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そいえば・・・・俺・・・戻ってたんだ・・・確実に・・
・・・・・・・・・・あの時・・・・・・・・・・・
・・・・・・・もどってた・・・・・・
シャワーを浴び終え、脱衣所で体を拭いていたんだ・・・そして・・気づいたら
また浴室にいてシャワーを・・・
冷静になって考えると、怖いという感情が湧き上がったが、一方でそれ以上に
これから想像を絶するような非現実がまっていると思うとワクワクというのか
心臓がはち切れんばかりに興奮していた・・・・
なんだろう、このドキドキ、たしかにこの先にある未来は地獄かもしれ
ないし、もしかしたら全くの逆かもしれない・・・でも・・久しぶりだ・・
こんなの・・・未来が見える・・・”もしも”と言う不確かなものでしかない
けど、想像してしまう・・・こんな自分を・・まるで物語の主人公のような自分に
悲劇のヒロインとは言わずとも、悲惨な運命を辿る自分・・・よくも悪くもだが
未来が見える・・・つい昨日まで、目を背けて、逃げていたその未来に・・・
今は目を向けている・・・・・
たった数秒でも夢がみれた、実際この後どうなるかはわからない
けど今の俺には、夢を見れただけで十分だったんだ・・・
・・また前を向いて歩きたかっただけだから・・・
そして、まるで今から果てしない冒険にでもでるかのような眼差しで
俺は勢いおく階段を駆け上がり、自分の部屋に突っ込んでいった
「バンッ」そう部屋の扉を閉め、その場に座り込む・・・・
「俺・・本当に戻ってた、時間を戻ってた・・・最初の階段のも酔っていた
とかじゃない、本当にあの時も戻っていた・・時間を ”戻っていたんだ”」
そうやって、「 ”戻っていたんだ”」と今にも口に出して言いそうな時だった・・・
息を吐くと同時に目がまばたきをするため目を一瞬閉じた・・・・
当たり前だが、いつも、まばたきなど無意識にやっているものだ
勝手に目を閉じ、勝手に開ける、意識してやっている人間などいない
それが普通だ・・・だが今回は違った、やけに長かった・・・
長さのあまり、まるで時が止まっているようだった、目を閉じている間
ほんの数秒もないというのになぜか、今回は時間を感じる・・・
遅いようなゆっくりのような・・・
まばたきのため閉じた目は、なかなか、開こうとはしない
でもそれを、なぜか意識し、それがわかる自分がいる・・・
そして、五感の機能が徐々になくなっていくような気がした
何も聞こえない、何も見えない、何も感じない・・・・・
だがわかる、うっすらと、目を閉じたまぶたの後ろに
部屋の扉を開ける自分・・・階段を勢いおく上がる自分・・・
まるで動画を自分の指で巻き戻しているかのように
さっきまでの自分の行動がみえる・・・そんな感じがする・・・
そしてようやく、長く長く閉じていた目が開く・・ゆっくりと・・
・・ゆっくりと・・・徐々に光が入り込む、まるで、日の出を見ている
かのように眩しく感じる・・・ただの、まばたきだというのに・・・・
その光が、今か今かと、俺にその場の光景を見せるんだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・戻っていた・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は階段に戻っていたんだ、今にも勢いおく階段を
のぼろうとする、その瞬間に戻ったんだ・・・
消えていた五感が一気に体によみがえり、全身が震えだすかのような
感覚に襲われる・・・・・
「ハァ・・・ハァ・・戻ったんだ・・・時を戻ってるんだ・・」
自分が時を戻っていることを、ここで初めて確信した・・・頭ではなにも
考えれなかった、ただただ、階段で呆然と立っていた・・・いろいろな感情
があった、これからの俺の人生はどうなるのか、これからなにが起きるのか
そして・・・・俺はなにをするのか・・・・・
一瞬にして様々なことが頭をよぎる、だが今は呆然と立ち続けるしかなかった
未来のことを考えると体を動かすこともわすれ、その場に立ちほうけ、動こうと
としないんだ・・・夜の不気味な階段が今では、どこまでも遠くの未来を
見せてくれる、望遠鏡のような場所にとって変わったかのようだった・・・
それでも、いずれは、目の前の階段を一歩、一歩とのぼり、自分の部屋に
戻ったのだ・・・「バン」扉を閉め部屋に戻るなり、ベットに横になる
「すごい・・・スゴイぞ・・・」震えた体がそう言っているようだった
昨日まで夢も希望もない、無色透明な人生だった、大学4年になって
あと数か月で卒業というのに、一度たりとも就職活動をしなかった
