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私、勇者召喚されたみたいだけど、異世界に来たからって何かが変わるワケじゃない。  作者: たんぽぽ
第二章 ねぇ、一人でいる方が幸せだと思うけど。
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ねぇ、王道展開に縁は無いよ?

※念の為、隠蔽スキルの違い説明


【空気化】存在感が薄くなる。けどそこに誰かが居る事はなんとなく分かる。但し、目立つアクションにより、それを見ていた人に注目される可能性はアリ。


【気配遮断】存在する気配が一切消える。但し実体はある為、人とぶつかる可能性アリ。



※以下、偏見的差別発言を含む可能性があります。……ご注意ください(?)


私が副隊長さんに、頭をポンポンされているその時。

戻ってきた若騎士さんがこれを見て一言。

『副隊長って、もしかしてロリコンなんスか?』と。


帰る私を、副隊長さんは人通りがないギリギリの廊下まで送ってくれた。――だって私、実質透明人間だし。透明人間と話してるとか滅茶苦茶怪しいもんね、うんうん。

その間、副隊長さんにロリコン発言した若騎士さんは、脳汁マッシャーされながら引き摺られてた。……うむ。存分に萌えさせていただきましたっ。えへへ~。



お城を無事出て、私は何となく道なりに歩く。

一本道をしばらく歩けば、この先は町だったはず。


その時、疲れていたのか私の頭は少しポワポワしてて。

フワフワ~と歩いてたら、あっという間に町に着いてた。


勿論、町の入り口の門の所には見張りの騎士さんがいて、お金を払わなきゃ町の中に入れないんだけど。

……私、お金持ってないんだよねぇ。だから、隠蔽スキル付けたままコッソリ入っちゃった、テへ。


…………ごめんなさい。あぅ。

なんか、ただ中を覗いてみたかっただけなんですぅ。

何もしません。悪い事もしませんし、お買い物もしませんからぁ~!……あ、それはダメ?でも私、お金持ってないんだよ、うん。仕方ないよね!(ォィ


でも本当に、ただの興味本意なんだよねぇ。観光気分。

チョロッと中を見るだけなら良いよね?ね??



町はそこそこ、人で賑わってた。私はその中を【空気化】だけを付けて歩く。

……いやだって、【気配遮断】まで付けると私の存在が認識されなくなるから、人にぶつかりまくっちゃったんだもんー。


雑踏の中を、ポワポワとした空っぽの頭で歩くのは楽しい。

お城に行って得るものは多かったけど、緊張しまくったから滅茶苦茶疲れたんだなぁ。


生き物の発す雑音が、働かない脳ミソをただ通過し、意識の外へ流れていく。

周囲を見渡せば、生き物達が蠢く姿が瞳に映る。それが何故か、空っぽの頭にはとても面白く感じて。…………うん、言い方がアレだね。

人間達が行き交う姿が、動物園の動物達を見るみたいに、もしくは水槽の中の魚みたいな、……ボンヤリした頭にとっては、何だか見てて飽きないんだぁ。まぁ、ボンヤリしてなくとも、生き物が動く様子は規則性が無くて、見ていて飽きないのだけど。

――と。




ザズズッ。


……あうっ!?


何にもない所で躓いた。

コケかけたけど、コケてない。ギリギリ大丈夫。うん。



――あっ。あそこの屋台で売ってるお肉さん、おいしそー。いいな、いいな。

――あっ。あそこに並んでる大きなビー玉さん、綺麗だな。ピカピカだなぁ。

まぁ、お金持ってないから買えないけどさ。


ふふ~ふふ~ん♪

ブラブラと眺めるだけでも楽しいねぇ。




ドスッ。


はぅ。人とぶつかっちゃった。

通りすぎてったその人を振り向けば、その人はこっちを向いて睨んでた。


「チィッ。」


はぅあぅあぅー!

ごめんなさい、ごめんなさい。怖いから、舌打ちしないで!睨まないでぇ!ぅぅ。

――振り向いて視線に怯えていたら、自然と歩みは止まってたみたいで。



ドンッ。


「痛ってー!」


また誰かとぶつかり、相手の勢いで私は数歩たたらを踏む。


「痛えよ、嬢ちゃん。」


地面に転がってる人が声を上げた。その人の周りにはもう二人の男性。……この三人、おじちゃんというかおっさんというか。そんな年齢。――私的に言えば、普段から『ふへへ~。』とか言いながら女子社員にセクハラして、『変態!』ってカバンで叩かれても全然効いてない感じの、所謂“中年おやじ”みたいな人達だなぁ、って思った。完全に個人的感想だけど。



「ちょっと嬢ちゃん、聞いてる?オレ、痛いの。怪我したの。分かる?」


……う?

