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18話 第一関門の攻略方法と新たな展開

攻撃を与えたはずの雷女は、介入により回避を繰り広げる。介入したきたのは、ワープ系の能力者。自分の意思で、いろんな場所へと移動することができる。範囲なんてものは無限だ。今からアメリカやヨーロッパにさえ行ける贅沢なやつさ。でも、こいつが敵になると考えると、かなり面倒だ。


『3対1かよ。ずるいなあ』

『じゃあ、俺たちは去ってあげる。でもあいつらのことまた相手してあげて』


そうワープ能力者は、道路の先から湧き上がってくる多くのシルエットたちへと目を向ける。


『じゃあ、よろしくね!!』

そう雷女とスーパー男の襟元を掴むワープ能力者は、みんなを連れ去ると、ワームホールと共に消えた。はあ、さすがに疲れた。そう尻もちをついたレイジは、やがて上半身まで地面と同化し始める。


『おい!!!レイジ!!!』


これ以上任せられないと持ったのか、建物の物陰から援護射撃をしていたあの男・篠崎仁明が俺の元へと駆け寄る。


『何してる!!!生きてるなら返事しろよ!!!』

『うっせーぞ、仁明さん』

『大群が迫ってくる。一回退散するぞ』

『だめだ。ここで止めないと犠牲者が増えるだけだ』


俺は正論を申したはずだった。だが、地面で寝そべっていた俺の胴体は一人の力強い腕に引き起こされる。


『なら、お前が犠牲になるのを易々と見送るつもりはないぞ!』

『大袈裟だな。仁明さんに援護してもらってるだろ』

『お前にも大事な人が一人二人はいるだろ?命をそんな風に扱うな!!』

『おい!!いてて・・・これだから人間は』


そのまま首元の襟元を引っ張られていく俺は地面を引きずりなら、四分夜の交差点から離れていった。


『ああ〜やめて〜〜〜〜〜』


情けない声を上げながら。



*  *  *


『クッソおおおおおおおおお!!!!』

残った左腕で縞縞模様を顔に刻んだ能力者の顔面へと打ち込むも、左手に込めたエネルギーの塊を先に食らうことに。

いつ受けたのか分からない攻撃。だが、目に見えた敵、場所、自分の立ち位置は、歪んだ線となって消える。同時に脳震盪並みに一瞬の意識が途絶えた。


気づけば、桐島と同じくどこかの壁へと身を打ち付ける。さっきの攻撃を喰らったのか・・・勢いとスピードが速すぎて、今は壁に尻がめり込んでる。状況に理解が追いつかねえ!!目に映らない距離にいたはずのシマシマの能力者は、キスしそうな距離へと0.9秒の世界でやって来る。


『ぐは!!!!』

俺の腹部には、能力者の拳が内臓まで貫通していた。中で蠢く拳と攻撃の反動が刺激されるのが気持ち悪い。

『キスしそうな距離まで、顔寄せんなよ・・・』

そう吐き出す言葉と共に、霞んでいく視界。こんな所で死ぬ・・・つもりはなかったんだがな。だって。まだアイツと一緒にいたいし・・・


なら死ぬなよ!!!

そんな言葉に感化された俺は、最後の最後まで抗う。シマシマの能力者が逃げられないように両脚は、相手の胴体へとクロスに固める。そしてアームカバーを身につけた左手は、能力者の顔面へと押さえつける。


能力者の弱点はこの青い原石だ。少しは攻撃が弱まるだろ。そう最後の最後まで青い原石に力を込める。次第に眩い光で解き放つ青い原石と能力者の顔面に握力を込めていく力。能力者は表情一つ変えず、俺の固定技から解放されようと体をジタバタとさせる。


まだだ!!!青い原石の力が解き放たれるまで、この身体に力を込めろ!!!そう思うと同時に、笑みが溢れてしまう。死にそうなのに。


『なんだよ?逃げれるもんなら、逃げてみろよ!!!』

そう最後まで能力者に掴みかかるも、内臓まで貫通した拳で何度も殴りかかる。

『ハハハハハハハ!!!!お前最高だな!!!暴れ出す様がベイビーみたいだぜええええ!!!』

俺の精神、肉体、そして青い原石は最後の最後で限界を迎えると、俺と能力者を巻き込む大爆破を引き起こす。


*  *  *


今の爆発音!!!

