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私、勇者召喚されたみたいだけど、異世界に来たからって何かが変わるワケじゃない。  作者: たんぽぽ
第二章 ねぇ、一人でいる方が幸せだと思うけど。
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ねぇ、好きなものは何?

無意味回。


暇、だなぁ。



何もない『おーちエリア』にて。


芝生に寝転がった私は、ボーッと空を見上げる。



ホタルちゃんのせいで焦って、何も考えずに倉庫エリア広げちゃったから、わりと魔力がピンチなんだよなー。……あ、何気にフラグ回収してたわ。

でもそういうワケだから魔力の補給をしに、狩りに行かなきゃなーって思うけどさー、なーんか今は行く気しない。

見れば、魔力ゲージもじわじわ伸びてるし。放っとけばそのうち、全回復とかしてるんじゃない?って楽観視なぅ。『魔力枯渇』が無いだけで、こんなに回復って早いんだ?って、ビックリしてる。



でもなー。


『作成中:おーち』


狩り、行かなきゃ。

じゃないとたぶん、かなり時間掛かるし。

……でもまぁ、そのうちね。今はやる気なーい。



――白い雲が流れていく。

映像だけれど、記憶にある本物と差異はない。

空は、程良く青くて。千切れた綿の様な……そんな雲は、ゆっくりと形を変えながら、空の端へ消えていく。


左手を天に上げ、指の隙間から空を見る。


いつぞやにこうして寝転がって空を見上げた時は、太陽がすごく眩しかったのを思い出す。――この空は、そんなに眩しくないなぁ。太陽は真上に止まったままだってのに。


すぐにダルくなった腕はポイッと投げ出した。

ボーッとしているのが心地良い。

あぁでも。……手のひらを退けて改めて思う。

やっぱり太陽は眩しい。




――そういえば。

眩しい。向けられたカメラが、すごく眩しくて嫌だった。

外での記念撮影が、特に大嫌いだった。

だって、カメラに陽光が反射して滅茶苦茶眩しいんだもん。眩しさに、自然と目付きが悪くなるもんだから、意識してまぶたを持ち上げ続けなきゃならない。終わったら終わったで、眼球は痛いし、目の周辺はクラクラするしで。そうやって頑張っても、写りが悪い事に変わりは無くて。……まぁ普段から、写真写りは悪い質だけども。

元々私は、写真撮られるのなんて大嫌いだし。その上眩しいと来たら、もう最悪でしょ。

集合写真とか、なんであんなもの撮るのかねぇ?みんなより頭一つ分小さい私は、パッと見で目立つ。目立つのは嫌。周りに紛れていたい。


……嫌いだなぁ、ホント。写真なんて。

カメラ向けられるだけで、正直嫌。


うーん。何なんだろうなぁ。

別に魂抜けるとか、そんな風に思ってるんじゃなくて。

うなーん。なーん?




……あぁ、そっか。あれ、()なんだ。

カメラのレンズって、なんか人間の目みたい。真っ直ぐにこっちを見ている。


人間の記憶みたいにそんな曖昧で不確かなモノじゃなくて、見た物を見たまんま切り取り、記録として永久に残す。記憶の中じゃボンヤリにしか残らない背景でさえ、写真ではクッキリと残っちゃう。同じ様に、空気でいたい私の存在さえも写真にはしっかり残り続ける。


嫌だなぁ、って。

強く認識されたくない。注目されたくない。居るかどうかすら曖昧な存在でいたい。

『アキ?誰それ。』って、そんな存在になりたい。

じゃないと私は――。



…………。




――雨、降らないかなぁ。


この“おーちエリア”で雨なんて降られるのはちょっと困るけど。

……でも。



――雨音が好き。


傘の中で聞く雨音は、とても心地良いんだ。

『ザーザー』という一定のリズムはとても煩くて、それが好き。


人間の話し声も足音も呼吸すら、雨音に消されて聞こえなくなる。

周囲はみんな、俯いたまま傘差して。視線は全部、傘が遮ってくれる。

雨の中では、他人の存在がかき消える。


何も気にしなくて良い。

何も気にせず、ただ煩くて静かな雨音をずっと聞いていたい。


あと。

……濡れてみたい。


雨に濡れるのは嫌いだった。小雨だからいいや、とか思わない。濡れると服がジットリして、張り付く衣類の感触が嫌だった。そして濡れればきっと、とても冷える。寒くなる。もしかしたら風邪を引くかもしれない。そんなの、とても面倒。咳って結構長引くじゃん?


……でもなんか、濡れてみたい。

空から降ってくる雫に、ザーザーと蜂の巣にされるような。

上から、重たい雲に押しつぶされるような。


土砂降りの雨の中、ずぶ濡れになりながらボーッとしてみたい。

ジワジワと体の熱が冷えていく感覚は、案外嫌いじゃない。

雨の中でコッソリ泣くとか、ちょっぴり楽しそうだなぁって。少し憧れがある。



――雨エリア、作ろうかなぁ。


ここじゃなくて、地下2階とかに。

前後左右だけじゃなくて、下に広げていくのも良いかもしれない。


小さな世界で良い。綺麗な景色をボーッと眺めていたい。

何にしようかなぁ。どんな世界にしようかなぁ。


満天の星空と大きな月が見える丘の上……とか。

天然水晶がキラキラ輝く、洞窟みたいなエリアとか。

一面黄色の向日葵畑とか。……いや、特段向日葵が好きって訳じゃないけど。

でもどーせなら、好きな花の方が良いよなぁ。敷き詰めれば何だって、花の絨毯になるんだから。


……私の好きな花かぁ。なんだろ。考えた事ない。

うみゅーん。みゅーん?




……んっ。

芝生好きだよ、芝生。

泥とか気にせず遠慮なく寝転がれるし、潰したってまた立ち上がってくれるし、お絵かきしやすいし。

まぁこの地下、地面は芝生なんだけど。一面芝生畑なんだけど。



――いや、花じゃないし。一面緑とか、悲しい。




そうだ。

私、アキって名前にしてるし、『秋』って事で。

……んー。真っ先に思い浮かんだのは落ち葉だなぁ。フカフカだよ、フカフカ。一面、落ち葉布団。


いやいや。なんか植えたいんだし。花畑が作りたいんだけど。

でも落ち葉って事は、楓と銀杏。……いや、これ木だった。花畑にならない。ってか大きいし。太いであろう幹をギュウギュウに詰めるとか、可哀想過ぎるし。

脳内で手を挙げ始めた、リンゴさん、ナシさん、栗さんも却下だから。あなた達、実だから。敷き詰めたりなんかしたら、そこら中が果汁でベチョベチョになりそう。……え、栗?絶対痛いよっ。

ん?おとーさんとおかーさんを植えて欲しい?……そこ!親である木を推薦しない!

さっきも言ったけど、木だから!花じゃないから!


好きな花なー。うーん……。



……落ち葉→焼き芋。


ダメだ。焼き芋食べたい。


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