うみょ?みょみょ??

うみょりんぽぽぽ??


「治療費、出してくれるよねぇ?」


ぽー?ぽぽ。

んーっと、えっーと。

怪我してるの?どこに?してないよね?ぽぽぽ?


まぁ、良いや。【癒し】掛けとこ。何となく、キラキラのエフェクトも付けて。

はい、発動。


と、横のおじさん達が動いた。


「嬢ちゃん、聞いてたよねぇ?あぁ、そうだ。ここじゃ何だし、ちょっとあっちでお話しようかぁ。……ねぇ?」


「ここは人様の邪魔になるもんなぁ?」


むぅ。肩に腕、回してくるなぁ!重いし。

それになんか。……正直、きちゃない。臭う。気持ち悪い。



「ほらほらー。こっちだぞー。……でへへへ~。」


「大切なお話をするのに、ぴったりな場所があるからなー?……ぐふふふ~。」


はゎゎわ!

連行すんな!腕から掛かってくる体重が重い!あと、くちゃい!気持ち悪い!

っていうか、癒した方のおじさんは!?……ん?あれ?なんか呆けてない?大丈夫?生きてるよね?ね?




連れ込まれた場所は薄暗い路地裏。

人気(ひとけ)は無く、確かに大切な話をするにはいい場所かもしれない?かなー?


「さ~ぁて嬢ちゃん、治療費出してくれるよなぁ?」


壁に背を押し付けられ、おじさんがにじり寄ってくる。

むぅ!だから、くちゃいのだぁ!

触るな!近づくなぁ!はぅあぅあー!



「でも嬢ちゃん。君、文無しだろう?スられてたもんなぁ。分かってるぜ?金なんて今すぐ出せねぇって訳だ。だったら話は簡単、体で払って貰おうか?」


うにぃ!?スられたっていうのはちょっと何の事か分かんないけど、体で払うってのはまさかアレですか!臓器売買ですか!!

ザシュ!ってしてブチィ!って取って、お金ザラザラうっへっへーな、アレですか!滅茶苦茶痛そうですね!痛いのは嫌なので止めて欲しいですよ!!



「ちーと幼いが、ヤっちまえばこっちのもんよ。」


「何、そう怯えるな。こう見えて、俺達意外と優しいんだぜ?……大人しく言うこと聞いていれば、な?」


はぅあぅあぅ!

殺っちまうのですか!痛いのは嫌なのですぅ!

優しく()ったって、痛いものは痛いでしょう!

近づくなぁ!あっち行けー!しっしっ。



……まぁ。

なぁーんて、ね?


――いや、だって。ここまで来たら、鈍い私にだって状況は分かるよ?

あれでしょ?『強姦』ってやつでしょ?

今までそういう風に見られた事すら無いから、相変わらず現実味は薄いんだけどさー。


……でもアレよね。

こういうゴミがいるから、誰にも言えず苦しむ人がいるんだろうなぁ、って。

現代日本にも居るくらいなんだから、こっちはもっと悲惨なんだろうなぁ、って思っちゃうなー。


――消えちゃえばいいのに。

こういう事をしている全ての人間を消すー、なーんてのは無理だけどさ。

せめてこの人達だけでもいなくなっちゃえば、その分泣く人は確実に減ると思うよー?


……消しちゃって良いかな。

私がやれば、存在していた痕跡すら無く、綺麗さっぱり消えちゃうよ?

【昇華】する?

まぁ、大人しくされるがままとか、絶対に嫌だし、さ?

えっと、んーとね。あぁ、アレだよ。確か正当防衛ってやつ、かな??



ニヤついた顔で伸ばされる手。

魔法の用意は終え、何の感情も無く見上げる私。

その時は、ゆっくりと近付いてくる。




「待て!」


――と。

寸での所で、勇敢な声が割り込んだ。


「その子から手を離せ!下郎が!」


声のした方をパッと見れば、マジもんのイケメンが仁王立ちしていた。

黒髪黒瞳に整った顔立ち。……ち?

テレビに出てそうな。……な?アイドルにいそう……かな?

