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んっ、引っ越しするよ。


B4を広げ終え、B1に戻ってきた。

出掛ける前、お人形ちゃん達はここに全員集合していたのだけれど、今現在姿が見えるのはホタルちゃん一人だけ。

エリアの中央辺りでホタルちゃんは泥団子を高く積み上げる作業をしていた。

それを横目に、私はエリア端のアサガオの方に近付いてみる。



「……ん、なんか無事っぽい。」


お酒片手に支柱に体を預けるネロは、今日も青紫の花を1輪だけ咲かせている。

見た感じ、外傷とかは無さそうかなー?


『あー?』


「さっき、リンチされてたじゃん?」


『…………いや、リンチはされてねーぞ?』


「あ、そなの。つまらん。」


むー。されてないのかー。

……ん?あるえ?じゃあ一体、あの集団は何だったんだろう?



『……あー、もしやお前さ。』


「うにゃ?」


『セツ、か?』


……!!

みゃいぃ!?

恥ずい。激恥ずい。

忘れてた。今、私“サキ”の着ぐるみ着てたんだ!

確か“サキ”ではネロと初めましてじゃん?人違いと気付かず、初対面の人に親しげに話し掛けちゃった様なもんじゃん?超恥ずかしい。わわわー!



『いや、落ち着け、落ち着け。勢いのまま、俺の記憶ついでに存在ごと消されかねないから取り敢えず落ち着け。』


「知らん、滅べ。」


『やめぃ!』


……うくく(笑)

ネロの『やめぃ!』って言い方が気に入った。言われた通り、落ち着いてあげようぞ☆


『……俺にはお前のツボがサッパリ分からん。』


ネロから呆れ声で言われたった。テヘペロ?



『……で、なんだ?その格好。いや、お前が人形だってのはチビらから聞いて知ってるが、そう簡単に姿・形を変えられるものなのか?』


うー?

お人形さんはわりと簡単に、こうシュルルっと入れ替われるからなぁ。


「んー、……何て言うか、スペア?」


『ほほぅ?』


「いざって時の予備?」


『……前の奴を作り変えた訳じゃなく、あれとは別の肉体って訳か。』


「うん。」


『ほー。』


一つ頷き、何かを考え始めた様子のネロ。

ん。会話は一段落したみたいだし、本来予定してた作業に戻ろーっと。



まずは『おーち』の前に立つ。

ウィンドウを開き、“レイアウトモード”から『おーち』をまるっとアイテム化。そして“インベントリ”にポィっと。

おーちをサクッと撤去し、目の前に広がるのは更地。案外広いんだなぁ。


さて。

次は、エリア中央を貫くマンホールを撤去。

エリア(ちか)現世(ちじょう)を繋ぐ、唯一の出入口だけれど、もう怖いから撤去。行き来はテレポートで良いじゃない!

天井に空いた余計な穴を埋め埋めして完了っと。

さて次は――。



『待て待て待て。』


「うみゃ?」


『魔法か?今のは魔法か?』


「うん、魔法だよ?」


はて。この花は何を言っているんだろう。

魔法以外に何があるの?


『あぁ、そうだな。魔法だよな。うん、この世界には魔法があるんだったな。全く、俺は一体何を言ってるんだ?ちょっと飲み過ぎたか。……って、いやいや。現実逃避してる場合じゃねぇ。大丈夫だ、ネロ。自分を信じろ。単に、魔法で家を一軒消しただけだろう?よくある事じゃないか。それこそ、みんなやっている。……って、アホか。家丸ごと一軒消すとか、ありえねぇだろ。一体どんな魔法だよ。そんな魔法、あったか?どの能力のスキルだよ。意味分かんねぇ。』


みゅーん??

何かブツブツ言ってるぅー。

よく分かんない。まー、良いかー。放っておこう。



さてと。次は畑エリア。

育った作物はちゃんと回収して、耕地も撤去。

最終的には“おーち”だった場所同様、まっさらな草原になる。


あのね、思い付いたんだ。

農業ゲームでの“木”ってさ、一度植えたら永久機関じゃない?

果実を収穫すると、時間経過でまた果実が実る。収穫すると、また実る。

今の畑のシステムは、収穫する度に新たな種を植え直さなくちゃいけないのだけど、“木”ならそれをしなくて良いんだ。

まぁ、ゲームの仕様なんて多種多様だから、そうじゃない場合もあるのだけど。でも少なくとも、私のやってたゲームはそうなってたんだ。


だからさ、木を植えよう?