だから、もちろん内定などない、それに卒業してからのことですら
何も考えなかった、というより考えたくなかった・・・現実から逃げたかった
真っ暗な未来が怖くて、怖くてたまらなかった・・だから毎日のように
現実から逃げた・・・・だが変わった・・”時を戻れるんだ”・・
・・戻ったんだ、真っ暗だった未来がだんだんと明るくなっていく
少しづつ、明るくなっていくのがわかる・・・その光に向かって
今にでも走りだしたい、そんな気分なんだ・・・たしかに今後の
未来がどうなるのかなんてわからない、全くもってわからない
そこに関しては前とは変わらない、だけど前みたいに真っ暗で
何も見えないわけじゃない、眩しくて、明るくて、目をさえぎり
たくとも、様々な未来が俺の目の前に広がっている・・・そんなふうに見える
前のように怖くて逃げるんじゃない、真っ暗だから進まないんじゃない
希望があるかもしれない、夢があるかもしれない、そんな未来だから
前に進みたいと今は思える、もう後ずさりはしない
これからはしっかり前を見て進む
そうベットの上で天井をみながら強く、強く心で思うのだ・・・・
真っ暗な部屋の中、ベットの上で天井の一点を見つめ、まるで
夢のような、出来事に放心状態になりかけるも、その出来事によって
暗く閉ざされた未来が、だんだんと変わる様子を目にする・・・
どこまでも、どこまでも、遠くまで広がる未来をこの目に映すと
今いるこのベットが小さくて、窮屈で、しょうがなかった
だから、ベットの上でこうしてはいられなかったんだ・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「バァッ」ベットから中を舞うように、飛び出た俺は
勢いおく自分の部屋から出ては玄関に向かい、カギを開け
部屋着のまま、それでいて裸足のまま、家から風のごとく出ていった
そして俺は、家の目の前の道路に出て大きく体を広げ、空気を吸い込み・・・
誰もいない、夜の時間、自分のこれからの未来ぐらい広い空に向かって
大声で・・・・・・・・・・
「うおおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぁぁぉぉぉぉおぉぉぉ、、、」
と叫ぼうとしたかったが、さすがにそんな勇気はなかったので
心の中ではち切れんばかりに叫んでやった・・・・・
それでも、喉がちぎれそうな感覚と頭に血が上っていく感覚で
今にもぶっ倒れそうになりながらも、俺は心の中で叫び続けた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とりあえず、今は”うれしい”、ただそんな気持ちを何かで
表現したくてたまらなかったんだ、明るい未来、進もうと思える未来
そんなものが奇跡とも言える形で手に入ったんだ、今この瞬間だけは
素直にその感情にどっぷりと深く浸かることにした・・・・
・・・その後、俺は裸足のまま、夜の街をただ徘徊し始めたのだ・・・
「ぺた・ぺた・ぺた」そうコンクリートの道路を裸足で歩く音だけが
聞こえてくる・・・少し歩くと、高ぶる感情が少しは落ち着いたのか
いろいろと考え始めた・・・「俺はこれからなにをすればいいんだ?
・・・というかなにができるんだ?」確かに明るい未来は今俺の目の前にある
時を戻る力だ、だが、それをどう使うのかは全く考えていなかった
それに時を戻るっていってもどこまで戻れるんだ、実際ここまで
何回かは時を戻っている、だがそれはどれも数秒前ぐらいしか
戻ってはいなかった、やろうと思えばもっと前の過去に戻れたり
するのだろうか、それに使うにあたっての制限などはあるのか
例えば、戻る回数に制限があったり、使ったら、使ったぶんだけ寿命が
減るなどの制約があったり・・・そんな感じで歩きながらいろいろ
考えたが、時間が経つにつれ、結局はやってみないと、わからない
という結論にいたった「頭の中でいろいろ考えたって、どうせ憶測に
すぎないんだ、とりあえずやってみないと」そう思い
あらためて時を戻ることにした・・・・・
そして俺はひとけのない路地で立ち止まり、心の中で"戻る"という
感情を強く、強く思おうとした・・・やり方はさっきと同じだ
階段以外はどれも ”戻る” という気持ちが大なり小なりあった
だから、おそらく、”戻る” というようなことを
心の中で思うだけで良い・・・それだけでいいんだ・・・
そうすれば、後は世界が俺の思う通りにうごく・・・・
そう考えそうしようとした・・・・そうしようとしたんだ・・・
”戻れ”と強く思おうと・・・・でもなかなか実行に移せなかった
だって、もしこれで時を戻れなかったら・・・さっきのはたまたまで
