病町7
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「それで、なぜ私が逮捕されなければならないんでしょうか。あなたがたはその突飛な話を鵜呑みになさるおつもりですか」
「いえ。いくらお暇部署とはいえ、いきなり何の証拠も無く逮捕だなんて言いません。おい」
「あ、はい。実はここ数日間、病院内で聞き込みをしました。するとこちらの患者さんを受け持っておられるのは先生だけだということがわかりまして…」
「当たり前です。私が、かかりつけ医なんですから」
「はい。で、院内にいらした何人かの患者さんにお話をうかがいましたが、先生は患者に優しく、とても良い医者だそうです」
「…評判いいんだな」
「病人は黙ってろ」
「患者さんに話を聞くうち、先生に妙な事を聞かれたという人がいました」
「妙なこと?」
「あなたは病町について尋ねたそうですね。しかも自分が聞いたことは誰にも言うなとおっしゃったとか。その方は警察の役に立つならと渋々話して下さいました。なぜそんなことを聞いたのですか」
「それはこいつが、以前病町へ行って来たと言うもんだから、どんなところか気になって」
「この先生は行ったことないんですよ…ごほっごほっ…」
「横になるか?」
「…いや、だいじょうぶ」
「なるほど、その患者さんのために聞きに行ったのですね。他には」
「はい、先生についておられる看護師さんにもお話を伺ったのですが、先生は他の患者さんのときは必ず処方箋を書いて薬剤師の方に調合してもらっているそうなのですが、この方のときはたまに先生が直接お薬を渡す事があるそうですね?看護師さんは先生と患者さんが顔なじみだと知っていたので、知り合いだからだろうと特に気にしてなかったそうですが…」
「我々はその薬にホロフロムが入っているのではないかと考えています」
「…そんな、変な言いがかりはよしてください。薬が手元にあるときは直接渡すことだってありますよ」
「では、今もっておられるそれ」
「…この薬?…さっきもらった睡眠薬です。薬がないと眠りにくいんで」
「調べてもよろしいですか」
「なぜです」
「困ることでも?」
「ありませんよ。でも」
「ここからホロフロムが検出されれば、確かな証拠と言えると思いますが」
「待ってください。まず、そもそもそんなものこの世にあるのですか。その院長先生がデマカセを言っているのかもしれない」
「確かに記憶を操るなんて信じられない話だ。私自身信じてはおりません。しかし、その院長のおっしゃる秘密物質がこの薬の中にあるということは、あなたの犯行をものがたっていると思うのですが?」
「…どういうことです」
「効果はともあれ、院長が外部にもらしたことのない秘密の成分と、同じ物質がこの薬にも入っているということは、どういう方法かは今の段階ではわかりかねますが、あなたが作るかあるいはどこかから入手したそれを、意図的に入れたということになりませんか」
「どうですか、ドクター」
「…悪いことはできませんね」
「え?」
「刑事さん、その薬にはホロフロムが入っていますよ」
「では、やはりあなたが…」
「なんで…そんなこと」
「これはみんな、あの院長先生に頼まれてやったことなんです」




