第1章2話 マリーの思い
残酷な描写があります、苦手な方はご遠慮下さい。
レジェンド Online
ほのぼのと
第1章 2話 マリーの思い
「暑い」そう思って目を覚ます。寝坊防止のために、狭い部屋の窓際に頭が来るように寝てるため直射日光が当たっていた。「はーい、起きますよー」と自分の体に言い聞かせ、ベッドから起き上がらないで背伸びする。次にストレッチ・・・・安物のパイプベットが体を動かすたびにギシギシきしむ音がする。
(まだ5月になったばかりなのに何でこんなに暑いんだ~)と文句を一つ
一通りストレッチを済ませ、時計に目をやるとAM10時が過ぎたところだった。
少し風があるのか、昨晩干した洗濯物が揺ら揺らとなびいている。
向かいに見えるマンションのベランダに小さな鯉のぼりが見えた。
そんな季節なのだ。実家の側にある五稜郭公園の桜は満開だろうか?
(やっちまった~)という思いと、(休みだからいいか~)という思いが交差するが、
どちらかというと、やらかしているのだ。午前中のうちに用事を全て終わらせ、午後からは「レジェンド」の世界に浸ろうという計画が、起きた瞬間に崩壊していた・・・・
洗濯物を取り込んで、部屋の掃除を終えたころには昼にさしかかろうとしていた。
支払いやら何やら、連休前に済ましておかないと・・・・本屋で新書のチェックもしたいのだ。昼飯はどっかで簡単に済まそう・・・・そう決めて、仁の愛車「チャリンコ5号」と共に走り出すのであった。(自転車は、道路交通法上の車両です。ちなみに仁君の愛車は、自転車です)
PM 4時、川が見えた。
川の名前を示す掲示板に書かれた川の名前が、自分の住んでいるマンションの側を流れる川の名前と一致していた。ここを下れば、自分のマンションの側にわ行ける。仁の顔に安堵の表情が浮かんだ。
そう・・・・仁の固有スキルが発動していたのだった。
銀行、コンビニ、卒業校であり、現在の職場である大学付属病院、同じ敷地内の学食までは・・・・久しぶりに学食で昼食を済まし隣接する大学生協の書籍部へ・・・・
お目当ての本が見つからない・・・・
そおいえば・・・・と・・・・これが元凶であった。年に一度帰省する際に電車の窓から大きな書店の看板を見たのを思い出した。そんなに離れていないはず・・・・
大間違いである。迷いに迷った挙句に行き着いた書店は別の書店、目的こそ達っしたが帰り道がわからない・・・・(やっちまった~)後の祭り・・・・である。
見たことも無い地名。見慣れぬ街並み。見知らぬ天井・・・・(ん、街に天井は無い)
やっとの思いで見つけた川。(偶然です)
川の堤防に沿って走るサイクリングロード、30分以上走ってやっと見えた見慣れた街並み。このサイクリングロードに助けられたこと数知れず。
今日はもう外には出ないと決意を胸に、見慣れたコンビニで夜食までの食料をキープする。
(感謝、感謝)陳列されたコンビニ弁当を前に一人ほくそ笑む。はたから見れば「なんか、きもい人~」だぞ・・・・
PM 5時少し前に帰宅・・・・遅くても2時には帰ってくる予定だったのだ・・・・
おそるべし・・・・「方向音痴」
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窓の側に置いてあるデカ箱のPCのスイッチを入れる。外の涼しい外気を取り入れるため、今時期まではこの辺に置いておくのがちょうどよかった。「大量発熱君」と仁に命名されたそのPCは、冬は暖房いらずで、夏は灼熱地獄を演出する。
高性能PCが熱く(暑い)のは今も昔も変わらないようだ。
早速コンビニで買ってきた焼き鳥をつまみに缶ビールを(発泡酒とは違うのだよ、発泡酒とわ)初めの一口は最高である。仕事が休みで、気が向いた時にしか飲まない仁君・・・・至福の一瞬である。
(あ・・飲酒は二十歳になってから、未成年の飲酒は法律で禁止されております。)
「よい子のみんなは、真似しちゃいけないよー」(だれにいってるんだ@@?)
