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私、お荷物みたい

「おかえり、お疲れー。」


「ただいまー!」


「ただいまですー。」


木陰に設置されたベンチ。

先に戻っていた中野さんがみんなを労う。


みんなはベンチに腰掛け、私も中野さんとは反対側の一番隅にソッと座る。

すると中野さんはタンッと立ち上がり、私の目の前に来た。



「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ。」



あ、え?

怖い。何か怖い。

真ん前にいるけど顔なんか見れなくて、私は俯く。



「アンタさ、戦闘中何かした?」



……えっ?



「アンタの能力、補助魔法……だっけ?どうも、後ろから見てもアンタが魔法を使っているようには見えなかったんだけど。」


え、あぅ?  ぅぅ。……そっ、か。

……エフェクト。

魔法を使えば、ゲームみたいに体が光る。


『聖魔法使い』の八重鈴夏ちゃんは光属性だから、スキル使用時に白く光る。

糸川さんは唄う時に水色に光る。……水属性かな?

片桐柊くんは【挑発】の時に赤く光る。……火属性?


中野さんのスキル使用時には、足元に黒い魔法陣が浮かぶ。体が光ったりはしない。……これが、魔法と魔術の違い。



――私は?


私は、スキルを使っても体は光らない。魔法陣も出てこない。……元々そういうエフェクトは仕込んでない。

――そもそもあれは、魔法じゃないから。


ギュッと、握った杖に力が籠る。



「アンタはただ、ボーッと突っ立ってただけだよね?」


――そうじゃん、ね。……私、他から見たら何もしてないじゃん。



心に浮かぶ、丸い刃の彫刻刀。

同じ空間に浮かぶ丸い石。


丸い刃の彫刻刀が、ズリズリ、ズリズリ。石をゆっくり削ってく。


じんわりと感じる痛み。

ゆっくりと、でも確実に抉られていく。



「アンタのスキルは何なの?……そんなにアタシらに隠したい?」


「…………。」


そんな事ない。って言いたいのに。

声が出ない。口が開かない。固まった体が動かない。



「また(だんま)りなんだ。」


呆れを含んだ声音。

つくづく自分が嫌になる。


上手に人と接す事が出来ない。

聞かれた事に上手く答えることが出来ない。

そうやってみんな離れて、慣れる事が出来ないまま私は萎縮する。



「マキちゃんは、強くなりたくないの?」


糸川さんが優しく問い掛けてくる。


……強く?



「魔王を倒す為には、強くならなきゃいけない。強くなる為には、『能力レベル』を上げないと!『能力レベル』を上げるには、マキちゃん自身がスキルを使わなきゃダメだよ?」



『能力レベル』……名前そのまま“能力のレベル”。所謂、技能の熟練度。


『能力レベル』はスキルを使えばその分経験値が貯まり、やがてレベルが上がる。レベルが上がれば、新しいスキルを手に入れたり、スキル1回分の威力が上がったり、スキル発動時の必要魔力が減ったり、詠唱時間が短くて済むようになるみたい。

――あ、これは主に戦闘職の話かな。

生産職なら、生産スピードや製品の質が上がったり?


で。

『魔法補助』は戦闘職だろうけど、でも私の能力は違う……。『スキル作成』はスキルを作ればそれだけで、経験値が貯まっていく。部屋でダラーっとしながらでもレベルが上げられる。……でも別に、レベルを上げるメリットは大して無い。強くなったりしない。……『能力レベル』を上げたって、体力や魔力が上がる訳じゃないし。





「……もうさ、アンタは後ろでずっと突っ立ってれば良いじゃん。」


黙ったままの私に、中野さんが言い捨てる。


「そうしたいんでしょ?ならそうすれば。」



「え、ちょっと!その言い方は可哀想だよ。」


八重鈴夏ちゃんが庇ってくれるけど、私的にはなんかもう消えたい。この場から居なくなりたい。


「じゃあさ。……マキちゃんは後ろにいていいよ。スキル使いたかったら使っていいし、嫌だったら何もしなくていい。でも、危険なことはしちゃダメ。遠くへ行くのもダメ。私達の近くから離れないで。それが一番安全だから。」



糸川さんの優しい提案。

私はコクンと、小さく頷いた。それしか出来ない。



「ちょっと良いかな。」


高倉さんが小さく手を上げた。

突き刺さる視線が消え、私も少しだけ顔を上げる。



「僕も、マキちゃんと同じように後ろに居ても良いかな?……というのも、この歳だし重いもの持って飛び回るのは流石にキツイと言うか……。」



申し訳なさそうな高倉さん。……元々『鍛冶』って生産職だしね。うん。武器にしてる戦闘用ハンマー、結構重そう。1mくらいの大きさあるし。



「確かに……。うん、そうしましょうか。」 と糸川さん。


「じゃ、マキちゃんの専属護衛係りで。マキちゃんは可愛いから、すぐに拉致られちゃいそうだもん。」 と、楽しそうな八重鈴夏ちゃん。


「ふん。勝手にすれば?元々、大して役に立ってないんだからそんなに変わらないし。」 と、中野さん。


「そ、そうだね。普段役には立てないけど、マキちゃんを守るくらいなら出来るかなぁ。」 と、苦笑いの高倉さん。




「じゃあ、そろそろ訓練の再開しよっか!」


そんな糸川さんの声で、みんなが立ち上がった。


あれ?なんか、アキちゃんが要らない子認定された。

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