第4話
ピンポーン
「はいはいー……あら?かわい子ちゃん?私の知り合いにいたかしら……?」
ドアを開けながら、その家の主人である叔父さんが、扉の前にいた少女の顔を見ながら首をかしげる。
少女はニコニコと人懐こい顔で笑いながら、叔父さんの顔を見ていたが、やがて一人の少女の名前を叔父さんに名前を告げる。
「えっ……い、今なんて……?」
「えっと……みどりちゃんいますか?」
みどり。その名前を聞いて叔父さんは震える体をなるべく表に見せないようにしながら、肯定の意味を込めて小さく頷く。
そして、二階にいると少女にみどりがいる場所を教えた。少女は嬉しそうな顔で礼を言って階段を駆け上がっていった。
「そう、あの子にも……よかった……本当に良かった……」
叔父さんはそういった後、よしと短く声を出して、二階にいるであろうみどりたちに買い物に行くと声を投げかけて外に出ていった。
ガチャリ。
来夏がみどりの部屋のドアを開けて、みどりのことを探す。白い服のせいでなかなか見つからなかったが、あ。と、とある場所からみどりのこえが聞こえてきて、来夏はそこに視線を向ける。
そこにはみどりがこちらを見てまだ慣れないというような顔でハニカミながらこちらを見ていた。来夏は慣れた顔でニコニコと笑いながらみどりに近づいていき、彼女の横に座る。
しばらくぼーっと座っておいたが、下の方から叔父さんの声が聞こえたのをきっかけに来夏はよし。と短く声を出してみどりに向き合った。
「さて、みどり。同盟相手として色々確認したいことがあるのだけど……まず、貴女の願いを改めて教えてくれる?」
みどりはそう来夏に言われた後、頭の中で言うことをまとめるように虚空を見つめていた。やがて、ないことを確かめるように頭のあたりを少し触って、来夏の方を見て口を開ける。
「わた、私の願いは……この戦いをもう二度と起きないようにする。この、馬鹿げた戦いを、私たちの代で終わらせたい」
みどりがそう言うと来夏はウンウンと頷いていて、突然ガタッと立ち上がる。そして何処かから持ち出したかわからないがマイクを取り出して、みどりの方に向けた。
「私、来夏ちゃんの願い事はわかる〜?」
「え。えっと……ス、スーパースターになる……とか?」
そうみどりが言うと、来夏は自分の口にマイクを持っていき、そしてゆっくりと口を開けた。
「確かにスーパースターになると言うのもいい夢だわ。でもね!それは自分で叶えないといけない願いなの!富士山をヘリコプターで山頂までいったらそれは富士山を登ったことにはならないのと一緒。スーパースターという山はね、自分で上りきらないといけないのよ。だから私の願いは実質ないわ。強いていうなら、私も貴女の願いと一緒よ」
そういった来夏は手をみどりに差し出した。みどりはしばらく悩んだのちにその手を握って、軽く上下に振る。
すると突然来夏がみどりの手を引っ張りあげて、強制的に立たせたみどりが慌てるよりも先に来夏はみどりを引きずりながら部屋から出ようとする。
「というわけで、スーパースターになるためにみどりにも手伝ってもらうからね!早速いつもの教会で歌を歌いにいきましょ!」
「え、ちょ、え!?いや、まっ……」
「ゴー!ゴー!!」
みどりの必死の抗議も虚しく、彼女はされるがままやられるがままに、来夏の手によって外に引きずられて行くのであった。
◇◇◇◇◇
「〜〜♪〜♪〜〜〜〜♪〜〜」
結局、みどりは来夏につられるまま、あの時来た教会に足を踏み入れていた。そして、彼女の歌を座って気持ちよさそうに目を閉じながら聞いていた。
この歌を聞けるだけでもここに来た甲斐があったのかもしれない。と、冗談半分に考えていた時であった。隣に人の気配を感じて、視線だけをそちらに向ける。
そこにはこの前彼女の歌を聴いていた、一人の女性が立っていた。服装は修道服という感じで、首から十字架のネックレスを下げていて、物腰が柔らかそうな雰囲気を出していた。
