竹内と泥棒と初戦闘
海斗は大通りを避け、人通りの少ない路地を進んだ。
(そういえば、家の中のタンスとかからアイテム入手なんて方法もあったよな)
しばらく路地を進むと、住宅地が見えてきた。海斗は目に留まった1軒の民家へ向かった。
(よし、入ってみよう)
海斗は民家のドアを開け、中へ入った。
「おっ邪魔しまーす」
海斗は家の中を見回した。しかし人はいないようだ。
海斗は家中の壺を破壊し、タンスを漁りまくった。結果として衣類と赤い液状の薬と竹内という長剣、計673Sを手に入れた。
赤い液状の薬はHPを250回復するアイテム、竹内は攻撃力+25の長剣である。おそらく運営のミスで本来は竹刀なのであろう。
(この家にはもう何もなさそうだし、次行ってみるか)
ガチャ
ドアが開く音がした。この家の住人が帰ってきたようだ。しかし海斗は隠れようとはしなかった。むしろ堂々と住人の前に現れた。
「おい! 何で俺の家にいる!」
「え? そ、それは......」
住人はひとまず荷物をしまおうとタンスを開いた。
「あ! コンスタンツの輸入雑貨屋で買った東洋の伝説の剣が無い!」
「ああ、竹内のことか? お前さ、どうやったらあれが伝説の剣に見えるわけ? 」
「お前! 泥棒だな!」
(ん? 普通は『今日はいい天気ですね』とかどうでもいい会話しかしないだろう......これじゃあ俺ただの泥棒じゃん......あっ)
海斗はさっき街中で壺を割った時のことを思い出した。そして海斗はこのゲームのNPCは現実の世界同様の行動をするのだと悟った。
「ヤバイ......」
海斗はすぐさま家を出て一目散に走り出した。
「誰かそいつを捕まえてくれ!」
住人が外へ出て叫んだ。
周りにいたNPCがざわつき出した。
「......騒がしいな、何かあったのか?」
近くの家の屋根で寝ていた青年が目を覚ました。左腕に腕輪がついている。プレイヤーだ。
海斗は必死に逃げている。しかし海斗の目の前に兵士が2人、さらに背後からも1人現れた。
「観念しろ!」
「貴様にもう逃げ場は無い」
(ヤバイ、どうしよう......ん! 何だこれ?)
海斗の視界の左上にHPとMPの残量を示すバーと数値が現れた。
海斗の現在のHPの最大値は330、MPは51。残量はどちらも上限値まである。
「これは、戦えってことか? 武器は......そういえばずっと背中に違和感が......」
海斗は背中に手を伸ばした。
「これか、よーし!」
海斗は背中にある何かを引き抜いた。
海斗が引き抜いたのは剣だ。
「いつの間にあったんだ? まあいいやこいつで戦おう!」
海斗は剣を構えた。
「戦う気だな! なら私が相手だ!」
兵士の1人が槍を構えた。
「行くぜ」
海斗が兵士に斬りかかる。
兵士は槍を回す。そして海斗が飛びかかってきたときに剣をなぎ払った。
「しまった!」
兵士は海斗を突く。そして海斗は後方へ飛ばされた。
「痛っ........」
「小僧、覚悟はいいか!」
海斗はふと自分の視界の左上を見た。
「な......」
HP 34/330
MP 51/51
(デスペナ何だろう......お金半分かな?)
「何か遺言は無いか?」
「お前......」
海斗、絶体絶命のピンチ。