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(日が暮れる~~~)と、あわててログイン。
茜色に染まる空が広がっていた。(まにあった~)と少し安堵する。少し風が強く枯葉が時々空を舞っていく。こちらの世界は秋なのだ。
木々の間に今にも沈もうとする太陽が見え、遠くに見える山々には残雪?というより永久凍土なのだろう・・・・が確かに見えた。西があっちなら、北は確かに山頂付近が雪に覆われた山の方角らしかった。
ふと気づいたことが一つ、牙が今居る周辺に、おとついINした時に目にした針葉樹がないのだ・・・・代わりに既にあらかた葉を散らした広葉樹が・・・・狩りで獲物を追いかけるながら、南へ南へと来てしまったらしい。
(方向さえ判れば、何時かは着くさ・・・・)そのとおり・・・でも君は着かないかも・・・・
・・・・理由・・・・君だから・・・・
狼の姿となって、北へと足を向ける。
30分ほど歩いただろうか、あたりは日が落ちて徐々に暗闇に沈もうとしていた。
嗅いだことの無い匂い・・・・なんだろう??風上に足を向ける。狼自体が人の何倍もの嗅覚なのに、パッシブスキルの嗅覚もLV10を超えている。比較したことが無いから、どれほどのものなのかも検討もつかないが・・・・獲物を探すのに、なんとも便利なスキルであった。
匂いの元に徐々に近づいていくと、小さな女の子がすすり泣くような声が聞こえてきた。血の匂いがしないので、怪我はしてないとわかる。(とにかく行ってみよう)と走り出していた。
肩まで伸びた金色の髪に、長くとがった耳、泣いて腫れぼったくなっている目で、突然現れた白い狼を見ている。「おっきい、わんちゃん」少女が口を開いた。髪の色はともかく、長くとがった耳の特徴が、少女が精霊族であることを表していた。
狼の姿のままで少女に話しかける、「迷ったの?」・・・・言った筈が口からは”ガウ”としか発声されなかった。狼の姿のままだと言葉が出ないらしい・・・・始めて知った。
狼のまま狩りをしてたときは、「お~りゃ~~~とか、とりゃ~~とか」しか、言わなかったよな~と、今更ながら思い返す。さして気にもしていなかったのだ。
(始めて人に会ったんだも~ん V)・・・・Vって・・・・自慢出来ないし・・・・
「うん、迷ったの」少女が言う(・・・・通じてる??わかるのか??狼語w)
「お父さんのパンに入れる胡桃 《くるみ 》、拾いに来たの」
「おお~、えらいえらい」ガウ~ゥ、ガウゥ、ガウゥ(われながら情けない)獣人の姿に戻ろうとするが、戻れないでいたりするのだ・・・・(なぜ?)
「えらいでしょ~」少女が笑った。
「私、マリー」「わんちゃんはね~白ちゃん」少女はさっきまで泣いていたのが嘘のようにニコニコしている。笑った少女は可愛いのだった。
狼族は獣人と狼の姿のアバターをそれぞれ設定出来たのだが、狼の姿のアバターを設定するときに、仁は全身真っ白な狼を選んでいた。
(そのままじゃん・・・・そもそも犬じゃないし・・・・勝手に名前付けてるし・・・)突っ込もうとしてやめる。笑った少女がまた泣き出したら、と思うと突っ込めなかった・・・・
”ポーン”人工的な音が頭に響いた、「奇遇クエスト・マリーの思い」を受け取りました。
????(なんだ~~?)と思ったところにアナウンスが流れる。「熊を倒して、マリーをお父さんの元に届けましょう。」
(・・・って勝手にクエスト・・・)牙の後ろで”ガサガサッ”と何かがうごめく気配・・・・振り向くと・・・・(やっぱり、熊・・・・はい・・・・)10メートル程離れたところに熊の姿・・・(がんばって、いってみよ~~~!)あきらめ・・が肝心である・・・
「マリー!逃げて!」”ガウ!ガウウウ、ウ~!”声にならない声をあげる。
マリーは熊を見て「いやああああ~~」と声を上げ立ち上がるが、恐怖で体が動かないらしく、元いた場所にそのまま座り込んでしまった。
(やるしかないのね・・・・熊コロがこっちに来る前に、こっちから行かないと・・・・マリーが危なくなる)そう思った瞬間に体は熊コロに向かって走り出していた。
熊コロは威嚇のためか体を起こして両手を広げる。体長3メートルはありそうだった。(でっか・・)一瞬怯むが、やらなきゃやられるのだ(・・ええ~い・・・・)と熊コロの頭めがけてジャンプする。
後ろ足の爪が熊コロの左目付近にヒットする・・・・が大きな熊の手で叩き落とされてしまう。(イッテ~~><、正面からじゃああの手が邪魔か・・・)
右の尻あたりを熊に叩かれ、そのまま地面に・・・傷自体は浅そうだった。HPも5%程度しか減っていなかった。
熊コロの左後ろに回りこんで左足に噛み付いてみる、成功だった、さっきの一撃で左の方の視界が不自由になったのかもしれない。右手の張り手が飛んできたので、すかさず足から口を離してしまった。
(あんなもん、顔面に食らったら、イチコロダロ~)胸をなでおろす。
(こんなでかい熊コロどうやって・・・・少しずつでも削るしかないのだろう・・・)
すばやさは、牙一枚も二枚も上手だった、しばらく左足への攻撃を続け熊コロの足は止めた。あまり同じところばかり狙って完全に読まれるようになったので、たまに右足右目も狙って噛み付きを仕掛けていく。
(しかし、あの腕が邪魔だ・・・)??
!!(肩を狙えば腕が上がらなくなる・・はず)と。
戦い始めて随分なるのだが、20%ちょっとしか削れていない・・・orz
牙は隙を見て腕に直接噛み付いたり、肩に爪攻撃をしかけるが、腕から振り落とされたり、カウンターを食らったりと、牙のHPが20%を切っていた。(スタミナも・・・・後10分持てばいいとこだろう・・・)牙は最後の賭けに出ることにした。
熊コロの左を中心にダメージを与え続け、左腕は既に上がらないと見ていた。
(右後ろから首に噛み付けば、短い右手では、叩き落としずらい・・???)