あ、ごめん。分かんない。

私にしてみれば、クラスの2/3くらいはイケメンに分類しちゃっても良いんじゃね?って思っちゃうから。うん。そのくらい、私の中の基準は低い。

でもまぁたぶん、超の付くくらいのイケメンなんだろうな。分かんないけど。


いやだって私、肉塊(イケメン)に興味ないし。アイドルとか、好きになった事無いし。

造形が格好良いとか、理解出来ないんだごめん。



「テメェ、何者だ?邪魔すると痛い目見るぞ!」


「今のうちなら、有り金全部で見逃してやるよ。ほら、とっとと置いてけ!」


「嫌だね。……っていうか、君らの方が痛い目見るんだけど?」


「……テメェ。舐めやがって。」


おじさん達は腰から短剣を抜いた。

それを見たイケメンさんも剣を抜き、構える。

ピリピリした空気が辺りを包む。……と。



――わっふん!?


手をグィッと引っ張られ、ポスンと何かに包まれた。……後ろからのハグ?

……んーと、あれれ。およよ?

首筋には冷たい感触。回された腕の先には、やっぱり短剣?

ありゃ。近くにいた方のおじさんに、人質にされちゃったみたい。タハハ。


んっ。でもヤだ。

何度も言うようだけど、この人達、きちゃないの。正直、服とリュックが汚れるから抱えないで欲しい。出来るなら、一切触れないで欲しいくらい。……ってかさ、リュックまで一緒に抱えて大丈夫なの?邪魔じゃないのかな。

どっちにしろ、触んな離せ。



あ、そーだ。

チチンプイプイ【睡魔(すーいま)(他人指定)】。

きちゃないから離してくーださい。発動、と。

ゴテン!と、私をリュックごと抱えていたおじさんは、体から力が抜けたみたいに崩れ落ちた。


「は?一体何が!」


「今だ!」


カーン!ゴン!という鈍い音を立て、もう一人のおじさんもイケメンさんの手で崩れ落ちた。


「大丈夫か?」


心配そうな顔で見下ろしてくるイケメンさん。身長差が半端無い。

……っていうか、さ。


「お前、名前は?」


ひぇぇー。あぅあぅ。

……あの、ね?……私、ね?


<『大田屯勝』さんからステータス情報の閲覧申請が来ています。許可しますか?[YES/NO]>


……ぴぇ!?ステータスの閲覧申請!?

え、あっ、この人が見ようとしてるの?

NOです!NO!無理です。あぅぅ。


あの私、実は超のイケメンは無理なんですぅぅ。

だから正直、『こっち見んな。』なのですぅー!はぅぅ。



「……ほう。俺の鑑定を弾くって事は、見た目に似合わず強い力を持ってるパターンか。そろそろロリ嫁もありだな。」


にぃッ!?ボソって、今何か言った!“ロリ嫁”言った!ヤダ怖いっ!

っていうか、この人何者なんですか!【鑑定】っ!



---


名前  大田(おおた)屯勝(とんかつ)

年齢  42

性別  男


体力  1

魔力  1

器用さ 1


能力名 ポイント制(Lv83)

あだ名 オタ豚さん



*ポイントステータス


体力 100 (MAX)

魔力 100 (MAX)

攻撃力 100 (MAX)

防御力 100 (MAX)

筋力 70

知力 70

俊敏 70

命中 90

剣術 100 (MAX)

盾術 10

槍術 10

棒術 10

弓術 20

体術 20

馬術 20

魔術 100 (MAX)

暗殺者 40

錬金術 20

鑑定 100 (MAX)

獲得ptUP 100 (MAX)

金運 100 (MAX)

威圧 80

隠密 80

飛行 40

潜水 30


容姿 100 (MAX)

魅了 100 (MAX)

色魔 60


残りポイント 32


---


あっ、あっ、あっ。知ってる、この人。

勇者召喚されたその日のうちに、お城から出て行った人じゃん!

ってかアレ?完全に別人じゃん!顔も体型も全然違う……。



「あれ?お前、よく見たらお城にいた小っさいやつじゃねーか?……もしや俺を追って?」


ひぃぃ!?

最後に小さく呟いた言葉。今度はちゃんと聞こえたからなっ!

追って来た、なんて。……んな訳あるか、アホーぉ!!!

もうヤダ。おーち帰りたい。この人怖い。



「あー!カッさーん。もぅ、やっと見つけたよー。」


見た目イケメンさんの背後の通路から、元気っ娘な空気を纏った美人さんがひょっこりと顔を覗かせた。

それに続くように、後ろからもたくさんの美人さん達が姿を現す。……気付けば、美人さん達がいっぱい湧き出てた。

んーと、十何人かくらい?

