初仕事
そのまま自宅にとんぼ返りした2人はお店の手伝いを開始する。
なんとか開店の10分前に間に合い、コーヤは急いでウェイター服に着替え、
リューシャはエプロンを装着してキッチンを担当するようだ。
まだ日本語が心もとないリューシャは厨房に入りつつ、コーヤと風香かあさんの仕事ぶりを見て接客の勉強をする。
もちろん、父であるアレクサンドルが手馴れた腕で料理を盛り付け、そこからリューシャに指示を飛ばす。
コーヤが自分の家の事を地元の名店だと言ったのは満更ウソでは無い模様。
店内は活気に溢れ外待ちが出るほど繁盛していた。
そして少し客足が落ち着きだした頃、今日の分のボウルシィの在庫が底をつき、入り口の札を引っくり返して閉店に。
後から遅れてやって来たお客さんらにリューシャが自ら軒先に立ち、「今日は完売しまして申し訳ございません。また明日、宜しくお願いします」とペコリと頭を下げる。
その姿を見たサラリーマンの男達は一瞬「おおっ?」と言った感じで硬直し、明日はもうちょっと早めに来よう!と誓うのであった。
風香かあさんは思う。
「男の人ってやっぱり単純ね・・・」
アレクサンドルも「明日はコーヤに手伝わして多めに作るか!」と思いつつヒゲを擦った。
そんな様子を見ながらコーヤは少しモヤモヤとしながらリューシャの姿を見守るのであった。
食べ終わった常連の一人でもある近所の横山と言う爺さんが風香かあさんに話しかけて来た。
「あの子ってデッカい大将の親戚かなんかか?」
笑顔で風香かあさんは友達の娘がホームステイしに来たと説明する。
それに対し常連の爺さんは「そんじゃ、小さい大将の店は益々お客さんが入らなくなっちまうな」とワハハハッと笑い飛ばす。
風香かあさんも笑いながら「でも横山さんはウチの煮付け大好きですよねぇ」とチャチャを入れるのであった。
店の中に戻ったコーヤはリューシャに「どうだった?」と今日の感想を聞いてみた。
リューシャは「思ったより忙しかったけど流れは大体だけど理解した」とニコッと笑いながら答える。
その笑顔を見てコーヤは「俺がウェイターやるよりお前がウェイトレスをやる方が皆、喜ぶだろうしなぁ・・・」と苦笑しながら言葉を返した。
厨房をササッと片付けたアレクサンドルはお腹が減ってるであろう皆の為にまかない食を用意していた。
最後の客が帰った後、家族全員で遅い昼食をとる。
リューシャは大変だったけど楽しかったなぁと思うのであった。