(このままいっても、スタミナ切れでなぶり殺しになるくらいなら・・)と思ったのである。
熊コロの死角になるようにステップで動き回る、左足にまず噛み付きに行って、右の張り手がくるのを見計らって、後ろに回り込み右後ろから熊コロの首に噛み付いた。
旨く急所に噛み付けたらしく、熊コロのHPは予想を超えてグングン減っていくが、熊コロの右手も牙の肩口に届いてしまったのだ。右肩口に熊コロの爪が刺さって激痛が走るが、かまわず牙は首を噛み続ける。
(どっちが先に息絶えるかだ・・・・意識が朦朧としてきたのだ・・・・多分HPが15%を切ったのだろう・・・・前に死に戻りしたときもそうだったような気がする・・・)
”ポーン”いつもの音だ。「特殊スキル。(マリーの祈り)が発動します」その言葉とともに、牙の体全体が金色の光で包まれた。
(んんん??朦朧としていた意識がはっきりと・・・・激痛も・・・・)HPが60%近くまで回復していた・・・・あのまま死んだほうがましという激痛がさらに増す・・・発動したのは、クエ専用の特殊回復スキルのようだった。
(熊コロの血が口いっぱいに広がっている・・・・鼻にも・・・・ちきしょ~~~う)熊コロが牙を振り落とそうとする力が弱まった気がした。もう熊コロのHPを確認している余裕は全く無かった。
牙の意識がまた朦朧としかけたとき、熊コロは光の粒となって消えていった。
”ポーン””ポーン””ポーン”・・・・・何回かLVアップを知らせる音が鳴り響いた。
牙のHP・MP・スタミナが全回復する・・・・すぐに歩けるはずなのだが足元が妙にふらつく感じがした。(リアルでビール飲んでたねーそおいえば)ふらつく足でマリーの元へ「白ちゃんが助けてくれたんだね」と言うとマリーが白い狼のままの牙に抱きついてきた。(今はただの酔っ払いかなーw)
「背中に乗って」”ガウウウゥ・・ガウガゥ・”と言うと乗りやすいように体勢を低くする。
マリーが乗ったことを確認して起き上がる。遠くからマリーと同じような匂いが風に乗って感じられる・・・・多分マリーを探して森狩りに出てきているのだろう・・・・ちょっと歩くと松明らしき光が見えてきた。牙はそちらに向かって走り出す。
「はやい、はや~い」牙に乗ったマリーがはしゃいでいる。
ほどなくして、マリーは父親と再会を果たした。
「このワンちゃんが、熊さんからマリーのこと守ってくれたんだよ~」牙に乗ったまま屈託のない笑顔で話すマリーに、父親は狼とわかって一瞬目を丸くしたが、「ありがとう」と牙の頭をマリーといっしょに撫でてくれたのだった。
(別に撫でられても嬉しくないのだが・・・・)マリーを乗せたまま、マリーの街に一緒に戻る牙君だった。
街に入ると、また例の音がして「奇遇クエスト・マリーの思い。完了しました」とアナウンス、牙はというと、マリーの父親に貰ったパンとミルクにガブツイテいるのだった。
=クエスト報酬=
☆マリーの祈り <特殊スキル>
1日1回のみ、プレイヤーのHPが10%を切ったとき,マリーの祈りによってプレイヤーのHPが50%回復。
☆マリーの父、感謝の思い <特殊スキル>
1日1回どこの街に行ってもパン屋の前を通るとパンの配給が受けられる。
☆マリーお手製の首輪 <装備アイテム> 品質=ユニーク
全ステータス10%UP装備主人「牙」トレード不可、ドロップしない、装備耐久=マリーの思いによって永久。
備考:始めてこのクエストをクリアしたもののみに与えられる、特殊スキル、アイテム
「奇遇クエスト・マリーの思い」クエスト初達成者=狼族=プレイヤー「牙」と「レジェンド」の歴史を綴る石版に刻まみ込まれていた。牙はまだ知らない・・・・
キャラクター名: 牙
狼族: LV 13
パッシブスキル:走るLV17 ジャンプLV15 ステップLV18 暗視LV18
嗅覚LV15 聴覚LV19 スタミナLV29 泳ぎLV 2
アクティブスキル:噛み付きLV13 キックLV15 爪LV16 投げLV 1
装備:マリーお手製の首輪=全ステータス10%UP
特殊スキル:「マリーの祈り」 「マリーの父、感謝の思い」
追記:狼族に与えられる始めてのクエスト「北にある町に行ってみよう」未クリア
(????この町は・・・違ったようです・・・・)
マリーの親父さんが作るパンは・・・・うま~~い。飼い犬のままでもいい
か・・・と一瞬考えてしまった。(狼だけどw)
お気に入りの登録ありがとうございます。
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