「貴女、小波様のお友達ですか?」
「ふ、ふひ……そ、園崎み、みどり……でふゅ……」
「園崎、みどり様。ですね……いい名前ですね」
そう言って修道女は数回頷いた後、みどりに向き合った。目はキリッとしたつり目だが、どこかみどりを落ち着かせていた。
「私はモナカと言います。どうぞ、以後お見知り置きを」
「フヒヒ……よ、よろしくです……モナカさん」
そう言ってモナカは手を差し出して来た。みどりはビクビクした感じでその手を握る。思ったよりもあったかくて、みどりはもっと触っていたいと思ってしまった。
「……園崎様は、小波様の歌をどう思いますか?」
「フヒ!?……えっと、聞くと落ち着いて……心がスーって軽くなり、なります」
「ええ。私もそう思います……小波様の声は人も動物もそして、自然さえも魅了するような……そんな気がしてなりません」
そう言ってモナカは来夏の後ろにある大きな木に視線を向ける。その木は枯れそうになっているが、それでも堂々と立っていて、この辺りを守っている。そんな印象をみどりは覚えた。
だが、二人が会話しすぎたからか。来夏が頬を膨らせながら、みどりたちの方を睨んでいた。
「ふたりともー!!私の素晴らしい歌声を聴かせてあげてるんだから、ちゃんと聴きなさいよねっ!!」
「ご、ごめん、来夏ちゃん……!!」
「全く……まぁ、いいわ。ねぇ、何かリクエストとかないかしら?知ってる曲ならなんでも歌うわよ」
来夏がそういうとみどりは何を歌ってほしいか、悩みだす。機嫌を損ねたのはこちらのせいなので、どうにか機嫌を取れる歌を歌ってもらうと、思考を巡らせていた。
そんな時、後ろに人の気配を感じて、みどりは振り返る。そして、その人物の顔を見て、みどりは言葉を失ってしまう。
そして次の瞬間、口の中がネチャネチャとした感じになり、激しく息が、体が震えていく。
「では、私のリクエストを聞いてもらってもよろしいですか?えっと、来夏さん?」
「あら、新しいお客さんね。いいわよ!何を歌って欲しいのかしら?童謡?それとも国歌?やはり今流行りのアニソンとかかしら!」
「アニソン……に近いかもしれませんね。これを歌って欲しいのですけど……とりあえず聴いてみてくれません?」
そう言って突然やってきた、メガネをかけて黒いセーラー服をきた少女が、スマホを取り出し、イヤホンをつけて来夏に渡す。
来夏はそのイヤホンを耳にさして音楽を聴き始める。が、一瞬のうちに顔を真っ赤に紅色させて、慌てながらイヤホンを外してセーラー服の少女を睨む。
「これ、歌じゃないじゃない……!!俗にいうエロゲーのセリフじゃないの!?あんたバカじゃない!?」
「そうですね。そうなりますね……で、本題に入りますが、その声、何処かで聞いたことありませんでしたか?」
「は、はぁ?そんな、知るわけないわよ!何この……なに?陵辱っていうの?わかるわけないでしょうが!」
「あら、そうですか。そうなりますか。では、あなたはどう思いますか?ーーーみどり、さん?」
「な、なんで……ここに、なんで……東山、さ、ウッ」
突然名前を呼ばれたみどりはセーラー服の少女の名前らしき言葉をつぶやいて、気持ち悪そうに口を押さえる。
が、耐えることができなかったのか、オェと声を漏らしながら、口から吐瀉物を吐き出した。モナカは慌ててみどりの背中をさすり、来夏は東山と言う少女の肩を強く握って、睨みつける。
「あんた、何者なのよ……?」
「あぁ、私の名前は東山華憐と言います。以後お見知り置きを」
「そんなのが聞きたいわけじゃないわよ!!あんた、みどりの何なのよ!!」
「気になりますか。気になりますよね。私は、みどりさんの元お友達、と言ったところでしょうか。あぁ、しかし……」
華憐はゆっくりと来夏の手を振りほどいて、みどりの方に近づく。そして、肩で激しく息をしている彼女の顎を人差し指で軽く押し上げて、彼女の顔を覗き見る。
