↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テンプレ異世界はバグばかり?異世界を救ったら家計が赤字になったので、配信業をはじめます  作者: ニャルC


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/17

第15話:愛しいノイズと神意の考察

「……以上、会議は終わり」

しかし、宣言しても誰も個室へ戻る気配がない。

「ねえ。ワタシ言ったよね? ここはワタシの作業用メインルームであって、共有スペース(ラウンジ)じゃないって」

ミントは深いため息をつき、家計ログに刻まれた多額の「敷金・礼金」の文字を直視した。

次の更新までは、この「間取りのミス」を抱えていくしかない。

「……わかったわよ。でも、寝る時だけは各自の個室へ戻ること。これが妥協ライン(プロトコル)ね」

広くなったはずの部屋には変わらず、計算を狂わせる愛おしいノイズが溢れている。


「あれ、リリからコラボのお誘い?」

プロデューサーではなく、リリ本人からだ。

「恭順の意を示して潜り込む罠では?」」

と、ヘレンが武門の出らしく警戒する。

「負けた相手と結婚する、一族の掟でもあるのでしょうか?」

ニクスは同類と判断し、別の意味で警戒している。

「ミント、今日は神社でお祭りだって! 行こう、行こう!」

何かを思い出したように、ラムが袖を引く。

ヘレンも同意する。

「そうですね、多忙にかまけて戦勝報告に伺えていませんでした」

ミントはミラーグラスを操作し始める。

「んー、帰ってから、この件は検討しましょう」

お祭りの撮影許可は今からでも間に合うかしら?あとレンタル浴衣姿の手配。

ヘレンのオフショット、大食い天使のお祭り編……撮れ高は相当期待できるはずよ」


(本編完)


エピローグ:P仕事の流儀、特別インタビュー『なぜ彼女たちはバズるのか?』

「ミントPは出ないの? ラムたちと一緒に『バズる』?」

ラムがマイクを差し、無邪気に問いかけてくる。

ミントはミラーグラスを中指で静かに押し上げる。三人の異邦人たちをじっと見つめ、彼女は自嘲気味に笑う。

「一回トレンド入りはしたけど、ワタシはいいの。Pは常に、システムの裏側に潜んでいるべき」


「なぜ彼女たちは、このシン新宿でこれほどまでに熱狂的に受け入れられているのか?」

とラムが質問を読み上げる。

「ワタシがあの世界をデバッグできたのは、あの世界の『ご都合主義』というOSに対して異物だったから」

答えはミント自身がパンガイア大陸をデバッグできた理由と、鏡合わせだった。

「そして今、貴女たちがここでバズっているのも、この街を覆う『デジタルな虚飾』という薄っぺらさを、圧倒的な物理質量で踏みにじる異物だからに他ならないのよ」

この街の住人は、加工され、最適化され、無味乾燥になった「整いすぎた世界」に飽き果てている。

そこに投げ込まれた彼女たちは、予測不能な挙動を示す異物そのものだ。


「異物(バグ)こそが、システムを更新する。異物ではないワタシが表舞台に出る必要はない」

停滞したシステムにとって、異物の侵入こそが「進化」という名の再起動(リブート)を強いる唯一のトリガーとなる。

「今のワタシの仕事は、この最強の異物たちが、このシン新宿を最も美しく破壊し、書き換えるための環境を構築することよ」


インタビュー後、自室にて:女神ガイアの仕様書への疑念

ミントは思考の深度をさらに一段階、下げていく。

脳裏に浮かぶのは、あのポンコツのフリをした女神ガイアの顔だ。

もし――もし、この「シン新宿リブート計画」すらも、あの女神の仕様書に含まれていたのだとしたら?

ミントは仮説をビルドし、仮想ウィンドウに展開する。


仮説:文化のクロス・マイグレーション(異世界間貿易)

パンガイア大陸に現代の「合理性」と「物流」を持ち込んだ見返りに、シン新宿には失われた「野生」を輸出する。

死に体だった両方の世界の均衡(バランス)を保つために、ミントを触媒にして行われた。

大規模なシステム・アップデート?


「もしこれが最初から決まっていた『仕様』だとしたら?

ならワタシはまんまと、ガイアの手の平の上だった?」

ミントは唇を噛み、ミラーグラスに映る「黒字」のログを見つめた。

もしそうだとしたら、これ以上なく癪な敗北だ。


「ガイアはワタシに一切コンタクトしてこない。

つまり、アイリス王女によるパンガイアの運用は順調ということの証拠ね」

かつて自分と共に、終わらない中世を終わらせたバディの存在。

そこに残してきた友人の、太陽のような笑顔を思い出す。

ミントの胸に微かな、しかし温かい懐かしさが去来した。


「ガイア、アップデート終了で勝ち逃げ? もう一回勝負しなさいよ」

ミラーグラスの奥で瞳を不敵に輝かせ、次なるリベンジを誓っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。