閑話 悲劇の顛末
誰でも無い視点です?。
あの日を境に全てが変わった"暴王と愚勇"の悲劇、その噺は小さな子から節々が痛み出した老人達にも知れ渡っていた。
城から響き渡る轟音や、大勢の野太い声が奇声の如く空に駆ける。
それを全て街民が聞いていた、不安な表情を城に向けて早く終わる事を願っていた。
それも直ぐに終わりを迎えた、今までで一番激しい轟音を轟かせて不気味な程に静寂が訪れた。
その後は何事も無く、街の皆は日常に戻っていく。
夜を迎え天に太陽を覗かせて次の日を迎えた。
朝から街の中を駆け回る騎士は、『鐘の音が四つ鳴る頃に、広場に集まって欲しい』と頭を下げながら広めていく。
街人達は騎士様が頭を下げた事に驚き、余程の事なんだと理解し鐘の音が四つ鳴る前には、殆どの人達が集まっていた。
四つめの鐘の音が鳴るのと同時に歓声が上がる、城の上から国の王が姿を見せる、しかし、頭には何も被っておらず豪華な装飾された衣服を纏っていた。
遠目から見える王は日に照らされてる筈なのに暗く見えてしまった。
歓声が鳴りやまない中、王は手を上げ大衆の声を止めさせ静かになったのを確認してから、重く口を開き声を発する。
『....急な呼び掛けで集まって貰い深く感謝する』
下に民に王は深く頭を下げ気持ちを体で表した、その事に街人達はどよめき立つ。
民を導き国を守る王が頭を下げる意味を知っているからこそ、街人達は気持ちを隠しきれてなかった。
『今日、集まって貰ったには皆に伝えなければないらない事があったからだ。......』
王は少し間を開け内容を伝える、それは急で有りそのような重大事は国を上げての宴と成るからだ。
『....儂...ガース・ヘルズは王位を王位第一位の愛娘サラに継がせ、この日を持って退位する.....』
王は生前退位を宣告した、王の娘であるサラ・ヘルズが後ろから現れ、頭には王冠を被っていた。
それは王位を継ぎ国の王....女王となったいた、前国王はサラの後ろに一歩下がり、横に並び頭をを下げていた。
国王であった筈の王の態度は、明らかに自分は身分が下なのだと示していた。
『我が愛する民よ。この度、王位を継ぐ事になりましたサラ・ヘルズです。急な事でさぞ驚いているでしょうが、若輩で城で甘えさせれた小娘だと思って頂いても結構です。実際にその通りなのですから、それでも...私はこの国が大好きです、笑顔で溢れ優しいこの国が!。力も何も無いこんな私でも、ヘルズ国の女王として民を導き、豊かに成るように尽くします。ですが、私一人の力じゃ何も出来ません....どうか民の皆の手を小さな小娘に御貸しください....』
力強い凛とした声が街に響き、必死に想いを伝える女王サラに街人達は心に届き。
『俺達に出来る事なら、何でもしますぜサラ様!!』
『此処にいる皆、誰よりも国を民を愛してくれてるサラ様を知っています!!』
新しき女王サラに街人達は声を上げ、力を貸す事に尽力する。
一人また一人と声が上がり、女王サラを支持する大衆が出来上がった。
『『『『『ヘルズ国の新国王に万歳!!、万歳!!』』』』』
歓声は成り止む事も無く国中に響き渡る、女王サラの頬を伝う光が見えた事に民は更に声を張り上げた。
『....ありがとう、ありがとう。この国に生まれて良かったです、こんなにも暖かい人達が居る国で...』
歓声で消え去る声を漏らし、女王サラは城の中に消えて行く。
街人達は今日はめでたいと仕事を休み、酒を友や家族、隣人達と飲み交わし三日三晩騒ぐ祭りとなった。
国が女王をサラ・ヘルズに悦びを露にして、だが何処とも無くこんな噺が流れ出した。
前国王は王妃を殺された事に憎悪し、国を危険に晒す計画を立て異世界から勇者を呼び出し、戦争の道具として使おうとした。
そして、それを偶然知ってしまった勇者の中で最弱の一人がいた。
王はその事を知り、知ってしまった勇者を逃さない為に権力を使い、何も知らない兵士や騎士が殺す為に動いた。
だが最弱の勇者は、秘密を仲間や友にも話せば危険が及ぶと考え、自分一人の力で切り抜けようとした。
その為に人を洗脳する禁忌を使い、無関係なメイドや兵士に騎士と色んな人達の意思と関係無く、自分の身を守る為の盾にし戦わせ。
その乱戦の中、洗脳が解けた者の手によって最弱の勇者は命を落とし絶命した。
その結果、多くの者が死に亡き者達の家族や恋人と知人が悲しみに明け暮れた。
そんな根も葉も無い噺が広まり、それは人から人えと伝わり内容が変わっていった。
この噺を聞いた者達は怒りを露にし感情剥き出した、同時にそれらが自分達にも起きる出来事だとも知った。
噺は壮大な物語となり紙芝居や本として、世界に誕生した。
小さな子も節々が痛み出した老人も、老若男女全ての人が教訓として学んだ。
王の気持ちを知れば、自ずと自分も同じ事をしてしまう事に。
愛しする者が殺されれば、何を犠牲にしてでも復讐に燃え。
それを邪魔する者が現れるなら殺し、利用出来るなら利用し目的を達する事を。
勇者の気持ちも同様に理解できた、偶然にも知ってしまった秘密に恐れ、いつ殺されるか分からない日を過ごす中で。
友や仲間に危険が及ぶ秘密を話す事に、そんなのは嫌だと考えた、頼れるの自分一人なんだと。
力が無い最弱だからこそ、生きる為に禁忌に手を出し逃げ延びる為にした事を。
この噺が何を伝えたかったのか、それは多くの者達が皆口を揃えた...こう言う。
『王は愛する者の復讐で変わり果て、勇者は一人で抱え禁忌によって自滅した』
最愛の者が亡くなれば、人は一つの感情に支配され暴走する。
友や仲間を頼らず信じられず、人の身に余る力は自身に振り返り殺される。
これが"暴王と愚勇"悲劇、一つの国から広まった壮大な噺で選択を間違えた末路.....。
これで閑話ぽいっ?、閑話は終わりました。
次回から第二章に入らせて頂きます、長い閑話に付き合って頂きありがとうございました。
※自分では閑話を書いた気でいるですが...、閑話じゃ無い気がして不安だったりしてます(´д`|||)。