もうできなくなっていたら、なんなら今までのことはただの夢だったり・・・
一瞬だがそうななことが頭をよぎった、でもすくなくともこれが夢で
はないのだけは確かだ・・・だってもし今が夢なら・・・
・・・こんなに尿意を感じるはずないんだ・・・・
たしかにバカなことを言っているかもしれない
でもさっき夜中に起きてからまだ一回もトイレに行ってないのは事実だし
ものすごくトイレに行きたいというわけじゃないけど、どことなく確実に
はっきりと確かな、尿意を感じているんだ・・・膀胱に・・・
少なくとも、今まで生きてきた中で夢を見てるときにこんな
はっきりとした尿意を感じたことなど俺はない・・・
だからこれが夢であるはずないんだ、夢だとしたら
尿意の一つぐらい消してから、夢を見せてくれ・・・
それにもひとつ・・・・よく、「これ夢なのか」なんて言うやつがいるが
びっくりするほど、頭がお花畑じゃなければ、普通に今起きてることが
夢か夢じゃないかなんて、お花畑に片足突っ込んでいるような俺でさえわかる
だから「これ夢なのか」なんて、そんな幼稚な発言をする奴は
エセロマンチスト野郎とでも言っておこう・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
でもだ、今の俺はエセロマンチスト野郎になってでも、「これ夢なのか」
と言ってしまうような状況にある・・・そんな現実が目の前にあるんだ
けど結局、今大事なのは、これが夢とかそうじゃないとか考えるより
ただ目の前に開かれた、未来への道をひたすらに進むことだけ・・・・
だから今おきていることが夢だなんてけして俺は思わないし・・・
どうだっていいんだ・・・・・・
そして残るのは、もし次出来なかったらという、恐怖だけである・・・
たしかに、恐怖だ、さっき自分の部屋で、時を戻ったのが最後であり
もう一生このまま、出来ないとなったらと、そう考えるだけで怖い
俺が勝手に勘違いしてるだけで、別に何回もゲームの技のように使えるとは
限らない、”スゴイものを手に入れた”、”明るい未来が見えたなど”
子供のように騒いだが、実際冷静に考えれば、まだ何も手に入れてはいないし
見えてなどいない、正しく言うのであれば、手の届きそうな所にあるだけであり
明るい未来も見えかけただけなのだ・・・
さきほどのまでの興奮が消えていくにつれ、冷静になっていく、すると
どんどんどん恐怖が体からにじみ出てくるんだ・・・もし、出来なかったら
今日限りの夢だったら・・・・・そう考えると、なかなか、”戻れと”
心の中で思えなかった・・・・・・
まだ何も始まってなどいない、始まりかけてもいない
結局自分で前に進まなければいけない、この恐怖を乗り越え
前に進んでこそ、ようやく始まる・・・明るい未来に・・・そして
その先にあるものに・・・辿り着けるんだ・・・・
たしかに恐怖はある、でもここまで来て、その恐怖に怯え時を戻らないなど
そんなばかげた話あるわけがない、やらないという選択肢などこの場面
なら、だれ一人だって取らない、たしかに恐怖はある、躊躇もする
もしも、出来なかったらと、もう二度とあの経験ができないのかと・・・
だが結局はやらないと何もわからない、進まないと何も始まらない
恐怖や躊躇はすれで、やらないなんてありえないんだ・・・・
進むと決めた、前に進もうと、明るく眩しい未来に
向かって進もうと、前の自分には”戻らない”逃げてばかりの自分には
けして”戻らない”そう言った・・・そう言ったんだ・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・もう”戻らない”・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・その時だった・・・・・
また時が止まったかのように遅くなった・・・無意識にするまばたきの一瞬が
遅く、ゆっくりと・・・・感じる・・・
そしてだんだんと五感が消えていく・・・・
何も見えなくなり、何もきこえなくなり、何も感じなくなる
それでも、薄っすらと感じる、まぶたの後ろに
見えていないわけじゃない、まぶたの後ろを見ているんだ
黒いもやをとらえるかのように、自分が巻き戻って行く
その光景を俺はみている・・・・
わかるんだ・・・戻って行くのがわかる・・・戻っている・・
・・・戻っているんだ・・・・
・・・・・時戻りだ・・・・・
「バッ」閉じていた目を開けると、意識が戻る
たしかに場所こそ、さっき自分がいた位置から、ほとんど変わって
いなかったが・・・わかる・・・たった数秒かもしれないが戻っている
風に吹かれた周りの落ち葉が、小さくとも、全てが巻き戻り