例えば、ニンジンの成る木。収穫すれば、私の大好きなニンジンが食べ放題。

例えば、冷凍うどんの成る木。例えば、焼き鳥の成る木。

“木”だからって別に、果物に拘らなくても良いと思うのよ。

ニンジンの木、冷凍うどんの木、焼き鳥の木、クロワッサンの木、ニンジンの木、枝豆の木、ニンジンの木、ニンジンの木、ニンジンの木、ニンジンの木。

何が実っても良いと思う。

……あー、でもここに植えるわけじゃないんだよ。

農業エリアはB2に移動です♪



さてさてと。残りはサクッとやっちゃおうね。

倉庫、プレハブ料理教室、等の建物達もおーち同様移設の為にアイテム化。

藤木さんこと不思議機械さんは、……んー、《ここに居たい。》って言ってる気がしたから、そのままにしておくかー。

それと、いつぞやにキノコさんからドロップした白水色の光を放つ4個の球体達。

これも、ここにあるのがしっくりくるから、このままにしておこうっと。


『なぁ、セツ。お前さっきから、何やってるんだ?なーんも無くなっちまったんだが。』


「うにゃ!」


唐突の質問にビックリして背後を振り返ると、真後ろに分身アサガオがニョッキリと生えており、青紫色の花もパッと花開いていた。


「……んーっと、生活拠点をもっと地下に引っ越そうかなーと思って。」


だって怖いじゃん。

そもそもB1って、現世とは土の床一枚隔てただけなんだよー。

もしもの時、真っ先に侵入されるのはB1じゃん。怖い。

……それにB1は、唐突にニョッキリ生えてくる人もいて怖いんだよなぁ。むーん。


『あー、だから地下を広げるだの言ってたのか。……つか、お前はもぐらかよ。』


「むー。そうじゃないもん。」


ぷぅ。

……いいもん、いいもん。

エリアの天井が壊された時、一番に犠牲になるのはここにいるネロだもん。

天井壊すなんて、それはたぶん強い人。だったら簡単に蹂躙される。

それが嫌なら、精一杯抵抗するなの。ネロが命がけで食い止めれば、B2以降の下階は安全だからね。

だから、門番ネロは精々頑張るなの。



『はぁ?なんじゃこりゃ。』


「ねー、おじさん。食べてよぅ!」


ちょっとボーッとしてる間に、本体ネロに向かってホタルちゃんが何かをしている事に気付いた。

近くに居た分身の花は既に萎んでる。むぅ。


『うるせぇ。俺は今、それ所じゃねぇんだよ!……っていうか、誰が泥団子なんか食えるってんだ??お前か?』


「ううん、おじさんー。」


『食えねーよ!』


うくく。やっぱりネロは面白いなぁ。


「わははー♪」


『全く。親子揃って俺をおもちゃにしやがって……。そんなに楽しいかよ。』


もちろん!


「うんっ!」


……っていうか、親子って何の事だろうね?私とホタルちゃんの事?

親子なんて、そんな関係じゃないよねぇ。


まぁ、いいや。

私は下階に降りて作業の続きしよー。

お人形ちゃん達の個人エリアであるB3はそのまま、B2を農業と、みんなで遊んだりなんかする、交流エリア、B4を私個人の自由エリアとして、B1に置いてあった建物や設備を各々の場所に設置してこようねぇ。



にしても。“もぐら”だってさぁー。

……確かにそうかも、ね?うくく(笑)



今までネロは『せつ』と呼んでいましたが、今回から表記を『セツ』に変更しました。(今までの分はすべて改稿済み。……漏れがなければ。)

「せつ」はお人形としての固有名詞。“せつ”は「せつ」、“サキ”は「サキ」。

ですがネロは、“彼女”の事を一貫して『セツ』と呼びます。外見が“サキ”でも『セツ』です。


その為、今後は「せつ」と『セツ』で区別しようかと。


(……と言うことは。)

(『アキ』呼びの副隊長さん。『セツ』呼びのアサガオ。『――ちゃん』呼びの××さん。……将来、3人集まった時がカオスである。想像しただけで作者はwktk)


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