んっ、モフさん着たいな。
じーっ。
じぃぃーっ。
じぃぃーーーっ。
……んっ。よし、決めた。
新しくお人形さん作って、モフさん着よっ。
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異世界召喚された時、私が来ていたのは上下セットの部屋着。モコモコの白いフリースで、猫の絵柄が付いている。可愛い。
そんな時に着ていたせいか、今の所一番に愛着があるんだ。
……でも、今の私に着てみる事は出来ない。――だって、サイズが合わない。
“せつ”になる時、少々身長を伸ばした。そのせいで若干サイズが小さくなって、前に比べて着心地が悪くなっちゃったんだ。
何ていうか、つんつるてん。袖も丈もやや短い。
それならば!と、今決意した。
このモフさんに合うお人形を作ればいいじゃない!と。
そしたらこれ、また着れるし!お人形さんならば、暖かい時にフリース着ても気温なんて関係ないし!
それに後々、別のお人形を作ろうとは思っていたんだ。
だってさー?
もし“せつ”というお人形が死んだらどうする?滅茶滅茶なくらい損傷して、繕えないくらい粉々になったら?そんな時の、別のお人形。所謂残機。このお人形が再起不能になった時のスペア。
『ほら、新しいお人形よ。』ってやつ。
まぁ、早々そんな事は起こらないだろうけど。
……でも、副隊長さんは言ってたんだよなー。『魔王の影響か、魔物の突然変異及び狂暴化、大量発生等が各地で起きている。』って。ビックベアーさんとか人喰植物さんとかも、たぶんその影響なんだろうねー。
世の中、何が起こるか分からない。
結構抜けてる所のある私なら、ふとした瞬間にぽっくり御臨終なんてのも十分にあり得ると思うんだ。
私自身、不意の事態が起こった時、サッと反応出来るとは思わない。だって鈍臭いし。
いざ動くとなった時、自分がどこまで戦えるのかっていうのも分からないしなー。もしかしたら、私の攻撃が全く通用しない!?なんて事もあるかもしれない。
そしたら絶対パニクって、何も出来ずにぽっくりするんだろうなって。
だからこそ。
ふとした時にぽっくりしてもすぐ復活出来る様に、代わりのお人形を用意しておこうかと。
って訳で、カプセルベッドの並ぶ地下研究施設風エリアに降りて来た私。最初はウインドウ内でキャラメイク〜。
今回は“アキ”を真似る感じで。……もちろん美化はするけどー。
さてまずは、モフさんを着る為に身長と体型を“アキ”からコピーしてっと。
……あれ、何コイツ。細っ。ちみっこ。思った以上に小さいし、簡単に折れそうなくらい細い。……私、こんなだったんだ?こりゃ、守りたくもなるわな。一人で放っておけないわ。うん。
――とまぁ、コンプレックスをあちこちグサグサ刺激されつつ、私はキャラメイクを進める。
身長が150にギリギリ満たない、ちびのガリ。
見栄えが良くなる様に、多少お肉を追加して補正してみたけれど、それでもやっぱり細っこいなぁ。
真っ黒く長い髪には緩くウェーブをかけ、色素を少し抜いてみた。
肌はやっぱり色白になりたいな!
瞳は黒のままで良いけど、睫毛は増毛しとこー。
なーんて、ちょこちょこ修正してたら、結果的に似ても似つかないくらい可愛い子になっちゃった、テへ。
でもまぁ、なんだかんだアバターなんだから可愛い方が良いじゃないかー!人は見た目がとっても大事だと思います。
そんな訳で、決定したキャラメイクをサクッと【クリエイト】っと。
出現場所は、新たに作ったカプセル内を指定。
今度は失敗しないよー。
前みたいに、直接出したらバランス崩して、すってんころりん!なんてしないようにね。予め寝かせておく。
そうして、カプセル内に現れるのは美少女。
んーと名前はねぇ、元が『アキ』だし『サキ』とかどうかなぁ。
ふふふーん。決定!
そうしたら私はカプセルベッドに寝転がり、シュルシュルリンと“サキ”へ移動。
ゆっくりと起き上がってベッドの外へ出る。
鏡の前でお手てをニギニギ、体をペタペタ、ピョンピョンピョン。
くるりんと一回転してみれば、デフォルトの服装として適当に選んだ、白い簡素なワンピースがフワリと広がる。
んっ、いい感じ。
よーし。ならば、モフさん着るのだー!おーちに置いてきたけど、ね。……持ってくれば良かったか。
ちなみに、お人形の身長等が変わっても、彼女にとって肉体を動かす感覚は全く変わりません。




