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傾国の少女と嫌われた少年  作者: 末乃
プロローグ
1/19

世界一の美少女は…

傾国(けいこく)の美女』

 それは、あまりの美しさで人々を魅了する力を持つ者。国家こっか元首げんしゅの心すら奪い、いち国家こっかを崩壊に至らしめてしまうほどの美女である。

 これまでの歴史の中で、『傾国の美女』 とされた人間は幾人いくにんも存在するが、その誰もが圧倒的な美貌びぼうを持ち、魔性の力で歴史までをも動かす、超常の存在であった。


 ───そして、そんな少女が居た。

 一宮玲佳(いちみやれいか)

 サラリーマンの父親と専業主婦の母親を持ち、ごく普通で平凡な家庭に生まれた少女。

 当たり前に両親から愛されて、どこにでもいる普通の女の子になるはずだった少女。

 しかし、彼女は『普通』ではなかった。

 人々を魅了し、誰からも愛される、愛されすぎてしまう。

 文字通り魔性の力、そんな力を彼女は持っていたのだから。


 彼女の力は、人の心を強引に奪い、捻じ曲げる。それは、彼女を巡る争いの火種となった。歳月さいげつを積み重ねていく中で、いくつもの闘争があった。いつしか彼女は、自身の力が災いを呼ぶのだと、自身の繋がりこそが人を傷つけるのだと悟った。

 気付けば、彼女の隣には誰も居なくなっていた。誰よりも愛されるという性質を持ち合わせていながら、誰もそんなことを望んでいないのに。誰もが彼女の隣に立ちたいと願っているのに。今日も、明日も、明後日も、彼女はただ一人で歩いていく。


 これは、どこまでも孤独で優しい『傾国の少女』と、その少女に挑む少年の物語。

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