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仮11話 君の名は 前編

ここからは後日修正が入る可能性が高い、未完成部分です。お待たせしすぎるのもいけませんので恥を忍んで晒しておきます。

「……目が覚めたらそこは知らない天井だった」



うん、一度言ってみたかっただけなんだ。


そもそも思いっきり知ってる天井だし。あの小屋に間違いない。



目を開けてもそもそと身体を起こす。

どうやらベッドの上だな。皮の鎧着たまま寝転がされたようだ。

時間はまったく判らない。日差しの角度あるから昼か?

鎧に血の染みは見当たらない。よかった。鼻血だと自慢にもならないからな……


室内では魔神が子狼抱えて座ってた。

顔がにへらと笑っている。

子狼はちょっと面倒そうに、でも大人しい。

俺と目があうとくぅんと鳴いて助けを求めてきた。

犬好きでも撫ですぎて嫌われるって聞いたことあるが、ああなるんだな。


「おい、そろそろ離してやらないと嫌われるぞ」


「……ハッ。あまりのもふもふに時間を忘れてマシタ」


名残推しそうに、それはゆっくりと手を離す。

身体が自由になったのを確認したのか、少し待ってから子狼が俺へ駆け寄ってくれた。

かわいいなぁ、もう。ベッドへ飛び乗ると心配そうに鼻をこすりつけてくる。

このまま一緒に寝たくなったがそうもいかない。

恨めしそうに睨んでる魔神の機嫌をとらないとマッハでピンチ。

てか俺悪くないよな。呪いをこめた視線は勘弁してくれ……


「とりあえずだ、あとで一緒にもふもふしてやるから説明ヨロ」


「むぅ。お代官様がいないとワンちゃんの反応鈍いのですヨネ……背に腹は変えられマセン」


まだお代官様呼ばわりか。そろそろ別のにしようぜ。あとワンちゃんじゃなくね?


「撫ですぎるから悪いんだよ。面倒だし簡単でいいからな」



宥めすかしつつ聞きだした情報はこんな感じだった。


・俺と別れた子狼を見て、魔神のハートが鷲づかみされる

・肉を召喚してあげようとしたら逃げられる

・子狼が逃げた先に精霊神がいて虐めようとしたのでメッと怒ってみた

・精霊神が泣いて土下座してきたので子狼の森での安全と引き換えに許してやった

・恐いの追っ払って警戒少し緩んだのか、肉食べてくれた

・でも触ろうとしたら逃げられる。精霊神けしかけて何度か助けてようやく近づけるように

・こっちに呼ばれて(あのヘルプ?)戻った時、手を舐めてくれた

・徹底的に分析した結果、俺の匂いが有効とわかったので採取しにきた

・あとは見たとおり。鼻血の跡は子狼ごとクリーニングして小屋に移転したという。



……いつも通りつっこみどころ満載だった。

面倒だって言った割にえらく情報が多かったのには驚いたが。

子狼のくだりになると熱弁を振るいだして抑えるのに苦労した。



とりあえず、言っておかなくちゃいけないのはだ。



「わざとこの子恐がらせてんじゃねぇぇぇぇっ!!」



すぱこーん!


とうとう俺の平手ツッコミがヒットした。


感動より怒りだ。初めて女性にハタキコミいれたが罪悪感これっぽっちもないな!