明らかに先ほどまでとは位置がちがう、見るものすべて、周りにある
その環境全てが、俺含めみな等しく戻った、たかが数秒前だが戻ったのだ・・・
「はぁ~~」・・・ひとまず、そんな安心したような声を漏らす、だがそれとは
裏腹に俺の体は心臓がバクバクと音を鳴らし、体が少しふらつく、そして
頭がボーっとした、味わったことのない痛みが少しあった・・・まるで
長距離走を走り終えた、瞬間のような、症状が、いきなり体に現れた・・・
「はぁ~~・・・よかった・・・よかった」戻れた、戻れたんだ
ひとまずは、時戻りができて安心したのは事実だったが
そう口にしたとたん、俺はその場に座り込み、しばらく休んでしまうのだった・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誰もいない道の端っこで腰を下ろし、休みながらいろいろと
考える・・・やっぱりなんかしらの、デメリットがあるっぽい
のと、せいぜい戻れて数秒だいたい5~6秒がいいところだ
言ってしまえば、たいして戻れてない・・・まぁでも回数を
重ねるごとに過去に戻れる時間も伸びるではと、今は期待半分
にそう思っておくことにしよう・・・・結局はもっともっと試行錯誤
していかないと何もわからん・・・でも俺は確実に戻ったんだ
夢なんかじゃない・・・戻れるんだ時を・・・それだけは確かだ
そしてやっぱり俺の未来は明るく眩しいままだ
行ける所まで行こう・・明るいうちに・・・
もう夜遅くだった、なんやかんや0時を過ぎているきがした
「とりあえず家に帰ろう」・・・・・・
月に照らさた夜道をひたすらに歩く、明日、明後日がこんなにも
待ち遠しいものなのかと、そんな気持ちでいっぱいになりながら
そんな心とともに家に帰るのだ・・・「明日になったら、机の引き出しから
ドラ○○んみたいなヤツが、出てきたりしないかな~~~ハッハッハッ」
そんな冗談を口にしながら、また「ぺた・ぺた」と静かな夜道に音をならしながら
帰った・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「カチャ」家につき母にバレないように静かに玄関のドアを開け
「もう夜遅いから、母を起こさないよう、静かに、静かに行動せねば」
そんなことを思いつつ、ゆうくりとドアを閉め、風呂場に行き
最低限音を出さないように、裸足で外を歩いて汚くなった足を
洗い、溜まりにたまった、尿をトイレで解放して、自分の部屋に
戻った・・・・「あ~~疲れた~」ここ数時間で様々なことが
起こり過ぎた・・・本当に・・・・眠いわけじゃなかったが
とりあえずベットに横になる・・・なんとも言えない時間が
少し続いた・・・そして少しボーっとしていると・・・
・・・・・・「サイトウさん」・・・・・・
「サイトウさん」そう思わず小声だが声に出ていた
思い出したかのように、サイトウさんのことがいきなり頭をよぎった
「サイトウさんは今どうしているだろう」ふと疑問に思った
昨日?サイトウさんの家に行って、ご飯を食べて、お酒を飲んだ
でもその後のことが全然思いだせないだよな・・・・どうやって家に帰ったかも
本当になにも・・・けどサイトウさんのおかげであの時は自分が
もとめていた、非現実を味わえたんだ、現実から逃げたくて
欲するようにもとめた非現実をサイトウさんはくれた
ストーカーだったり、いきなり家に行ったりなど少し
変な形だったけど・・・いや、だいぶ変だったけど
まさに、非現実的なことをサイトウさんという存在が
俺にくれたんだ・・・・「もう一度会いたいな」・・・
素直にそう思った、でも、今思えば、サイトウさんの連絡先
なんて聞かなかったし、どうすればいいんだ?・・・・・
せいぜい知ってるのは家の場所だけ・・・・・イヤ、ウソついたな俺
正直に言ってしまえば、全然わからない
でも、昨日行った道をなぞればいいんだ
いった道をなぞるだけ・・・あっ、でもバスはどれに乗ればいいんだ?
まぁ、でもそれも、なんとかなるか・・・何とかなるよきっと・・・・
会いたいという気持ちさえあればね・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サイトウさん信じてくれるかな~~、俺が時を戻れるって言ったら・・・
でも、もしかしたら、あのサイトウさんのことだ
もう、知ってたりして・・・時戻りのことも・・・・・ふっふっふっ・・・
ありえるな、なんていったって、サイトウさんなんだから・・・・
そんなことを考えていると、俺は寝ていた、昼間あんなに寝たはずなのに・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・




