んっ、魔力が足りないみたい。
……よし、そうしよう。
思い付いた事を実行しにおーちのドアを開けると、玄関ドアのすぐそこでホタルちゃんが泥団子を積み上げていた。
「あ、マスタぁーだ!」
「……え、えっと、な、何してるの?」
「うーん?」
「……んー?」
2人して首を傾げる。
「忘れたっ!」
……あら、そう。
んっ、まぁ良いや。
そんな事よりー。キョロキョロ。
「マスタぁー、誰探してるのー?」
「んー?ねぇ、アカネちゃんが何処に居るか知ってる?」
「んーとね、あっこ!」
ホタルちゃんの示す先は、アサガオの本体付近。そちらを見れば、おーちの影に隠れるようにして皆がひしめき合っていた。
「んー、リンチかな?」
メンバーは、コズエちゃん、アカネちゃん。っとー後は、モモちゃん、イズミちゃん、シノブちゃんかな。
全員集合か。
「ねー、何してるのー?」
声を掛けながら近付けば、パッと皆が一斉にこちらへ振り向いた。
ひぇっ。な、何!?
「……ホタル?」
咎める様な声がイズミちゃんから飛ぶ。
「ひゃい!?……あ!マスタぁー、起きたよー!」
うにゃ?そうだね、うん。寝てた訳じゃないけども。
……え。それが何??
ニコニコと手を振るホタルちゃんに、お人形ちゃん一同はため息を吐いてた。
「それでマスター。何かご用ですか?」
イズミちゃんに促され、私は用件を思い出す。
「あー、うん。えっと、地下を広げようかなーと思ってね?」
「……アカネ。どうします?」
「あー、今回はマスターが広げると良いっすよ。アタシじゃ時間掛かるっす。……急いでるんすよね?」
アカネちゃんの眉が、困った様にヘンニャリしてる。すごい。
でもなーんで急いでるって分かったんだろうね?
まぁ良いや。それはそれで有り難いよん。
「分かったー。じゃあ自分で広げてくるねー。」
―――
―
どうしてこうなった!
……ヤバい。頭痛い。気持ち悪い。吐き気がする。
ねぇ!?私、試しにちょこーっと広げただけなんだよ?
なのに何で!?
何で魔力枯渇が付いてるのぉ!?
あるえ??と思ってステータスウィンドウ開いてみたらさ、何か変なんだよねぇ。
なんか、MPが3桁しかないんだけど?
前見た時は、MP5桁じゃなかったっけ。見間違い?それとも記憶違い?
むー。
しばらくの間、ダルくてゴロゴロしながら、ステータスウィンドウをボーッと眺めていた。
そしてふと、あっ!?と気付いたんだ。
端っこに三角付いてるぅー!?
ステータスウィンドウの右下と左下。それぞれ、続きがあるよ、と言いたげに三角の角が外を向いていた。左下の角にある三角は左を示し、右下の角にある三角は右を示している。
試しに左下の三角をタップしてみれば……うおぅ!スライドしたぁー!
こう、ピュン!って。
左を示す三角を押した瞬間、見ていたウィンドウは右に流れ、新たなウィンドウが姿を見せた。そこには、『アキ』と。
ちゃんとMPも5桁ある。――うん、確かに前見たのは『アキ』のステータスだったわ。
そして、そこから右三角をタップしていけば、『せつ』、そして『サキ』が表示される。この『サキ』も実はMPが5桁あった。
何でだろー?と考えて、思い至ったのは作った時の認識の違い。
『せつ』はあくまで“新しい肉体”“別の自分”“仮想世界の人形”という感覚であるのに対し、『サキ』は『アキ』の肉体をコピーした分身人形。
だからたぶん、MPが馬鹿高い『アキ』をコピーした『サキ』もMPが馬鹿高くなり、対して“普通”を願った『せつ』はこの世界でのわりと平均的なMP値になったんじゃないかなぁ?と。
まぁ、単なる想像だけど。
って訳で、『せつ』から『サキ』に人形チェンジ。
お人形を置いてあるお部屋まで這ってった。ダルかったけど頑張った。脳ミソ痛すぎてヤバかった。
『せつ』から『サキ』になった瞬間、スッと痛みが無くなり全身が軽くなった様に感じたのは不思議な感覚。
すっかり身体も軽くなった私は作成中のB4に戻り、莫大な魔力でサックリと予定範囲を広げ終わってしまった。
んー、あっという間。でも良き良き。
よし、それじゃあ。
大改装しましょうかねぇー。




