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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
二章 北の大陸 ハースト
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30話 戦い方?



いつも読んでくださる皆様方、今話も短いですが楽しんで貰えたら凄く嬉しいです。




アレから、泣きじゃくったリストの嗚咽混じりの話を聞いた。

何故、冒険者を目指すのかと、それは、あくまでも慣れたら良いなだと聞かされた。


「おでっ.....アンを護れるよう...に..強くなりたいから...おじえてください....」


リストはアンの前では素直に想いが出せず、仲違いしたような結果になってしまった。

涙目から見える真剣で大切な人を護りたい想い、陸は噛み合わない違和感が埋まり、座り込んでいるリストの腕を掴み立たせる。


「誰かを護りたい気持ちは僕にも分かる、それが惚れた子の為なら尚更ね。だから僕から教えられるのは、剣じゃなく生きる為の基礎になるけど、それでも良いなら村にいる間は教えます...」


陸の言葉を聞いたリストは一瞬だけ呆然とし、涙目を袖で擦り涙の後を消していく。


「ほんとうに....本当に教えてくれるのか!?、後から無しって言ってもダメだからな?」


「あぁ....約束だよ。村に滞在できても二日が限界だから、その間だけってなるけどね?」


それでも良いのかと含ませて、リストの目を見ながら確認する。

リストはそれでも良いと、屈託のない笑みを浮かべ拳を握りガッツポーズする。


「今から一時間後に、また、ここに集合だよ。その間にアンと会って仲直りしておいで、仲違いまましたじゃ嫌だろうし?」


「......分かった、アンと会ってくる」


元気を取り戻した声音を上げて、アンがいる場所に心当たりが有るのか進みだす歩に迷いは無かった。

陸は一時間後も出来た時間の間に、シアの所に向かい二日間の滞在許可を貰いに行く。

シアはそれを喜んで了承し、滞在する間は御飯も作ってくれると至り尽くせりだった。

その後は森に向かい、ちょうど良さそうな木を見つけ邪魔部分を切り取る。

不馴れな手付きでやった為に、少し不格好な木剣を一つ出来上がり、それを持って集合場所に向かうと。

時間まで充分余裕持って有るはずなのに、リストが待ちきれず集合場所に居た。


あの様子じゃ、アンと仲直り出来たのかな?。


「あっ!、リクっ~~!」


陸の姿を見つけたリストが手を振りながら、此方に駆けて来た。


「アンと仲直りは出来たの?」


「まだ、怒ってたけど何とか話だけは聞いてくれた。その代わりにって......その....」


目を反らし言葉を詰まらせながら、もじもじしだしたリストに陸は先を促す。


「森の奥に自生してる花が欲しいって言われて、リク....お願いだから一緒に行ってください」


「なら、直ぐに行くよ」


「えっ?...待ってください!....」


頭を下げるリストに、陸は考えるまでも無く即答し。

戻ってきたばっかの森に踵を返して向かう、リストは呆けた顔を上げて、戸惑いながら後ろに着いていく。

ただ、陸はリストを強くする為の方法を思い付いた。

リストの身体能力や基礎体力がどれぐらいなのか、それを知る為に森奥は最適な場所でもあった。


森の入り口差し掛かり歩を止め、リストの方に向き直し作った木剣を渡す。


「リスト。今から森に入るけど、中には魔物がいるかも知れない。よっぽどの危険がない限りは助けないから、自分の身も守れないようじゃ、到底、誰かを護ることは出来ないからね」


「はい!」


「うん、良い返事だ。じゃ、森に入るから離れず着いて来るように....」


そう言って森の中の入っていき、数時間掛けて森の奥に咲いてる花を取りに行く。

奥と言う曖昧な証言、それが洞窟や水辺が有る等の聞かされて無いらしく、ただ、奥に自生してる。

森を歩く道中に、リストから詳細に聞いた結果だった。


森の奥か.....。


森の中間地点まで来た頃、歩きぱっなし身体を休める為に地面に座り休憩する。

袋収納メッシスから今朝川から汲んだ水の入った容器を取り出し、リストの方に投げ付ける。

「うっお...とっとと」と危なく手でキャッチしては、蓋を開けて渇いた喉に流し込む。


「プッはぁ~.....水ありがとうな、それにしてもリクは疲れてないだな?」


「これぐらいなら平気だからね、休憩も出来る時にちゃんと休めないとダメだよ。終わったら少しスピードを上げて行くから、途中でバテないようにね」


「....はい」


此処まで同じく歩いた陸を見て、リストは不思議そうに訪ねてきた。

小さい頃から大人と何時間も森を歩いたリストなら、此処まで疲れる事は無かったが、今日だけは何故か疲れていた。

それもその筈、陸が森に入ってからはリストが着いてこれるギリギリ所攻めながら、歩を段々と速くしていたが。

リストはそれを難なくと付かず離れず距離を保ち、急な落差や当たりそうな位置で落とす枝。

それはを上手くいなして此処まで来ていた、陸は座ってるリストを観察しながら振り返っていた。


基礎体力は問題なくそれ以上で有り、体幹も良く危機察知も申し分無かった。

やっぱり剣を教えるよりは、身体能力やその他を鍛えた方が良さそうだね。


滞在する二日間の間に、リストの何処を鍛えるかを計画プランを立て構築する。

良い所や、悪い所を今日だけで幾つかは見つけ、異世界こっちに来てから教わった訓令や知識を掘り起こしていた。


考えを纏めては三十分程の休憩が終わり、空になった容器を袋収納メッシスにしまい奥を目指す為に歩き出す。

今度はペースを上げて行く、最初とは違い速さも有るなかリストは距離が開けてしまうが、それでも見える範囲に食らい付いていた。


............


