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切り抜きクライマックス! -2分で想像力を掻き立てる心のレシピ-  作者: Goinkyo.


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ep.7 異世界召喚

そんなわけない、そんなわけがあるか。


自分は、異世界召喚されたんだ。


故郷は、別の世界だ。

ほら、別の世界の記憶もある。



「それは、おまえに植え付けた記憶だ」


「実験だったんだ」


「特別な境遇が使命感を増幅させ、通常以上の成長と能力を見せると」



優しかった両親との思い出。

『学校』生活。

この世界とは異質な文明。



「それらもおまえに植え付けた記憶だ。

信じ込ませるために」



ただ、ひたすら混乱する。


混乱する理由は…そう、思い当たる節があるからだ。


思い出せる場面は、いつも、同じ場面だ。

普通、曖昧であっても、もっとさまざまな記憶が残っているのではないか?


両親や友人への慕情。

帰郷への欲求。

それが思いの外、わかないのも、作られた記憶だからだろうか。


自分はいったいなんなんだ。


なんのために、この国を救うために戦っている。

命がけで。


異世界召喚されて、特別な才能に恵まれていて、頼りにされ、せがまれて。


自分はなんのために…。



「強力で指向性の強い兵士を作る実験だった」


「これも観察だ。事実を打ち明けられたとき、何を思う? どのような行動に出る?」


「この記録は、リスクを分析するためなのだ。国を守るためなのだ」



リスク?

リスクってなんだ?

何を思うかって?

強力で、し…なんだって?


視界が揺れる。

気づけば拳を握りしめていた。

今、何を考えるべきなんだったっけ。


ベンチにもたれかかる。

背中を壁につけ、左右の視界を確認する癖が抜けない。

せめて体だけでも休ませよう。


異世界から来たことが自分自身のアイデンティティだった。

故郷は誇りだ。

もしそれがなくなったなら、自分は何者だ?


そうだ。


自分の存在は無意味だ。


だから、こいつらも、無意味だ。

自分にまつわるものは、すべて無意味だ。


国も、世界も。


こんな世界、滅ぼしてしまえばいい…のか?



待て。

待て待て。


何を待つ?


そう、思い浮かべろ。

もし仮に、自分の記憶が、存在意義が捏造されたのだとしても。


ともに戦った仲間たち。


彼らの思いは本物だった。

そのはずだ。


そうだ、彼らのために。

何も知らない一般市民のために。


戦い続ければいいんだ。


この使命が嘘だったとして。

でもみんなを守りたい。ともに戦いたい。


この思いは、自分で獲得した、本当の使命感だ。


…バカみたいだ。


異世界召喚され、本当にこんなことがあるのかと驚愕しつつも、

高揚感に胸を膨らませた、あの日。


戦闘能力がほかに類を見ないスピードで発達し、やはり自分は特別な存在だと優越感を得た。


踊らされていただけだったなんて。


違う。

少なくとも、努力したのは自分で、成果は自身の功績だ。


そうだ。

自分で使命を帯び、自分で得た力だ。


召喚されて与えられたものではない。


だったら、自分の意思でどうしようが勝手だろう。


まわりのこいつらを滅ぼし、

そのあと世界を支配しようが、滅ぼそうが、どうしたっていい。


戦友たちも、このことを知っていたのではないか?

そう思った途端、あいつらの言葉や表情が、全部、違って見えてくる。

盟友面して、嘘と洗脳に加担していたのではにか?


でなければ、異世界から召喚されたなんて、信じるか?

よくよく考えたら、おかしい。


世界が、自分をだましていた。

自分の存在が矮小に感じる。


…いや、悪いのは自分じゃない。

そんなわけはない。

だまされた自分は被害者だ。

だったら。

世界をどうするかの選択肢は、自分にある。

そうでなければ、世界がおかしい。

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