「久しぶり、みどり。元気にしてる?」
「ひ、東山……さ、ん……なん、で……」
「……もう、私のことを華憐ちゃんとは呼んでくれないんですね」
そう言って華憐は優しくにこりと笑う。そしてその顔からは想像できないほどの速さでみどりの腹に強く拳をめり込ませた。
グギィと言った人が出してはいけないような声をみどりは出して、腹を抑えてうずくまる。そして、咳き込むと同時に、また嘔吐を繰り返してします。
「素晴らしいです。素晴らしいですね。なんて素敵な顔をしてるのですか、みどりさん。その恐怖に歪んだ顔……あぁ、素晴らしすぎます……」
「ひ、が……や、や、やめ……」
「嫌です」
華憐がそう言ってまた、みどりの腹に拳を入れようとした時、モナカがやめろと言うように彼女の肩を掴んだ強く引き離す。そして、いつのまにか来ていた来夏がみどりをかばうように、彼女の前に立った。
「やめなさい。神聖な場所でこれ以上の狼藉は……許すことはできません。直ちに立ち去りなさい」
「怖い怖い……でもいいじゃないですか。これはただの仲良しごっこですよ?」
「何言ってんのよ。この、みどりの様子を見てたら、仲良しもクソもないわよ」
「怖いですね。まぁいいです、きっとまたすぐにお会いできますからね、みどりさん?」
来夏とモナカがそう言うと、華憐は怖い怖いと言いながらどこかに立ち去っていった。みどりはその間もずっとお腹と口を押さえていて、ずっとガタガタと震えている。
「ーーーみどり、落ち着いた?」
「…………はい。お、おちつきま、ました」
みどりは大きく息を吐いて、ゆっくりと立ち上がった。そしてフラフラとした足取りで教会の前の石段にストンと座り込む。
そしてみどりの隣に来夏とモナカが座り込んだ。まだ、みどりは肩で激しく息をしていて、大粒の汗をかいていた。
「言いにくいならいいけど……あ、あの、みどりとあいつって……」
「……小学校からの友達。そして、私が臆病で卑怯者なせいもあったけど、私が引きこもるようになったその理由を作った……そんな、人」
「その、理由って……」
「……うん。さっきのエロゲのセリフ。あれを担当したのが、私。それがなんでか知らないかど東山さんにバレて、そして私はいじめられた。妹もバカにされた。だから私は引きこもっちゃった……はは。あまり面白い話じゃないね」
みどりは自嘲気味にそう笑ってどさりと背中を地面につけて倒れこむ。来夏たちはそんなみどりになんて声をかければいいかわからなかった。
だが、そんな時でも彼女たちは逃れることができなかった。魔法少女としての宿命からーーー
「……みどり、その……言いたくないけど……」
「うん。わかってる……行かないとね」
そう言ってみどりは立ち上がる。来夏もゆっくりと立ち上がると、後ろから声が聞こえてきた。二人が振り向くとモナカが二人の顔の前にスマホを近づけていた。
「ーーーえ、マジで?」
来夏がそんな驚いたような声を出してそのスマホをじっと見る。モナカはゆっくりと頷いて、スマホをもっと近づけて、こう口を開けた。
「私も、お伴します……もう、26ですが、魔法少女として」
◇◇◇◇◇
《魔法少女システム 『セイバー』起動します》
《魔法少女システム 『シンガー』起動します》
《魔法少女システム 『キャスター』起動します》
こうして、三人の魔法少女はアンダーワールドに降り立った。キャスターは大きな杖を構えてゆっくりとした足取りで歩き始める。
それを見たセイバー達は慌ててキャスターを追いかける。どこかに黒い影の化け物がいるはず。それを探さないと何か現実世界に起きるかもしれない。
「……皆さん。声が、聞こえませんか?……ほら、あそこ」
キャスターが杖で指し示すそこには、黒い影の化け物が低く唸りながらのそのそと歩いていた。セイバーとシンガーはゴクリと息を飲んで、その化け物を見ていた。
