私、暗殺してみる。
森に入った日。
午前中は特に何事も無く、数回の戦闘をこなした。……みんなが。
お昼になって、みんなが交代でご飯食べてる時。
私は集団から少し離れた。
【気配遮断】をセットして、私は少し歩く。
一人で、魔物を倒してみたかった。
マップからピロリン♪って音がなる。――何かが引っ掛かったみたい。
見れば、カタツムリさん3匹かな。
もうしばらく歩けば、すぐに見つけた。でもあっちは私に気付かないまま。
念の為の【捕縛∞秒(他人指定)】を用意しつつ。
3匹を指定して。
【一撃必殺(他人指定)】使用、発動。
ピンと立ってた首が、デローンと地面へ垂れる。ただ寝ただけみたいな感じ。呆気ない。
マップを見れば、カタツムリさん達を示してた赤い点は消えてる。ちゃんと倒せてるみたい。
……でも、後片付けはどうしようか。放置するのは、あんまり良くないと思うから。
――あ、魔力にしちゃおうか。
うん、そうしよう。
【昇華】《指定した物を取り込み、その分私の魔力量を増やす》作成、3匹指定、使用、発動。
白く光り、カタツムリさんはその場から消えた。その場にはもう、何もない。私の中に取り込まれた。
順調、順調。案外簡単だった。……こんなに簡単でいいのかな?
簡単すぎて、何か忘れてるような感覚になるけど、大丈夫だよね?まぁ、いいか。たぶん大丈夫。
って訳で、もう戻ろうか。
もともと、一回やってみたかっただけだしさ。
それに、居ない事がバレたら怖いし。
――魔力量には限りがある。
体力・魔力は、能力レベルとは一切関係がない。ゲームみたいに、レベルが上がったからって増える訳じゃないみたい。
体力・魔力の数値は『素質×日々の運動量』らしい。
年中ゴロゴロだらけていれば、いくら素質が高くても数値は低い。
対して毎日よく動く人は、例え素質が低くても数値は高くなる。
今の私はほどほどに動いているから、体力も魔力もまぁまぁある。
けどやっぱ、スキルを発動する為には魔力を使う。魔力はたくさんあっても困る事はない。逆に足りなくなる方が困る。
……我ながら『スキル作成』って能力は、出来ることが無限のチート能力だと思う。
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マップを見ながら走ってく。
チェックを付けたカラフルな点――糸川さん達は動いてた。
居ない事がバレた?探されてる?
……早く戻らなきゃ!
最初のうちは道中の引っ掛かった魔物を、勿体ないからって全部【昇華】してたけど、3回目で止めた。探知範囲が広いから、そっちに向かうだけで時間掛かる。寄り道してる時間が煩わしい。
そもそも、私に危害を加えられる魔物はいない。だって、私に気付く事すら出来ないから。
【マップ】と【俊足】【身軽】などの能力UP系スキルを駆使して、やっと集団に追い付く。
近付いて分かったけど、別に私を探している訳じゃないみたい。何事もなく歩いてる。
……うん。つまり、私がいない事にも気付いて無いって事だよね?
ホッとした。良かったぁー。
スキル【空気化】のお陰かな?
長時間、空気な私と一緒にいた人達だから、私が居なくても目の端に居るように錯覚する。……みたい?
……なんだろう。良い事なんだけど、でもこれに頼るのはすごく危うい気がする。ふとした切っ掛けで、居ない事が簡単にバレそう。
抜け出しても絶対バレなさそうなスキル、何か考えなきゃなー。今はまだ思い付かないけど。
しばらく、集団から少し距離を開けて、後ろから付いていく。
ポッカリと開いた私の立ち位置に、今の状況では上手く入り込める気がしない。
しばらく付いて行けば。
ピロリン♪って、マップから音が鳴る。
あ、何か引っ掛かったみたい。
前方にカマキリさん5匹とお猿さん2匹。
ナイス切っ掛け。良い機会。
戦闘に乗じて戻りましょうか。
「敵、来るよ!」
糸川さんの声に、みんながピリッてする。
……うん、出来ればこの空気が切り替わるときに紛れたいな~とか思ってたけど、やっぱ一瞬過ぎて無理でした、アハ。
「【挑発】」
「【黒影】」
カマキリさん5匹のうち、2匹の背中から黒い影が現れ、それに呑み込まれる。
「【光壁】」
残りの3匹は片桐柊くんへ突進して行き、八重鈴夏ちゃんの張った障壁に全力でぶつかり地面を転がる。
『ティルフール』
九尾さんの尾の付け根から生える触手が、2匹のお猿さんを絡み取る。
皆が戦闘に意識を向けてる間、ポッカリと空いていた空間にソロリと滑り込んだ私は、ゆっくりと【気配遮断】を切っていく。
溶け込む様に。ゆっくり自然に。
セットしているスキルは、物によって『発動%』が変えれる場合がある。
【空気化】はまだ濃いままで。
【気配遮断】の効果を薄くしていく。
「【光泡】」
「【黒岩】」
残ってた3匹のカマキリさん。白いモコモコした物に絡め取られて身動きが取れない所に、上から黒くて大きな岩が落ちてきた。
重量+重力で、結構ヤバそう。グチャって潰れて、原形がない。
戦闘終了。
最後のカマキリさん、跡形もなく潰したのに素材残ってるのかなー?って思ったら、鎌だけは無事みたい。で、他はゴミ素材だから問題ないらしい。
高倉さんが解体・素材の採取。
八重鈴夏ちゃんが魔法で、血濡れた戦闘場所の後片付けをして。
上手く紛れ込めたらしい私を含めた一行は、帰り道を歩き出した。
(ねぇ。)
……それにしてもさ。
安心してたら欲が出てきた。
――居なくなった事に気付いて無かったなら、急ぐ必要あったかな?って。
なら、スルーしてきた魔物さん達が勿体ないじゃん。
そう思えてきて悲しい。もったいない病、発動しちゃう。