「あうあう、イタイのデス…… ソ、ソレは悪いと思いつついた仕方なくデスネ……」


魔神も歯切れが悪い。三角座りででうなだれている。

良心は残ってたみたいだな。しかしお仕置きは必要だ。


「なら尚悪いわ!!ええい、そこで3時間正座!!」


「ヒィッ?!足がシビれて石になってしまいマスゥ、どうかゴ勘弁ヲー><」


顔文字を会話にいれてくるなこんちくしょうめ。てかなんで俺それが判るんだよ。


「俺に捨てられて心細いこの子を恐がらせるなんて極悪非道な罪が許されると思うたか……!」


捨てた俺も非道だけどな。力あるヤツが遊びのように脅かすのとはワケが違う。


「ううっ、反省してるノデス…… 

 もうアンナことしまセンから、オ慈悲を……(T_T) 」


「だから顔文字いれるなっつうの」


怒りのおさまらない俺だったが、くぅんという鳴き声で我に返る。

足元で子狼がオロオロと行ったり来たりしていた。

喧嘩しているように見えたんだろうな。眉が垂れて困り顔。


「む、この子が許せと言っている。心の広い子に感謝するんだな……!」


俺のこと棚上げしまくりだがそれはそれ。罰と許し、という形式は必要なのだから。


「ハハーッ、一生感謝シマス!」


創造神の平謝りってシュールだな。ヒエラルキー無視にも程がある。

子狼はおすわり状態できょとんと首を傾げている。

一生って何年だろうか、なんてアホなことを考えつつ一件落着?となった。










「それで、精霊神ってなんだよ」


当然聞いておかなくてはならない単語である。

あのとき感じた気配なのか?ヤバかったな。


「エートですね。お代官様の国の神様でタケなんとかサンをパク……お手本にシタ神様デス」


タケ……ゲームで聞いたことあるな。悪魔使役するアレだ。

タケミカズチ、だっけ?確か属性は…雷で。LVめっちゃ高かった気がするぞ。


「そのタケさんはどんだけ強いんだ」


「そうですネー、一撃でアノ街焼き尽くすくらいデショウカ」


オイオイ、ヤバすぎだろタケなんとかさん。

それをメッで土下座させるとか規格外ってレベルじゃねぇ。


「そんな神様を焼き土下座させたのか……」


「そりゃー私創造神デスカラ。ちょっと空中で100HITコンボ決めた程度デス♪」


こやつエリアルコンボ持ちか。やるな。メッ×100ってところか。

寧ろよく生き延びたなタケなんとかさん。


「その精霊神さま凄いけど創造神には叶わなかった把握。とりあえずあの子は森にいて大丈夫なんだよな?」


「ハイ、交渉の結果精霊神サンの加護たっぷり貰いマシタシ。私の加護もあるノデビーム兵器でも大丈夫?」


要はこの世界なら無敵ってことデスネ。

てか急に未来兵器いれんな。ドラゴンがレーザー撃ったりしねぇだろな。

後でソッチ系のスキルないか探してみよう。

……話が進まないのでつっこみも程ほどにして。



「OK、絶対安全了解。それなら俺が特に言うことはないな。捨てた身だしよ……」


屈みこんで頭を一撫で。尻尾をぱたぱた振ってくれた。

もう一度会えただけで十分すぎる。


「そーゆーワケには参りまセン。とにかく名前をつけて頂かないト」


「うん?名前?」


「私と精霊神の加護を受けた以上、もう強力な神獣と言っていいのデス。

 ソウなると魂で受け付けた名前以外はダメなのデス」


「なんかえらいことになってるな……で、俺じゃないとダメってのは」


「ワンちゃん本人が望んでルのデスヨ、契約ヲ」




長いので要約すると、神の力を身に宿した存在は魂に名を刻むことで力を得るらしい。

名を神から貰えば神の使徒として転生、自力で獲得すれば昇格(クラスチェンジ)

そして他者から刻んでもらえば契約、となる。

転生が最も強い力を得るのが昇格、契約にも勿論長所があり。

契約だと通信やツープラトンなどの特典もわんさかとか。

お互いの力の影響が大きく、優れた術者と契約した場合は相応の力を得る。

ただし心から望まないと契約は不可能。色々細かい規則がある、とのこと。



この魔神が創ったという時点で細かい規則は抜け穴だらけだろうと思いつつ。

俺が名付け親になればお互いパワーアップ、あとサービス色々あるよ!ということか。

互いの成長が影響しあうのも嬉しいところだ。



「話はわかったけどよ。……俺なんかでいいのか?」


「イイもナニも、アツシさん以外不可能デス」


「だけどよ、俺、一回この子捨てたし………」


視線を落とす。あの苦い、悲しい判断は一生忘れないだろう。

俺がどんな気持ちだろうとこの子に投げた石の重みが減るわけでもない。


「大丈夫デスヨ?ワンちゃん、あの時のアツシサンの気持ち大体判ッテルノデ」


「?」


「アツシサンが心で泣きながら石を投げたのチャーンと判ってマスヨ。アノ子、元からそーゆー共感能力あったみたいデスシ」


「マジでか」


手の中の温もりに目を向けると視線が交わった。

悲しそうな、でも凛とした瞳。


「契約スレバお話できるよーになりマスシ、損は無いと思いマスヨー?」


「オッケー契約しようじゃないか」


即決だった。

この子と話できるなら俺の悩みなんてどうでもいいよな!!

その時存分に謝ればいいさ!


「現金デスネ。ではきっとイイ名前つけてあげてクダサイネー。ダサかったら駄目出しの刑デス」


ハードルを上げられてしまった。

むむむ、そう言われると困ってしまう。

俺のネーミングセンスなんてしれてるし。


「とりあえずオスかメスどっちかくらい教えてくれよ」


「女の子デス。カワイコちゃんなのデスヨー♪」


女の子か。ますますハードル上がってしまった。

世の中のお父様方はどうやって名付けしてるんだろうな。

昔だと自分やお殿様の字もらったりしてたっけ。日本史ちゃんとやればよかった。

俺の場合だと淳か史……うーん。

こいつの加護もらってるしそっちからでもいいか。

チェルティ……だっけ。また借りにくい名前だな。

いや、切り取って組み合わせたら意外に―――




「よし、決まった」


「オヤ、案外あっさりなのデスネ。んではいきますヨー。光が包みますノデ思いをこめて呼んであげてくだサイ」



魔神が手を掲げるとその掌に優しい光が生まれて。

俺とこの子をゆっくりと優しく包んでいった。

自然に身体が動き1人と1匹が相向かう形になる。

穏やかな感情と共に手を差し伸べ、子狼が瞳を閉じて俺に頭を垂れ―――



「お前の名は、シルティ。俺はアツシだ。これからよろしくな、シルティ」


『―――うん、アツシよろしくね!』




頭に響く声は美しく、優しかった。




修正   オスかメスどっちかくら<い>教えてくれよ

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