私、自然いっぱいで幸せです!
「マキちゃん、起きた?」
ベッドの上でボンヤリゴロゴロしてればいつの間にか夕方で、みんなは部屋に帰ってきた。
私がコクリと頷けば、糸川さんと八重鈴夏ちゃんは安心したように笑った。
「神官さんが言うには、慣れない土地で少し疲れたかな?って。……あ、マキちゃんの他にも、そうやって体調崩した人はいるみたいだから心配しなくていいよ。」
なんか、サラッと処理されてる。……良かった。
でもまた、グダクダ休む訳にはいかない事くらい分かっていて。……ん。
《すぐに寝て、指定した時間に目を覚ます。》【目覚まし時計】作成。
睡眠薬に目覚まし時計付き……みたいなもの。寝つき悪いからさ、すぐ寝たい。
……あ、でも深夜のいざって時は起きれない、かな。
機能追加。《一定レベルのアクションがあれば途中でも目を覚ませる。》
――迷惑は掛けられないもん。
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しばらく日数が経って。
ある程度戦闘に慣れたとかで、訓練の場所を比較的安全な森へと移動した。
高倉さんは、少しでも役に立とうと荷物持ちを買って出たけど、私は変わらず無価値なくっつき虫のまま。
――私は別に重い荷物を持つのは苦じゃないし、むしろスキル使えば楽勝だろうけど。
でも、荷物を持つ事により発生するコミュニケーションが煩わしい。
会話は極力避けて、談笑は聞き役に徹する。常に【空気化】は付けたまま。息を殺して、目立たず大人しく。
私が戦闘を器用にこなせる訳ないし、人間関係に対しても私は不器用。
なんせ『器用さ 1 』だもん!(泣)
……だから私は、迷惑を掛けないようにそっと息を潜める。
でもまぁお詫びって事で、高倉さんには【筋力UP(他人指定)】【疲労軽減(他人指定)】掛けてたりするんだけどね。
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一列になって獣道を進む。
前から、片桐柊くん、中野さん、八重鈴夏ちゃん、糸川さん、私、高倉さん、監視係の騎士さん、世良愛菜ちゃん、の順。
世良愛菜ちゃんはテイムした魔物――九尾の背中に乗ってる……。
いいな。すっごくモフモフしてそう。
出発から、結構歩いた。
森っていいな。涼しいし、風は気持ち良いし、心地良い。
無音って訳じゃない、いろんな場所から発せられる自然の音。煩くは無いけど静か過ぎる訳でもない空間。癒される。
私は時々、私にしか見えない半透明のウインドウを出して、風景をSSする。
……カメラでも良いんだけどね。でもピントの調節とか明るさの調節とか、手ぶれとかもあるし?何気ない風にコッソリやってるから、一々立ち止まれないもん。
だから【SS】。
その時の画面をそのまま保存する。《見たままの情景をイメージ通りに保存する。》そんな『スキル』。
ま、写真と大して変わらないんだけども。
「敵来るよ!」
私が呑気に散歩気分になってれば、探知係の糸川さんが鋭い声を発す。
周りの自然に夢中で、マップを見忘れてた。
確認すれば、前方向の近い場所に5つの赤色の丸。
襲って来ない範囲でなら、赤い点は他にもちらほらとあるっちゃあるんだけどねー。
んで目の前に現れたのは、……んー?何だろ。大きなカタツムリ?