俺(桐島慎也)が、チンタラやってる間に、蓮が・・・

そう思いながら、爆発音が聞こえた方へ走っていった。壁まで吹き飛ばされた衝撃で、足にコンクリートが導入されたように柔軟に動かない。それでも、走っていく。重い脚を上げるだけ上げた。


冷たく心もないコンクリートの薄暗い壁に阻まれていく過程で、乗り越えていく先には誰のか見当もつかない遺体があちこちに転がっている。そして飛び散った血。蓮!!!頼む!!!生きててくれ!!!そう何度も願った。


だが、すぐ答えは出た。

目の前に現れたあの能力者。縦横にシマシマ模様を描いたあの野郎。とても嬉しそうに口角が上がっている。俺は何度も心で願った。蓮が生きててくれと・・・だが能力者が突き出した二の腕を見て分かった。

切断された二の腕には。青い原石を宿したあのアームカバーが。本人の遺体がなくとも、それが蓮の死を意味していることはわかった。


次第に湧き上がってくる怒りは、鋭く血管を浮き上がらせる。

『お前を殺す!!!!』

怪物狩りの組織で鍛え上げられた瞬間移動で、能力者”シマシマ”との距離をかせぐ。前進する一歩ともう一つ持っていた刀に、鋭い横振りが込められる。だが瞬間移動の速さを超える速さで、拳が顔面へと降り掛かってくる。

俺の怒りは深く目を瞑ると同時に、決着がついた・・・かに見えた。


だが、どこから来たか分からない銃撃音で戦闘が一変した。深く閉じたはずの瞼もその銃声に引き起こされるように、物陰に隠れた。何発も鳴り響く銃声。もしかして蓮・・・。そう信じたかった。だがあの能力者に攻撃を仕掛けてるのは、間違いない。俺はその援護へと回るべく、戦闘に参加した。


そこには、モデル体型並みのスタイルを持つシルエットに銀髪に近いボーイッシュ風ショートが、あの”シマシマ”と戦闘を繰り広げている。おそらく女性だ。俺は援護と共に、瞬間移動で”シマシマ”へと体当たりを繰り広げる。

さらに、鋭く全身へとみなぎる剣さばきを高速で描いていく。あの能力者も疲弊しているのか、乱れる息遣いが微かに聞こえ始める。そんな彼に命中した攻撃は、体に鋭い斬り傷が生み出される。追い討ちに顔面に打ち込むのは、銀髪の女性。警戒のため軽く視線移りした先には、若く白い肌を見せる小顔な横顔が映っていた。


『よそ見しないで!!』


クールな女性という位置づけなこともあり、性格も生真面目でクール系なのが伺える。そうだ。彼女の援護を利用して、こいつにとどめを!!!そう"突き"を"シマシマ"にお見舞いしたはずだった。だが、手のひらで掴みかかる剣先で、それ以上突き出すことはできない。刀をこれでもかという勢いで握る能力者"シマシマ”は、俺ごと投げつける。


『早く剣を手放せ!!!』


そんなこと分かってる。女の警告が入るも、能力者の加速度が俺の瞬間移動でも追いつけず、そのまま右側に佇んでいたコンクリートの壁と共に、打ち砕かれていく。脳天や脊髄まで響くコンクリートの破片を受け止めることに。

またもや左右に激しく揺らされる視界を、必死に安定させる。


『あー!!!!ほうへらはうやー!!!』


打ちつけた影響で、変な奇声を発してしもうたが、まだ戦える。そう拳に力を込める。だが、また劣勢に立たされる状況が、女性のねじ伏せられる体勢で垣間見ることに。


『おい!!!女!!早く逃げろ!!!』


だが俺が起き上がるまでの隙を能力者は、作ってくれるだろうか?いや、隙を作らないわけがない。俺も助けに行こうとはするも、体が動かない。恐怖で。いや、俺が動けば、加速した能力者が、彼女にトドメを刺すようにしか考えられなかったから。


その時、コンクリートの壁を突き破る何かが、能力者”シマシマ”に襲いかかる。

その光景は俺にとって信じられない光景だった。だって、誰も吹き飛ばせなかった"シマシマ”が、一撃の拳で次々とコンクリーの壁を打ち砕いってるのだから。相手は誰だ?俺は、必死に目を凝らした。煙の先にいる誰かを。もちろん、銀髪の女じゃない。


え・・・蓮・・・・


*   *   *


上半身裸体となった俺(蓮)は、ただあの能力者"シマシマ"を倒すことしか頭になかった。

これは、アームカバーの力か。いや、切断されたはずの生身の素手で戦ってる。俺は踏み込んだ脚力で、鋭い衝撃波とともに、一直線を描いた俺は、拳に全力ぜんちからを蓄える。


