病町2
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「おい、じいさん!大丈夫か!」
「ううっ、ごほごほっ」
「こんな道ばたで。誰かいないのかよ。じいさん家このへんか?家族の人とかいないのか」
「…だ」
「へっ?」
「大丈夫だ。すまんがこれで水を買って来てくれんかい」
「え、ああ」
「ほら」
「…ふう。」
「大丈夫なのか」
「ああ、薬がきれて発作がおこったようだ。ありがとよ助かった」
「はあ、びびったぜ。救急車よんだほうがいいのかと」
「いや、もう落ち着いた。だが一応お医者にいっとこうかな」
「そのほうがいい。そこの総合病院だろ?つれてってやろうか」
「いや私がかかっとるのはそこじゃないんだ。少し離れた町にあってな」
「どこだよ」
「…言ってもあんたは知らんだろう」
「ここ地元だから」
「病町」
「…ヤマ?」
「病町総合病医院というところだ。そこのお医者は優秀でな。ずいぶん前から面倒みてもらっとるのさ」
「ヤマイマチなんて聞いた事ないけどな。新しくできたとこでもなさそうだし」
「そりゃ知らなくて当然さね」
「どういう意味だよ」
「いや、とにかく私はそこへいくから。若い人ありがとな」
「歩いていけるのか」
「バスで一時間半」
「まあまあ遠いじゃん。」
「平気さ」
「なあじいさん、そこの医者は優秀だってさっきいったよな。物忘れとかも直せるのか?」
「どうかな。だが総合診療医だからな、みてはもらえるかもしらんな」
「俺も行く」
「うん?」
「俺もちょっと厄介な事わずらってんだ」
「あの人は病人なら誰でもみてくれら」
「あの人って?」
「行けば分かる。ちょうどバスがきたぞ。行くかね」
「なりふりかまってられないからな。可能性があるなら何でも試してみないと」