閑話 尽きる事の無い想い
ガース・ヘルズの視点です。
今話は短いです。
勇者召喚される一日前、一つの石墓の前で一人の男は両膝を床につけ両手組交わして、静かに佇んでいた。
身に纏う衣服は、黒を基調とし華やかな装飾された服装だった。
辺りは月の光に照らされ、雲で遮られて出来た影に執事服を着た男も静かに主と石墓を見ていた。
「陛下。夜風も出て参りました、明日は大事な日ですので、そろそろ御部屋にお戻りください」
もう何時間も、石墓の前から動かない陛下と呼ばれた男の身を案じ、執事は静かに語り掛けるが。
陛下は身動き一つせず、ただ静かで重い声が耳に届く。
「心配させてすまないなサイル、だがもう少しだけ此処に居させてくれ...。ミーファともう少しだけ話をさせてくれ........」
「......」
執事サイルは沈黙でも肯定し、また静かに影で佇む。
身分は違うが友であり我が主の頼みと聞いて、そして生涯を主と石墓の下で眠ってるミーファ様に捧げた身として、サイルは静かに過ぎ去っていた過去に感傷に浸っていく。
(....ミーファを殺めた憎き魔族共を、一匹残らず殺してやる。儂から最愛の者を奪った奴等にも同じ目に会わせてやる.....)
何時間も立ち続ける男は何回も何回も、最愛の者が目の前で魔族に殺される場面を思い出しては、心中を黒く暗く憎悪で塗り潰していた。
自分がこれから起こす非道に、決心が揺らぐ事無く目的の為に心を殺していた。
石墓に背を向けて、影に佇んでいるサイルの元に向かって行く。
「もう気が済んだのですか?。明日を向ければ後戻りは出来ません、ここでお辞めになるのも一つかと?」
姿勢を崩さず淡々と述べるサイル、男は眼をギラ尽かせて鋭く目を吊り上げる。
「...ヘルズ国の王ガース・ヘルズ。偉大な英雄の子孫である、その儂が怖じけつく暇など無い。憎き魔族を一匹残らず殺してやる、そんな儂に最後まで着いて来いサイル」
災厄を封じた英雄の子孫であるガース・ヘルズは、自分が歩む道で多く犠牲を払おうと魔族を滅ぼす、最愛の者を殺した魔族の復讐に燃える。
ガースは告げるだけ告げて、サイルを抜いて歩いていく。
『何処までも着いて行きます、主の邪魔をする者が現れれば私が排除致します。どうぞ安心して進みください』
内心で主に敬意を示し、サイルはガースの後ろを無言で着いていく。
(また...此処に来る時は全てが終わった時だ...)
二人の男の主従は、最愛の者を奪った魔族を滅ぼす修羅の道を歩む。
それは何処までも孤独な戦いだった.....。
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今後とも長い目で見てください、閑話も後一話で第二章に突入します!。




