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私、勇者召喚されたみたいだけど、異世界に来たからって何かが変わるワケじゃない。  作者: たんぽぽ
第二章 ねぇ、一人でいる方が幸せだと思うけど。
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ねぇ、リア充さん相手は緊張しちゃう。


「マスターぁ。針に糸が通らないのですっ。」


……んっ。



「マスターぁ。ミシンの糸、掛けてくださぁい!」


あー、ハイハイ。



「マスターぁ。糸が絡まっちゃったのです……。」


……うん。どう扱ったらこんな風になるんだろ。




「マスターぁ。」


んー?今度はなぁに?


「出来ましたっ!」


そう言って、モモちゃんは精一杯作った物を私に差し出す。



……んんん。


縫い目はガタガタ。布の切り端は処理せずそのまま。ミシン目が曲がって、所々縫い合わさってないし。……それにあれ?フリフリたくさんじゃなかった?ギャザー入れないの?上から布を貼り付けただけみたいになってるけど大丈夫?


……っていうかそもそもがアレだった。

布一枚だった。ピラッと前の部分だけだった。


あの。……これ、エプロンですか?紐を付けて後ろで蝶々結びする感じですか?

昔テレビで見た、前から見るときちんとスーツ着た人だけど、後ろから見るとパンツ一丁な感じのアレですか?前しか服着てない感じのやつですか?


確かに形は長方形に台形をくっつけた感じになってて、見た目ワンピースっぽいけど……。



――えぇっと。


「……綿花、余ってる?」


「はいなのです。まだいっぱいあるのですっ!」


「……ちょっと待っててね。」



私はシャワー室の脱衣室に避難する。

……いやだって、私が地下で身を隠せる場所ってここくらいだし。誰かに見られているのって落ち着かない質だから、つい。



……モモちゃんが針に糸を通せない時点でさ、なんか不安だなーとは思ってたんだよ。

でもなんか、作ってる本人は目がキラッキラしてるし。

『……大丈夫?』って聞いても『大丈夫です!モモに任せるのです!』とか言われたら、それ以上は何も言えないって!!


ゲームのNPCはシステムから外れた行動を出来ないように。

NPCとして作った(はず!)のモモちゃんも、想定外の行動は出来ない感じなのかな……。


――っていうか服ってさ、たぶん型紙から作るべきだよね。うん。

型紙と布と説明書があれば、私も服くらい作れるよ!だって手順通りに縫うだけだもん。でもその型紙は無いし説明書だって無い状態じゃ、完全にお手上げだよねぇ。私だってそれじゃぁ作れないもん。



ってワケで。


新しい人形を【クリエイト】。

何でもこなせる頭の良い子。高スペック。しっかり者の委員長的な感じでお願いします。色は水色。髪型はストレートロング。……合成繊維のような綺麗な髪。真っ直ぐで羨ましい。


【クリエイト】したお人形さんの瞼が、ゆっくりと開く。

大きくて透き通った青い瞳が、真っ直ぐに私を見た。




「はじめまして、マスター。」


あ、……ぁぅぁぅ。あゎゎ。


見詰め合い、沈黙。

……あのの、えっとっと、あわわわあぅあぅ、えっとその、はゎゎゎ。




「…………どうやら。……なるほど。私の初仕事は、モモさんの服を作る事で宜しいですか?」


「……!!(コクコク)」


「了解しました。では早速行ってきます。」



…………。


パタンと扉が閉まってから数分後。

ようやく私は息をつく。


……アレはリア充の瞳だった。

社交的で誰とでも話せて、正にクラスの中心にいる存在だよ、絶対。



はゎゎゎ、あぅあぅ。

思い出しただけで緊張ががが。うががが……。


へなへな、へなりん。

もうちょっと、ここに閉じ籠っていたい。





…………。


でもなー。

キノコさんから落ちたピカピカさん、もう少し取って来たいと思ってたんだよねー。もう数時間したら夜になって、今度は狼さんの時間だし。




……んっ。

ササッと行けば、あの水色ちゃんに会わないと信じて!


可愛いお洋服は任せたっ!

私はお外に行ってきませう。


べべ別に、あの()に会いたくないからってわけじゃないからね!?

農園ゲーム=自給自足が基本。

可愛い服は【クリエイト】しちゃえば良い!という発想は、この時のアキちゃんには無かった模様。

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