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「——弾幕が厚すぎるわ、これじゃ船体が持たない!」

 フェリスの声が焦りに変わる。

 黄金の月の表面から、月そのものの質量を魔力に変換した超巨大砲『ルナ・カノン』が、その砲口をこちらへ向けたからだ。


「……リナ、フェリス。俺を、船の外へ放り出せ」

「えっ!? 何を言ってるの、ここは宇宙よ!?」


「——大丈夫だ。俺の『無色』は、宇宙の虚無と同じ色だ」


 カイは『虚空』を抜き放ち、船の外壁へと飛び出した。

 本来なら、酸素も熱もない真空の世界。だが、カイの周囲には「色なき気」が渦巻き、極限の静寂が彼を包む。


 カイは、迫りくる巨大な砲火を見据え、剣を正眼に構えた。


(無色一刀流・真伝——『虚空瞬転こくうしゅんてん』)


 ——刹那。


 カイの体が、無数の「残像」へと分裂した。

 一つ一つの残像が、神々の軍勢を、魔導要塞を、そして放たれた『ルナ・カノン』の熱線を、一瞬で切り刻んでいく。


 宇宙空間に、音のない爆発の華が次々と咲き誇る。

 地上の人々からは、月を覆っていた「黄金の光」が、漆黒の刃によって一つ、また一つと削り取られていくように見えていた。

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