蛍光色の髪はカラフルで、肌色が多くて……。えーっと、寒くない……のかな?

だってほら、日中は春っぽくて暖かいのかもしれないけどさ、夜はそれなりに寒いじゃん?日が落ちちゃったら風邪引かない?大丈夫?


集まった美人さん達は、ワイワイ、キャピキャピ。

既に囲まれているイケメン(仮)さん。

あ、ハーレムですよね、分かります。

完全に王道な感じですよね!


今のうちに。そろーり、そろーりと、私は静かに後退る。

幸いにも、美人さん達は私に目もくれない。


……そーっと、そーっと。



「あ!ちょっと待て。逃げるな、お前!」


ひぃっ!!バレた!

ついでとばかりに、美人さん達のカラフルな瞳もギョロリとこっちを見た。ひぇぇ……。



「ねー、カッくん。その子だぁれ?」


「うん?あぁ、そいつらに絡まれてたから助けたんだ。ほら、足元の。」


へ?あ、本当だ。寝転がってる二人とも、群がった美人さん達が踏みつけて絨毯にしてる。

あ。今、何人かが更にゲシゲシして、おじさん達を踏み固めた。……恨みでもあるのかな、ななな?



「それでお前、大丈夫か?怪我とか無いよな。」


ひぃ!止めろぃ。こっち見んな!

私に声掛けるな。注目されちゃうんだってば!

美人さん達の視線が、ビシビシ刺さるぅ!ぎゃああ。やーめーてー!


ホント、イケメンの顔してこっち見んな!困った様な心配した様な表情で、こっち向くな!私に視線を向けるなぁ!

ジリジリと後退する私に、一歩一歩イケメン(偽)さんは近付いてくる。怖い。


「いやいや、大丈夫だから。俺はコイツらの様な乱暴な事はしない。だから頼む、逃げないでくれ。」


ヤダヤダ。無理無理!

ハーレムしてんじゃん。同類だよ!

帰りたい帰りたい。この場所からマジ逃げたい!怖いよっ!

もうヤダ!逃げたい!逃げたい!帰りたい!


――おーち、帰りたいよっ!!!


心の中で叫んだ瞬間。




パッと光が弾け、フワリと体が軽くなる感覚。

漂っていたのは数瞬か、数秒か。長いようで短い時間。

すぐに体には重さが加わり、私はフカフカとした場所に落ちていた。


フカフカ。フワフワ。

ポフポフ。ポンポン。


私は、クッションにまみれた部屋にいた。

部屋中にクッションが溢れてる。

クッションの海。


瞬間移動でもしたかなぁ?

んー。どこだっけ、ココ。


――あ。ここ、アレだ。

おーちの2階にある一室。

クッション部屋だぁ。


バフン!って飛び込んで、モフモフする部屋。

安心した私は、手近にあるクッションをテシテシ叩く。


テシテシ、テシテシ、テシテシ、テシテシ……。






――うわぁん!怖かったよ!!


もうヤダよ!お外、出たくないよ!お外怖いよ!やっぱり、ろくな事無いじゃん!

騎士さんには見つかっちゃうし、それで心臓破裂(バクバク)だったし。

フラフラーって賑やかな場所に立ち寄ったら、なんか変なのに絡まれちゃったし。

たくさんの美人さん達にはギョロリって、みーんなこっち見てたんだよ。

ヤダよ。滅茶怖かった。こっち見たって、何も面白くないんだよぉ!



……でも、でも。

それ以上にね?


顔の造形が整った超絶イケメンに視線を向けられる、ってだけで、私は非っっっ常に怖かった。


だって、だってさ?


『イケメン』という存在は皆から注目されるものなんだよ?

彼の言葉は皆が聞くし、行動一つ一つに視線が引き付けられるんだ。

そんな人と共に居れば、当然一緒に注目される。……そんなの、私は無理。


住む世界が違う、ってやつ。

注目されたくない私にとっては、絶対に近付いちゃダメな存在でしょう?

認識される事自体、ダメなのです。


無意識の防衛本能なのか、忌避感がすごかった。

視線を向けられただけで後退れるし、声掛けられるだけでゾワワーってした。

思い出しただけでテシテシが止まらん。


うー!あー!もぅ!

イケメン嫌い!滅べ!!


テシテシテシテシテシテシテシテシ……。





おじさん達よりイケメンが怖いアキちゃん。

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