るだろうしなによりランの懐が暖かくなるので王都に行ったときも困らないだろう。


もっとも昼の狩りでゴブリンのコロニー1つをランが単独で殲滅したと言い証拠として回収してきた『魔石』を見せてかなり引かれたが…

なんでもゴブリン1~2匹程度なら初心者冒険者(Eランク)でも余裕に狩れるのだが(というか登竜門的な感じでよく依頼が出ている)コロニーまるまる殲滅となるとCランククラスのパーティ用の依頼になるそうだ。

理由は大抵コロニーだと1匹は絶対にいる『ホブゴブリン』の存在だ。

あれはEランクどころかCランクでも単独では無理なのがこの世界の常識らしい。


いや、しかし、ランは一回もまともに戦闘させずにそのホブゴブリンを撃破してしまったのだが…

そのことをオズオズと言うと夫妻には呆れ返られてしまった。

どうやらゲーム感覚でやってしまいこちらの世界的には『やらかして』しまったらしい。

こちらの世界の常識を知らないとまた『やらかして』しまいそうなのでこの1ヶ月はランにとってもこの世界の常識を知る勉強期間にもなる。

当然講師役はカールド一家である。



またランの案では村の周りを堀で囲み堀作る際に出た土で村を囲む壁を作る予定だったがそれは却下されて森から木を切り出しそのまま杭にして打ち込み壁を作る方法に変えられた。

これは作業が堀を作ると大規模化してしまい(ラン個人が魔法でしてしまえば一日もかからないのだが)のちに村の人間が補修をするとき手間隙がかかりすぎるという点で却下された。

まぁ、木なら近くの山から切り出せば良いのでそちらなら出来ると考えたのだろう。


とりあえずこの1ヶ月は冬篭りの準備とランの勉強で忙しくなりそうだった。


PS

子虎の名前は『琥珀』に決定。

3時間のランとマリの言い争いの結果琥珀自身に決めてもらいました。


PS2

ニワトリモドキの小屋作りの最中温泉が出ることが判明。

おかげでニワトリモドキの小屋は床暖房施設が導入されぬくぬく。

なんかマリちゃんが入り浸ることが多くなりました。


PS3

ランのお風呂製作作戦密かにスタート

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