第50話 反旗
刺客ってSimejiだと資格と視覚が邪魔してくるんですけど、しきゃくって入れると訂正だよーって感じで刺客が出てくるので使ってる
「状況は!」
「まだ伝わっておりません。何ヶ所かで人為的な爆発が起きたと思われておりますが……」
ベティは門番の手を離した。セクターに着いた頃には既に大混乱の最中だった。装甲車を捕まえ、パエトーンたちがいる宿舎まで全速力で走らせる。ネクストルムはいないものの、人の荒波は凄まじい規模だった。
誰もがこの惨劇の理由をわかっていない。銃を片手に右往左往する兵士たち、混乱に乗じて露店から物を盗む若者たち。セクター内部は混迷を極めていた。
「ベティ、エリヤのところに行きましょう。彼女なら……情報が伝わっているかもしれないわ」
「……急ごう!」
セクターの機能が停止すれば救助隊を要請する道が断たれ、リリスの救出も絶望的なものになるだろう。その焦燥感から、二人の足取りはいやおうなしに早まっていた。
しばらく無我夢中で車を走らせ、途中で何回か大きなものにぶつかった気がしながらも、ようやくベティたちはセクター三にたどり着いた。急いで車から降り、宿舎の方を見る。
幸い煙は上がっていない。しかし不自然なほどに静かだ。
「とにかく中へ!作戦はそれから考えましょう」
サラがライフルを背負い、素早い足取りで中に入る。ベティもサラに続き、腕を抑えながら後に続いた。やがて半開きのドアが見えてくる。廊下の先は共用スペースだ。
そこから漂ってきたのはまだ少し残っている火薬の臭いだ。
嫌な予感を感じてサラはドアを蹴破る。
「エリヤ!カレ……」
視界に飛び込んできた光景にサラは言葉を失った。散らばったボードゲームの駒が血の海にばら撒かれている。床にはおかしな角度で横たわる四つの肉体。
「嘘だろ……おい!」
ベティがカレンの体を横にする。額を撃ち抜かれ、目を見開きながら絶命していた。悔しさからカレンの手を握り、そっと額に触れ彼女の目を閉じた。サラはニーナに駆け寄り脈を図る。もはや銃傷から血は一滴も流れ出てこなかった。
「アイリスは?」
サラは首を横に振る。喉と胸を撃たれていては、助かる見込みなどなかった。ベティはエリヤの脈を取った。僅かだが動きがある。
「生きてる……生きてるぞ!」
ベティの叫びにサラが振り返る。
「ベティ、待って!動かしちゃダメよ!今止血するわ」
「サ……ラ……ベティ……」
「喋るな、今手当てを──」
エリヤはサラの手を握った。全身全霊をもって言葉を振り絞っている。銃傷からは赤黒い血が未だに流れていた。呼吸は今にも途切れてしまいそうで、息を吸うたびに血が内臓に流れ込み噎せる。
「エレンが……エレンが!」
エリヤの口から血と共にその名前が飛び出る。手から力が抜け、地面に落ちた。もう一度深呼吸をすると、エリヤが叫ぶ。
「あの子を……約束を守れなか……った。V3……といって」
「V3……」
エリヤの体から力が抜けていく。サラは震える手で止血帯を巻き、ガーゼを傷口に押し付けた。応急処置の甲斐あって、命の灯火は明滅しながらもそこに留まっている。
「気絶した……だけよ。まだなんとか生きているわ」
「V3、結局私たちはやつらから離れられることはできないみたいだ……」
サラは悲痛な面持ちで、冷たくなったアイリス、ニーナ、カレンを見つめる。
「行こう、全てを終わらせに」