が、見てるだけでは始まらない。セイバーとシンガーはうなずき合って、一歩前に進む。その一歩の音のせいで化け物に気づかれてしまったが、この際気づかれようが気づかれなくても構わなかった。
「みどり、いける?」
「……うん。私、戦う。じゃないと……かなんさんに顔を合わせられない!」
ダンッとセイバーは踏み込んで化け物に一気に近づく。シンガーもマイクを取り出して、セイバーの数歩後ろで歌を歌い始める。
その歌のおかげでセイバーは少し動きが軽くなり、さらに勇気も湧いてくる。化け物はそんなセイバーを襲おうと腕を伸ばすが、セイバーはグルンと体を回してそれを避けて、その勢いのまま化け物の手を斬りつける。
ズバンと音がして化け物の手は吹き飛ばされる。化け物は低く唸りながらもう片方の手を伸ばしてセイバーに襲いかかる。しかし、セイバーは、剣を盾にしてその攻撃を弾いた。
ガキンッと音がした後、セイバーはもう一度その化け物手を斬り落とす。そんな彼女を見ながら、後ろにいたシンガーは歌いながら、まるでサッカーの試合を見てるような興奮を覚えていた。
「早くトドメを……キメる!!」
セイバーはそう言って化け物の胸を狙い剣をつきたてようとした。しかし、そんな時でも化け物は殺気を放っていた。
「ーーーっ!!危ない、みどり!!」
シンガーがそう叫んだ。セイバーはえっと言いながら横を向く。なんとそこには先ほど切り落としたはずの、化け物の手があった。
この短時間で修復されたのかと、驚いた後には自身に降りかかる死という一文字が頭の中を駆け巡る。
「い、いやーーー!!」
「ーーーはぁっ!!」
セイバーが死を覚悟した時、横から何か玉のようなものが飛んできて、化け物の手を弾き飛ばした。セイバーはその時、止まりかけた足を無理やり前に出して、倒れこむような形で化け物の胸を貫いた。
「お。終わったのかな……?」
「ええ。なんとか無事に終わりましたね。お疲れ様です、園崎様と小波様」
キャスターはそう言って杖を軽く振った。その度に小さな粒子のようなものがキラキラと輝きながら、杖の軌道をなぞっていた。
「そうですね……お疲れ様です」
突然パチパチと拍手の音が聞こえたかと思うと、一人の少女がこちらに歩いてきていた。その少女は黒い髪を揺らしながら、胸の部分が赤く、それ以外は黒色のチャイナドレスを着ていた。
「貴女……魔法少女、かしら?」
「ええ。そうなりますね……クラスは、ファイター接近戦では負ける気はしません」
「……そう。で?やりあうつもりかしら?残念だけど私達は手を抜かないわよ」
「まぁまぁおちついて……まずはこれを聞いてくれません?」
ファイターと名乗る少女はそう言ってスマホを取り出して何かを流す準備をしていた。その時、セイバーは何か嫌な予感がして、体が震え始める。
ファイターはニコニコしながら、スマホの音量部分をゆっくりとおしていき徐々に音を大きくしていった。そして、その音はいやでも彼女達の耳に入り込んできた。
《……っあっん♡だ……だめぇ……きもちわりゅいのにぃ……♡きもち、いいよぉ〜♡》
「オッ、ウッ……ウエッ……」
セイバーは自分の顔から生気が消えていくのを覚えて、そしてそれを忘れるよに口から何かの塊を吐いた。
膝からぐすれ落ちてもなお、彼女は苦しそうに口から吐瀉物を吐き出していた。しかし、そんな中でもスマホから声は途切れることはなかった。
「みどりっ!?あ、あんた!!早くそれを止めなさい!!」
「あははは。そう言いますか。そう言いますよね。でも嫌です。だって、止めたらみどりさんの素敵な顔が見られませんじゃないですか……」
そういうとファイターはスマホを構えながら、みどりの顔に合わせてパシャリパシャリと写真を撮り始める。シンガーはぎりりと奥歯を噛み締めながら、ファイターに向かって駆け出す。
