表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/73

んっ、刺がツンって。

B2。雨エリアや水晶エリア、月の見える丘エリア等はそのままに、農業エリアと広めの草原を追加。そこに、回収した倉庫やプレハブ料理教室等を再設置。

農業エリアなのだから!木に実るものは何でも良いじゃない!まだスペースはあるんだから!と、あれもこれも欲張ったら、多すぎて森になっちゃったんだけど……。ま、いっか。テヘペロ♪


B4には、おーちを設置。

それと秘密の地下エリアこと、サキ達スペア達のお部屋もこっちに移動してきた。

だってここは、私のプライベートスペースなの。入ってきちゃ、やだ。

特にあのアサガオは、絶対ダーメ。中に入られたら困るもーん。

だから、B4を囲う様に周囲の地中にはお塩の壁をグルリと設置しておいた。根っこ1本たりとも、侵入しちゃ嫌なのでっす!


……とまぁ、こんなもんかな?

農産物以外は全部、移動しただけだしねぇ?大改装と言いつつ、サックリ終わっちゃった。

さぁーてと、これから何しよっかなー?



「マスター。少々よろしいですか?」


B2で焼き鳥を調達してそのままフラフラ食べ歩きしていると、目の前にスッとイズミちゃんが現れた。


「なーぁに?」


「至急、上階に来ていただけませんか?ネロさん曰く、今すぐに!だそうですが。」


「ふぅん。なんだろーね?」


焼き鳥さんはパクッと食べて証拠隠滅。

奴に欲しいって言われても、絶対あげないんだもん!

さーてと。用事は何かなー??


にしても、相変わらずイズミちゃんは背筋もピシーっとしてて、健気可愛いや。

ふふ~♪


----------



『さっきいきなり、これがそこに降ってきたんだが。』


B1に着くなり開口一番。そう言うネロから渡された物を、私は見る。

むー??


「……タオル?」


『しかも、この世界の物じゃねーぞ?』


少し泥で汚れてはいるもののフカフカと触り心地は良く、微かに良い香りがする。

広げてみれば、端に付いたタグに名前を見つけた。


“結城早苗”と。

……なんかさ、日本っぽい名前だねぇ?


「異世界から飛んできたの?」


『いや。……鑑定したらな、この世界の住人の持ち物らしいぞ。何やら勇者とかいう奴の……。』


……“勇者”かぁ。


『なんだ?嫌そうだな。そいつの事、嫌いなのか??』


「ううん、知らない。」


っていうか覚えてない。

とはいえ勇者組は全員、【マップ】にデータベースがあるんだよねぇ。……と思って検索かけてみれば。あぁ、うん、居た。思い出した。

結城早苗。能力は“巫女”の、あのエンジョイ勢さんだ。

何かこう全体的に大雑把で、回復系なのに『唾付けときゃ治るっしょー。』って、巫女のような淑やかさ~みたいなのとは縁遠い人だったような気がする。



「……で、何ー?持ち主さんに返せば良いの?」


『あぁ、それが良いだろ。……って、そんな事出来るのか??』


「んー、たぶん?」


何か、出来る気がするー。何とかなるでしょー。

行き先はお城。もし持ち主さんの手元に届かずとも、誰かが拾って届けてくれればいいな、と。

無事、持ち主さんの所に戻りますよーに、って感じで【テレポート】

ギュッと目を瞑れば、手元にあったタオルはポンと消えていた。


『おっ?おっ?おっ?今何したんだ、お前?』


「んー?テレポート?……こう、お城までピューっと。」


『どうやってだ?』


「う?だから、こう、ギュッとしてピューっと?」


『いやいやいやいや……。』


むー?何なんだろう。

正直、感覚でやってるからこれ以上説明の仕様が無い。



『おいおい。なんだ、その理解出来ない俺を憐れむような顔は。』


えっ?あっ、むぅ。してない、してない。そこまでは思ってない。

何故か頬っぺたが、そう勝手になっちゃうだけなのぅ。ぷぅ。



「……ますた。」


その時、突如私に向かって飛び込んでくる灰色の影。

彼女はギュッと私にしがみついたかと思えば、アサガオの方をキッと振り返る。


「ますたをいじめるのは許さない。」


『だからいじめてねーつうの。』


「う!!」


抗議するみたいなコズエちゃんの『う!!』がメチャ可愛い。萌え。



『コズエ……、それにイズミも、さっきまでと態度が違いすぎねーか?お前らさっきまで、あんなお通夜みたいな空気出してたじゃねーか。』


「……うにゃ??」


「ネロさん!!」

「うー!!」


『あー、こいつらな?お前がここ数日家に閉じ籠ってる間、俺のとこ来て、暗い顔したままずーーーっと居座ってやがったんだよ。どっか行け!っつっても、動こうとしねーんだ。……全く、お陰で酒が不味いったらありゃしねぇ。』


――……みっ。


『……つーかお前もお前で、あの時、何があったか聞いても何も言わねーで逃げてくし。……あぁ、まぁアレだ。あんまこいつらに心配かけんなよ?こいつらはお前命!なんだからよ。』


……はぅあぅ。

あー、うー、えーっとさ?

――あの時からしばらく、おーちから出なかった事、出る気分になれなくて閉じ籠もった状態になってた事は認める。うん。

でもさ……。あっとさ、えっとさ。



「ねぇ。……し、心配、しちゃった?」


「……ますた?」



あぅぅ。

何て言うか、何て言うかさ。


「マスター?」

「ますた……。」



「あ、えと……用事思い出しちゃった、かも。じゃあね!」



―――


そんな事言って、またテレポートで逃げちゃう私はやっぱり駄目駄目で。最低で。


でも、怖いんだ。駄目なんだ。

……他者に心配される、ってのが、私は、結構、かなり、どうにも、苦手なんだ。

それはとても貴重な事で、有り難い事なんだろう、けど。……駄目なんだ。



ねぇ。

なんかもう、なんかもう……。


痛いのとか、苦しいのとか。

怖いのとか、怯えちゃうのとか。全部。

感情とか、表情とか。

そういうの、全部。全部。



――無くなっちゃえば良いのに、な。

ガラケーからスマホに機種変更後、初の投稿です。

スマホは、アプリという名の誘惑が多いですね……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