「キテメチルです。動きは遅いですが、口から吐く液体には触れないでください!」
ふぅん。噛みそうな名前。
……でも、まぁいいや。私には何だろうと関係無い。
5匹のカタツムリさん、指定。
【状態異常の盛り合わせ(他人指定)】使用、発動。
定番だった『移動速度低下』に加えて、『毒』『麻痺』炎上は周りにも被害ありそうだし、代わりに『酩酊』、寝ないでね?『睡魔』、怯え過ぎて漏らさないで欲しいかな『恐怖』。
あと耐性down系のスキル全種類。
思い付く限りの“状態異常スキル”をセットにして発動!我ながら中々にエグいと思う。
「【光矢】!」
「【黒岩】!」
「……ん。」『ティルフール。』
瞬殺。……それになんか、十分にオーバーキルな気がする。
これなら私の状態異常スキルすら無駄な気がするけど、……まぁ私が勝手にやってることだし?(笑)
魔物は高倉さんが【解体】してから、また移動を開始する。
魔物はカタツムリさんを始め、リスさんとか、チワワさんとか、カマキリさんとか、クモさんとか、ハチさんとか。他にもいろいろな種類がいた。
あ、でも魔ウサギさんはいなかったかな。こっちの気配を察して逃げちゃうみたい。マップ見てればそう思えた。
ガンガン進んで。
交代でお昼食べて。(私に見張り役は来なかった……。)
そうして私たちは来た道を引き返してく。
……だって日帰りだもん。暗くなる前にお城に帰らなきゃ。
相変わらず、オーバーキルじゃ?って思うくらいの惨劇を繰り返して。
何事も無く、私達は集合場所の広場に戻った。
全員集合するのを待つ間、私は物陰に隠れてお絵かきタイム!
最近は、暇さえあればお絵かきばっかりしてる。
紙はウインドウ。ペンは私だけに見える&触れるヤツ。あ、ちなみにお絵かき用ウインドウも、私なら触れる仕様。……だって、触れなかったら筆圧の調整が難しいじゃん!
ん。まぁ、そういうワケで、紙とペンは他人に見えない。見えないから、他の人から見れば『え、何してるの?』状態になる。だから私はこうやって、物陰に隠れながらお絵かきしてたり。……うーん。なんか良い誤魔化し方、無いかな?
……でも、いいな。幸せだなぁ。大自然だよ。ふふ。
私が描くのは植物が多い。
今日はいっぱい資料が撮れた。だから幸せ。くふふ。
「ちょっと!来るの遅いんだけど。」
む。耳障りな声。
女の人の、ギャンギャンした声。……大っ嫌い。
「戦闘で使えない上に、足手纏いとかホント迷惑だよな。」
「ちんたら歩けば、その分魔物も寄ってくるだろうが。」
「で、でも、アヤちゃんが足捻っちゃって……。」
「どうせ『重いから持ちたくなーい!』って、仮病使ってんでしょ?可愛い子ぶって……。アヤ、あんたウザイよ?」
男3人、女3人のパーティーみたい。
男2人と女1人が、後ろの子達に文句言ってる。
で、後ろ側の子達は、肩貸してる女の子と、片足浮かせてる女の子。あとリュックを2つ持った男の子と、同じくリュックを1つ持った騎士さん。
「非戦闘職だからって、あんな扱いしなくても……。」
八重鈴夏ちゃんが、嫌そうに呟く。
「事実、使えない奴らだし。」
「で、でも、あんな言い方は!」
「まぁまぁ。」
中野さんに食いかかる八重鈴夏ちゃん。それを高倉さんが諌めてる。
そしてあっちも、まだギャンギャン騒いでる。……主に戦闘職っぽい3人が。……イラッと来るなぁ。むー。
それに言い返すのは肩貸してる女の子だけ。
怪我してる子と、リュックの男の子と、騎士さんは困り顔で何も言わない。
「格差……かな。」
世良愛菜ちゃんの呟きに、私は『なるほど!』ってなる。
なんか他のグループでも、グループの中にもう一つグループがある気がしてたんだよなー。戦闘職or非戦闘職の違いなのかー。
……って、アレ?
なんで戦闘職と非戦闘職を混ぜたグループになってるんだろ?今更な疑問。
――まぁ私には聞ける人もいないし、疑問は疑問のまま放置する。
まー、その後も他のグループでもゴチャゴチャ言ってる所あったけど、なんやかんやで私達はお城に帰った。




