私、協力くらいはするよ。
実戦試験をもう一度するみたい。
前はビッグベアーさんのせいで中止になったから。
今度は『遠い森』。こっちは“初心者より少しマシ”っていう人達が来る場所みたい。文字通り、お城からはすごく遠いらしい。まぁ『比較的安全な森』の隣だから、大して距離は変わらないけど。
私達は森の中にあった洞穴を進む。
片桐柊くんが先頭、照明係の八重鈴夏ちゃんが2番目。糸川さんと手を繋いだ私が3番目、高倉さんが4番目で、騎士さん2人を挟んで、一番後ろが中野さん。
世良愛菜ちゃんがいないから、若干の火力不足になるのかな?
洞穴内の魔物は、主に血の球を飛ばしてくるコウモリさん。火球の血液バージョンみたいな。避けて地面に落ちたり壁面に当たったりすれば、衝撃で水滴が跳ねてめっちゃ返り血を浴びる。それが難点っちゃ難点?
しかも基本集団でいるみたいだから、一度も撃たせずに倒すなんて無理みたい?。でも体力はそんなに無いから、八重鈴夏ちゃんが【障壁】で血の球を対処して、その間に中野さんが一掃してる。中野さんは、若干詠唱が長いからね。
あ、後はたまに、針を飛ばしてくる羊さんに遭遇した。
洞穴の通路全体に飛ばしてくるけど、これも【障壁】で対処してドーン。……お疲れ様です。
後、もう一種類。
マップには何か変な魔物の集団があるんだけど、光に怯えて逃げていくのが分かる。赤い点に【鑑定】をすれば、名前は『ウニ』だって。ふぅん。
10分くらい後、察しの悪い私はようやく理解した。
……真っ黒い煤みたいな感じなんだろうなー、きっと。
「前方にブラッドバットの集団だよ!」
糸川さんが忠告をした。
いつも、武器のハープは両手で持ってるのに、今日は腰に吊り下げてる。時折右手で、ポロン、ポロン、弾いてる。……器用だなぁ。
反対の左手は、今も私の右手を強く握る。
――この前からずっと、糸川さんはこんな感じ。私をそばに置きたがる。今も不安だからって、自身の戦闘体勢を犠牲にしてまで隣で手を繋ぐ。……糸川さんの後ろにいるのは、直接見えないから不安。糸川さんの前にいるのは、前から来る攻撃で怪我をしそうで不安。だから“隣”みたい。
……うん。何でそこまでするんだろう?不思議。
でもそのせいか、若干いつもより探知が遅いかも……?って。
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SSしようにも、糸川さんが隣にいるから『なんかやってる?』とか言われそうで出来ない。
だから暇だし、つまらないからマップ見てたら、近くに変な赤い点が一つ。――赤い点って言っても、強さによって円の縁の色を変える事にしてみた。ほら、ビッグベアーさんの事があったし。
白、黄色、黒。
弱い、強い、ヤバイ。
格下、同等、格上。
ちなみに、血の球コウモリさんとウニさんは白い縁。羊さんは黄色の縁。
で、変な赤い点の縁色は……黒。
【鑑定】すれば、またまたビッグベアーさんだったよ!なんでこんな場所にいるんだろ。
しかも今回、周りの魔物は逃げてないし。
……あれ。洞穴の奥の方、エリアが違うかも?若干、マップの背景色が違う。――他のグループの様子を見たくて縮小すれば、そんな事に気付いた。
しかもその場所、黒縁さんがうじゃうじゃいるし……。
――あ。えぇと、マップに小さな文字見つけた。『遠い森ダンジョン』って書いてある。……え?(笑)
あのー。ダンジョンって、この国周辺には無いって聞いたけどな〜?