しかし、シンガーはサポート系。戦闘系のファイターに赤子の手を捻るよりも簡単にシンガーは殴り飛ばされる。
地面に何度も体を打ち付けて、シンガーは立ち上がるが、顔を上げた瞬間、サッカーボールのように顔を蹴り上げられて大きく弧を描きながら頭を地面に打ち付ける。
「あ……ぐうっ……!」
「弱いですね。貴女みたいなのがみどりさんの隣にいると思うと、ムカつきを通りこして殺したくなります」
そう言ってファイターはゆっくりとシンガーの方に歩き出す。シンガーは動きたくても体が言うことを聞いてくれず、震えることもできなかった。
が、ファイターは歩みを止めた。何故か。それは目の前に一人の魔法少女が立っていたからだ。その魔法少女は巨大な盾のようなものを構えていて、ファイターを睨みつけていた。
「貴女、何者ですか?私の邪魔をしないでくださる?」
「そうは問屋が卸さないね!!なんせボクは正義の味方!その名もガードナー!!それ以上こっちに来るなら私が相手になってあげるよ!!」
「……まぁ、いいです。今日は引いて上げます。また今度お会いしましょう?みどりさん達」
ファイターはそう言ってガードナーと名乗る魔法少女の目の前で変身を解いて、そのまま元の世界に帰って言った。
「うむ!これで悪は去った!!ではボクはこれで……?」
「あの、待ってください。ガードナー様。お礼を言わせて欲しいのですが……」
「っー!!いいね!様呼び!!本当に正義の味方みたいだ!!」
ガードナーはそう言って自分の武器であろう大盾を何度も自分の手で叩き続ける。キャスターは、少し困惑しながらも、頭の中では数多くのことを考えていた。
「……改めて、助けていただきありがとうございます」
「いいのいいの!!なんせボクは正義の味方!!ガードナーだから!!それじゃ、また今度!!」
そう言うとガードナーはどこかに飛んでいく。一人残されたキャスターは気絶しているセイバーとシンガーをどうしようかと悩みながら、すこしぼーっとしていた。
「……あ」
その時ふと気づくとあっちの世界では枯れかけているであろう木が、こっちの世界では大きく枝を伸ばして、のびのびと茂っているのが見えた。
それを見た瞬間、キャスターの頬を伝って一筋の涙が流れたが、それは無意識であった。
◇◇◇◇◇
「ただいま帰りました……まぁ、誰もいないのはわかってますが」
戦いから帰ってきた華憐はイヤホンを外しつつ、部屋のドアを開けて自分の家に入る。そして流れるようにベッドの上に倒れこんで、目を閉じた。
「……ふふ、ふふふ……まさかみどりさんの素敵な顔を見れるなんて……しかも写真に取れるなんて……ふふふ、なんで私は幸運なのでしょう……でも」
華憐はそう言って壁を強く殴る。そこには来夏の写真が飾ってあり、さらにそれには無数の穴が空いていた。
「なんでなんでなんでなんで!!さいっっっこうなみどりさんの顔を知ってるのは私なのに!!なんで隣にいるのは私じゃないのよ!!」
そう言いながら華憐はイライラした様子でスマホを投げ捨てて、机にへばりつく。そして、愛おしそうな顔で机に頬をつけてスリスリと動かす。
そこには、みどりの写真が所狭しと敷き占められていた。そこには一枚一枚日付が書いてあり、いつ、この写真を入手したかを表していて、その膨大な量は彼女の異常さを表していた。
「私が初めてみどりさんのエロゲ進出を知ってそれを伝えた時の顔……あの絶望した顔を見た瞬間、私はぞくりとしたの……また見たいと思ってまたみんなに言いふらしちゃったけど……仕方ないですよ、ね?」
そう言って華憐はウフフと笑い続けていた。彼女が投げ捨てたスマホからは甘い喘ぎ声が淡々と響き渡っていたのであった。
第4話『あぁ、素敵すぎます』
個人的に一番書きやすいキャラである華憐さんの登場です。それのモナカさん。
ここから新キャラがちょいちょい出てきますので、お付き合いくださいまし