そして加速した2秒でシマシマと再会した胴体。

『よくも、俺をやってくれたな』

お前も同じように殺してやる。まずは壁へとこの拳で吹き飛ばす。あっという間に吹き飛んでいったシマシマは、俺と同じように尻がめり込んだ様子。なら内臓を貫通するまで拳をぶち込む。引き抜く拳は顔面へと殴りかかる。

『どうだ!!!顔面がたんこぶだらけになっちまうぞ!!!!ハハハハハ!!!!』


なぜか笑える。めっちゃ爽快で快感。拳と蹴りで身体中をアザと打撲後で埋め尽くしてやる!!!


『っく・・・』

やっと声を漏らすシマシマは、俺に背を向けて逃げていく。貫通した腹部を両手で抑え込むも、血痕が冷たいコンクリートの床へと滴っていく。

『おい、逃げるのか!!!』


余裕のできた俺は”シマシマ”が描いていく血痕をついていくように、後ろからついていく。だが、ただついていくだけじゃ、面白くねえな。俺はシマシマのケツに蹴りをお見舞いする。その反動で歩いていた能力者が、地面へと身を打ち付ける。


『・・・・はあ、マジ最高だな』


これで"シマシマ"の始末は終了ってことでいいか。

まるで俺の戦いを賞賛するよう、拍手喝采する両手が後ろから響き渡る。


『素晴らしい。君が”死、肉体”の全能者か』

ゆっくり俺の振り返る先には、長髪の白髪はくはつに、白い肌を宿す男が、爽やかな笑顔と共に現れた。

初めて見る顔なのにどうしてだ?不思議な感情が、胸の奥で渦巻いていく。

『伊織も殺し、この能力者を半殺しにできるのは全能者しかいない。そう、ずっとキミを探してたんだ』

俺をこれ以上に歓迎する人間がいるとは。だが警戒心は解けない。

『お前は誰だ?』

『私?私は瓜生うりゅう 新生しんせい。君と同じ全能者だよ』

『全能者?』

『知らないのか?それとも・・・記憶を失っているのか?』

『どうやら記憶は失ってるみたいだが、全能者のことは、伊織から聞いた』

この男は何者だ?伊織と同じ全能者のようだが、なぜか敵意は感じない。彼を分析するべく、今まで得てきた情報を整理している間に、瓜生という男は、次の取引を持ちかけてきた。

『そうか。なら話が早い。君もこちら側につかないか?能力者側に』

『なぜ、そうなる?』

『君は人間に酷い仕打ちを受けてきたようだね。救ったはずの人間たちから悪者扱いされて、そして結局は必要だと、人間に利用されて・・・そして友人の美波さんも守れなかった』

『黙れ・・・』

『君は忘れようとしているが、美波を殺したあの後、周りの人たちがなんて言ったか覚えてる?本当は人間なのに、能力を持った美波さんになんて言ったか?』


美波を殺したことで、聞こえてくる拍手喝采。打ち勝ったぞ!!とでも言いたげな拍手が。その中に込められた言葉たち。


”あの化け物を倒してくれてありがとう”

”やっと死んだか・・・この悪魔が!!”

”念の為、焼き払ったほうがいいだろ!”


『俺たちのことを化け物扱いしてたのを。』


そうだ・・・俺は能力者だった。なんで人間を庇う?あいつらこそ、悪魔だ。いや。俺はただ・・・大事な人たちの幸せを邪魔をする奴ら全員殺すだけだ。


*   *   *


『邪魔をする奴は全員殺す』


あの男としばらく話してたはずだが、どこまでが現実か分からない。そう見渡した視界には、どこから現れた分からない武装集団が、敵意剥き出しの眼差しと殺意で佇んでいた。そして俺の目の前には、紫苑と結城が背に向けて、誰かと交渉している。


相手は誰だ?

軽く体を傾けると、そこには銀髪のショートヘアに鋭い眼差しを突き出す二重、シュッとしたVラインを描く女が、桐島と共に武器を突きつけている。銃口の先は、紫苑と結城に向けてか?いや、違う。俺メインだ・・・


『今全員殺すって聞こえたんだけど?』


俺と紫苑、結城を180度囲む武装集団は、ひたすら銃口を向けたまま、敵意を抱かれるこの状況。

一体何が起こってんだよ!!!!



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