ダンジョンってのは、魔素が溜まって強い魔獣がたくさん生まれる場所。魔獣は魔物と違って高濃度の魔素溜まりから生まれるから、魔素の塊を体内に持つ。それが所謂、魔石だっけ。
――で。
私達が今歩いてるのはY字角を左に行った所。マップを見れば、先は行き止まり。
ビッグベアーさんは右の道にいる。
行き止まりで引き返してY字角に戻った時、ビッグベアーさんのいる右の道に行くのかな?それとも元来た道を引き返す頃合いなのかな。
分からないけど、……この人達だけで大丈夫かなぁ。
少しだけ不安になって糸川さんを見上げれば、気付いたらしい糸川さんがニコッて笑いかけてくれた。
恥ずかしくなってはにかむ私は、慌てて俯いてた。
……見上げたのバレてたー!気付かれたー!わぁぁ。恥ずかしいよぉー!!><
見つめ返されるなんて思ってなくて気ぃ抜いてたから、変な表情してたりして!?大丈夫かなぁ?うわぁぁ!><
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行き止まりの所でお昼を食べて。
私達は来た道を引き返した。
討伐したばっかりだから、戦闘も無く歩いてく。
で。
……そろそろビックベアーさんとかち合うみたい。
ビックベアーさんはちょうど、Y字の交わる場所をウロウロしてた。このままなら確実に接触するかな?
でもまぁ、ちょうど分かれ道だから逃げ道はあるし、頑張って走れば十分逃げれるかと。なんなら私がコッソリとスキル使って、時間を稼ぐことも可能だし。……む、【捕縛1分(他人指定)】程度じゃ少ないかね?【捕縛3分(他人指定)】でも作っておこうか。
しばらく後に。
「……あっ!」
隣から、糸川さんの慌てたような声。
「凄く強いのがいる。……ごめん、気付くの遅れた。」
あら、今気付いたの?
Y字路の手前70mくらいの場所。
うん、かなり遅いかな。相手さんはもう、私達に気付いてるっぽいよ?明かり点いてるし、足音気にしてないし。……いつもなら150~200mくらいの範囲を探知してるのに、やっぱり今日は精度が悪いかな。…………私のせい、だよなぁー。
「またコイツなの?……チッ。なんか、逃げるのは無理そうね。」
中野さんが舌打ちを漏らす。
ズドン、ズドンって足音を響かせながらビッグベアーさんはY字路の中央に立ち、私達の方に体を向ける。
「……俺っちが一旦引き付けるッスから、その間に逃げて欲しいッス。」
そう言って、若い方の引率騎士さんが剣を構え、片桐柊君の前に出る。
「いや。……出来るなら、俺は戦いたいです。こいつに、リベンジしたい。」
片桐柊くんはそう言って引率騎士さんの隣に並び立つと、盾と槍を構えた。
「アタシもやりたいな。なんか、こいつに一発入れたい気分。」
中野さんが杖を構える。
「ぎゃふん!って言わせたいです。」
八重鈴夏ちゃんが、1つだった明かりを3つに増やす。
「戦力にはならないけど、僕も同じ気持ちだ。」
高倉さんがリュックを背負い直し、糸川さんを見る。
気付けば、皆が糸川さんを見てた。ビッグベアーさんも律儀に待ってくれてるみたい。
「…………マーシュさん、コマさん、ごめんなさい。無理に逃げるくらいなら、私達は戦いたいです。……アイちゃんの為にも、一矢報いたい。」
糸川さんは強い意思を秘めた瞳で、ビッグベアーさんを射抜く。
……ん。マーシュさん、コマさん、誰だろね(笑)――騎士さん達かな。
「了解ッス!……先輩はどうするッスか?」
「……仕方ない。こうなったら協力しよう。」
先輩騎士さんは溜め息を一つ吐くと、私達の方に歩いてくる。そしてどこからか槍を取り出しながら私達を追い越し、若い騎士さんの隣へ並び立った。
「先輩がいれば勝ったも同然ッスね。」
「過大評価だ。油断するな。」
「ウッス!」
そう言って、騎士さん二人はビッグベアーさんに向き直る。
「アキちゃんは下がってて。清介さん、お願い。」
「了解した。」
「皆、行くよ!」
糸川さんの言葉で、全員が動き出す。
……えw あ、マジで殺るの??
