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アイドルって宇宙人と戦わないといけないんですか?!  作者: 新萌
一章

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4話 隼と雛

「お、おはよう、ございます……」


 翌日、|祝詞斗(しゅうと)は指定された集会場所に恐る恐る足を踏み入れた。何分初日逃亡未遂(尚且つしっかりバレている)などどいう冷静になればとんでもないことをやらかしているのだ。本当なら部屋に閉じこもりたい気分だが、そうもいかない。自分は今日から「Midnight Phoneix」の一員としてアイドルと(不本意ながら)戦闘員の二足の草鞋を履くのだ。


「あ、オハヨー! 昨日はよく寝れた? シュートくん」

「ひっ!? あ、|三依(みい)さんオハヨゴザイマス……」


 折りたたみ机とパイプ椅子、ホワイトボードが設置された会議室のようなような部屋の中には、祝詞斗が今1番顔を合わせたくない人物が椅子に座ってニコニコと手を振っていた。


「迷わずに来れたんだ! ボク最初に来たとき部屋間違えちゃったんだよねー」


 まるで昨日の出来事などなかったかのように振る舞う三依。一抹の恐怖すら覚えながら、祝詞斗はコーハイはここ! と三依に言われるままに三依の隣に腰掛けた。


「お、三依、祝詞斗、おはよう!」

「あ、リンさんだ! おはよーございまーす!」

「……おはようございます、麟、さん」

「……どうしたんだ祝詞斗? 緊張しているのか?」


 無意識にぎこちなくなった祝詞斗に麟が訝しげな顔をする。どうやら麟は昨夜の「出来事」は知らないようだ。三依は本当に誰にも言っていないのだろうか、ひとまずホッとした祝詞斗ははい、まあ……と曖昧に笑った。


「最初は誰でも緊張するものさ。俺も元々軍の地方防衛分隊にいたから……慣れるのにかなり時間がかかった。でも、祝詞斗もそのうち慣れるから大丈夫だよ」


 流石年上の安心感である。優しく微笑む麟に祝詞斗が尊敬の眼差しを向けていると、おはようでござる! と|元康(もとやす)が元気よく扉を開けた。


「若者は早いでござるなあ! 某も見習わないといけないでござる!」

「おはよう、麟、三依君、祝詞斗君。時間通りだね」


 その後に続いて数枚の資料を持った晶理がホワイトボードの前に立ち、元康に資料を配ってほしい、と手渡した。


「今日集まってもらったのは、祝詞斗君の加入に伴う今後のスケジュールの確認についてだ。今配っている資料を見てほしい」


 元康に手渡された資料を見ると、「『Midnight Phoneix』新メンバープレスリリース日程」と太字で記され、インタビュー、写真撮影、歌唱、ダンスレッスンなどのスケジュールがカレンダーに記載されていた。


「見ての通り、祝詞斗君の加入発表は3週間後のドリームライブフェスだ。これは簡単に言うと、数グループのアイドルが順番に歌を披露する不定期開催の興行、といったところだ」

「ラ、ライブでお披露目なんですか!?」

「そうだ。この興行は大きな情報の解禁も兼ねられてる。麟と三依君もこのライブでの発表だったはずだ」

「懐かしいな……もう7年も前ですけど……すごい緊張したことだけは覚えてます」

「ボクはイチオウ報道の人への発表はあったけど、まあファンの前に立ったのはあれが初めてだったなー。ふふ、5年って早いね!」

「某ら以外のグループもこの形を取ることが多いでござる。業界の慣習だと思ってくれればいいでござる!」


 なるほど……と祝詞斗がライブの日にマーカーを引きながら聞いていると、晶理がそれに伴って、祝詞斗君には覚えてもらわないといけないことがたくさんある、とペンを持ち、ホワイトボードに3つ、楽曲タイトルを書いた。


「今から3週間の間に、この3曲の歌、振り付け、フォーメーションを覚えてもらう。ああ、3曲と言っても、短縮版だから大体1曲2分程度だ。振り付けも簡単なものになっているから安心してほしい。但し、だからといって手を抜いていいというわけではない、と言うのは言わなくても分かっているとは思うが」

「は、はい! 勿論です。これぐらいできないとやっていけない、ってやつですよね。……3週間、時間の限り練習して、最高のパフォーマンスを見せられるようにします!」

「心強い返事で安心した。専属のトレーナもいるが、私たちも可能な限りサポートしよう」

「『higher higher』は俺と元康さん、『南風の魔法』は晶理さんと三依と歌う曲だ。最後の『Midnight Phneix』は全員で歌う。祝詞斗のレッスンがある程度まで進んだら俺達も合流する予定だから、頑張ってくれよ!」


 では今回のミーティングは終わりだ。と晶理が解散を告げると、元康と麟はスタッフ共に雑誌の撮影に、晶理は自室へと戻った。祝詞斗も渡されたダンスのお手本動画と歌唱データを聞こうとすると、三依がシュート君はボクと一緒! と声をかけた。


「え、もう一緒にレッスンするんですか?」

「違うよ! シュート君は今から武器を選びに行くの! チキューガイセーメータイはいつ来るか分からないんだし、オマエ、ろくに戦う訓練してないでしょ? だからフェスの準備とドージシンコーで戦えるようにボクと訓練もするの! センパイの言うこと、しっかり聞いてね!」

「あ……そうだった……」


 すっかりライブに意識が持っていかれていたが、もしかするとダンスや歌のスキルアップよりも今の自分に必要かもしれない「ちゃんと戦って死なない力」を身に着けるため、祝詞斗はさ、行くよ~! となぜかウキウキの三依が引っ張られるようについて行った。

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