........


.....



森に入ってからもう三時間は経ってるのに、リクの歩む速さが緩む処か一向に速くなっていく。

俺は必死に着いて行くのだけで精一杯だった、少しでも近付く為に無理をしようとすると、何故か偶然にも上から枝が落ちてきた。

俺はリクが作ってくれた木剣で弾く、ただ、木剣

は所々太かったり、細かったりで村に有るのと比べるとバランスが悪かったけど。

俺はコレは修行なんだと思い、文句が垂れる処か寧ろヤル気が溢れた。

だって、絵本とかに書かれてる勇者が試してるだと素直に思った。


アンが「森の奥に自生してる花を持ってきたら、リストのこと許して上げる...」って言ってくれた、でも俺は森の奥なんか行った事は無かった。

奥は魔物の領域で、普段は姿を見せないような強い奴が沢山いて。

村の近くまでは絶対に現れないから、大人数人でゴブリンやビックボアを倒す事は何回かあった。

まして子供の俺が一人で倒せる筈は無く、密かに身体を鍛えていても森の奥は行けなかった。

そこでダメ元でリクに頭を下げて頼んだら、リクは迷う素振り等せず行こうって言ってくれた。


そん時の俺は我が儘で鍛えて貰えるのに、これ以上何かを頼んでも断れるって思い諦めていた。

なのに、リクは即答してくれた。

俺は御礼も言えずに言葉が詰まったなか、森に向かって歩き出すリクの後を着いて行った。


走ってリクの後ろを着いて行く中で、俺は会ったばっかのリクの事を考えていたが。

突如、頭に痛みが走り手で頭を抑え、元凶の方を見ると。

前を走っていたリクがいつの間にか近くまで来て、頭に手刀チョップを落としていた。


「もう、此処にはどんな危険が有るかは分からないだから、気を緩めちゃダメだよ」


リクの言葉に俺は力強く頷き謝っては、両頬を両手で叩き気を引き締めてた。

森の奥に足を踏み入れて、何時魔物が襲ってきて命を落とすかは分からないのに。

非力な子供の俺が油断等してしまった戒めに、もう一度力強く頬を叩き、走り出したリクに着いて行く。


それから花が咲いてそうな場所探していた、洞窟付近には無く。

水辺周辺には、Bランクって呼ばれる立派な角が生えた熊ホルンベアが水を飲んでいた。

運悪く風上に立ってしまった俺達は、風下にいたホルンベアの元まで匂いが流れてしまった。


水を飲むホルンベアは飲むのを止め、鼻に届く臭いを嗅ぎ此方に顔を向けて。

臭いの元を見つけては、声を上げてはゆっくりと近付いてきた。


リクは故紙に着けてた白銀の剣を抜いて、ホルンベアと対面していた。


「リスト。剣の使い方は教えられないけど、戦い方はしっかり見るんだよ」


「はい!」


前を向きながら語り掛けるリクに、俺はこれでもかと返事をした。

後ろから見えるリクの背中、親父もりも大きく圧倒的だった。


ホルンベアにとって餌が出てきた事に一鳴きしたら、自身が持つ筋力で地面を蹴っては立派な角で刺そうと突進していた。

リクは避けようともせず、手に持つ白銀の剣に同じ色の白銀の靄が薄く纏わり着いていた。

ホルンベアはリクの変化に気付かず、そのまま突進し刺したと思った瞬間に、悲痛な叫び声を上げてその場から飛び退く。

リクを餌じゃなく敵と見なし、敵意有る眼で睨む。

立派な角は根元から切断され、断面から赤い血が滴り落ちていた。


リクはホルンベアの突進を当たりそうな瞬間に、左足を軸としてクルっと回り避け。

白銀の剣を縦に降り下ろし、ホルンベアの角を斬っていた。


「.....スゲェーー」


俺はそれだけで見惚れていた、何時、他の魔物が来るか分からない森奥の場所で。

リクの戦い方は素人で子供の俺から見ても、一言で言うなら『凄い』と感心しか出なかった。


「グルッオオオオオオ!!」


ホルンベアは声を荒げる、俺も直ぐに目の前の戦いを見る為に集中する。


リクは掌をホルンベアに向けて"ファイヤーボール"と呼ばれる火魔法初級を撃つ、初めて見る魔法で熱気が凄く肌がヒリヒリと熱く感じた。


真っ直ぐにホルンベアの胴体向かって行く火球、それを避けて、どうだと、ホルンベアは笑っているかのようにリクの方を見るが。

目の前に白銀の剣が有り、ホルンベアの首を跳ねていた。

空を舞うホルンベアの頭、表情は笑ったまま地面に二、三度転がる。


斬られたホルンベアの断面から血が吹き出し、水を赤く染めてった。

リクは白銀の剣に着いた血を綺麗に拭き取り、剣に向けて声を掛けてから鞘に閉まっていた。


「リストー!、解体するから手伝って」


手で招きながら俺の名前を叫ぶリク、ただ、言えるのは戦い方と言う物を理解できずにいた。

最後なんて、ホルンベアが可哀想にさえ思えてしまった.....。


俺はリクの元に行く為に、ノロノロと歩きながらホルンベアの解体を手伝った。


もう少しアンとリストの話が続きますが、よろしくお願い致します。



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