正直、勝てると思えないんだけど!
……あ。総攻撃始まったけど、ビッグベアーさんってば全然ダメージ無さそうにしてる。ってか、煩わしげに払われた片桐柊くんが、壁に叩きつけられて盛大に吐血してますけどぉー!?
……むぅ、仕方ない。目の前で無駄死にされるのは嫌だし、補助魔法の大盤振る舞いしてあげる。
でも、頑張るのは今回だけ。普段は絶対やらないから!
【勇気(他人指定)】《指定した人は負ける気がしなくなる。ダメージなんて知らない。突っ走れる。》
【攻撃無効(他人指定)】《指定した人は攻撃を受けなくなる。》
【被ダメージ無し(他人指定)】《指定した人はダメージを受けない。》
【攻撃200%反射(100%)(他人指定)】《指定した人が受けた攻撃を200%のダメージとして相手に跳ね返す。(確率100%)》
【癒し(他人指定)】《指定した人の傷を徐々に癒していく。》
作成、指定、使用、発動。
ビッグベアーさんに【鑑定】を使用、発動。
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名前 -
年齢 2歳3ヶ月
性別 雄
体力 3
魔力 1
器用さ 1
能力名 -
あだ名 ビッグベアーさん
HP 20876/21900
MP 4314/4314
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あああ、違う違う!!
【魔物鑑定】《項目:種類、ランク、属性、苦手属性、耐性の有る属性》作成。
取り敢えず、今は項目適当!
ビッグベアーさんに使用、発動。
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種類 ビッグベアー
ランク no data
属性 土
苦手属性 光250%、地150%、雷
耐性の有る属性 物60%、魔20%、土100%、火50%。
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ふむ。一番の苦手属性は光なのかな?
取り敢えず。
【光属性付与(他人指定)】
【物理攻撃力UP(他人指定)】
【魔法攻撃力UP(他人指定)】
【光属性攻撃力UP(他人指定)】
【斬属性攻撃力UP(他人指定)】
【突属性攻撃力UP(他人指定)】
各々を指定、使用、発動。
行けー!ガンガン殴れぇ!な感じ。
ふぅ。……後は何かある?
うーん。あ!
【ECO(他人指定)】使用、発動。
この状況の魔力切れは、よろしくないかと……(汗)
……そういえば、最近はサボってたっけ。今、掛け忘れてることを思い出した。アハハ。
ついでに。
【疲労除去(他人指定)】《指定した人は一切疲れない。》
【身体能力上昇(他人指定)】《指定した人の身体能力が少し上がる。体が軽く感じる。》
作成、使用、発動。
むーん?味方の強化はこんな所で良いかな。正直、【攻撃無効】【被ダメージ無し】【攻撃反射】の3点セットあるから、死にゃしないでしょ。
次はビッグベアーさんの弱体化かな?……あ、うーん。皆に【攻撃反射】付けたから、ビッグベアーさんの攻撃を受ければ受けるほど、ビッグベアーさんにダメージを与えられるんだよなー。200%だから2倍になるし。
例えば【捕縛】で動きを止めたとしたら、ダメージは殴る分しか入らないよねぇ。勿体無い。
どっちかっていうと、ビッグベアーさんの攻撃力を上げてたくさん殴られた方が効率的?……あ、なんかそれ変態さんみたい。
……まぁ、もう出来る事も無さそうだし、ボーッと皆を眺めてましょうかね。
洞穴と洞窟。違いはよく分からないけど。
この小説では、浅めを洞穴。ダンジョン並みに深いものを洞窟にしたいかな。
ちなみに。
『遠い森の洞穴』は、駆け出し冒険者程度なら大丈夫な洞穴だったけど、最近になって奥にダンジョンが出来ましたとさ!




