二人を結ぶ呪い12
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……
「良かったじゃん。やっとの両想い」
「でもね、そのあと襲われかけたのよ!?『キス以上も好き同士ならいいんだろ?』って……ほんと信じられない!」
自室で枕を抱きしめながら不貞腐れると、勉強机の椅子に座るメイが苦笑いを浮かべた。
「告白当日に婚約指輪を渡したと思ったら……、カミヅキ講師、ぶっ飛んでるなぁ~」
「でしょ!付き合った初日だよ!?しかも外!そんなの絶対駄目に決まってるでしょ!」
「でもさ、好きなんだったら、いいんじゃないの?外は流石に無理だけどさ」
「す、好きでも……、駄目だよ」
真っ赤になり、枕を強く抱きしめる。
「そういう事するのはまだ早いし……それに、するなら記念日とか、そういうのがいいの!」
「昨日が付き合った記念日だったじゃん。しかもシエルの誕生日」
「違うのっ!そういうのじゃなくて……!!」
私はぷくっと口を膨らませて立ち上がった。
「はいはい。まぁ分かるけどね。でも私なら流されちゃうかなぁ……」
「え!?」
「それにしても、ほんと良かったね。両想いになれて。速攻で婚約みたいだけど」
「うん。ありがとう」
そう言われて、顔がポッと熱くなる。
「しかも、ブレスレットも元通りだし……」
メイはそう言いながら私の手首に視線を落とし、そこから隣に視線を向けて続けた。
「さらにはラブまで戻って来たし」
その言葉に私もラブの方へ目を向ける。
すると、隣でドングリを食べていたラブが、自分の名前に反応してクルリと振り返り、つぶらな瞳でこちらを見上げた。
「がおー?」
私はその瞬間に満面の笑みを浮かべた。
「うん!」
…………
……
両想いだと分かって、やっと気づいたことがある。
それは、ディオンが意外と嫉妬深いということだ。
ある日、ディオンがまた機嫌を悪くした時、思い切って理由を問い詰めてみた。
すると、私がクラスメイトの男子と仲良さそうに話していたのが原因だと分かった。
そんなことで機嫌を損ねていたなんて……嬉しいけど、正直ちょっと困る。
その後、私がディオンの婚約者だと学園中に知られ、「シエルと話すとカミヅキ講師に睨まれる」という噂まで広がった。
おかげで、アランとローレン以外の男子とはほとんど話す機会がなくなった。
でも、不便だとは感じていない。
むしろ、告白されることもなくなり、楽になった気がする。
その後、私は全飛び級を果たし――
20歳になった私は、ついに首席で卒業を迎えることになった。
卒業生代表として挨拶をし、花束を手に会場から出ると、インタビューのカメラが沢山飛んできた。
「卒業されたお気持ちをお聞かせください!」
「大魔法使い同士でお付き合いしているというのは本当ですか?」
「数々のスカウトを蹴って魔法研究員になられるということになったそうですが、それはどうしてですか?」
「卒業後の目標などはありますか?」
一斉に飛んで来た質問に、私は笑顔を向けて宣言した。
「私は――子供達が笑顔でこの学園に自宅から通えるような、そんな未来を作りたいです。その為に魔法研究員となって全力を尽くしていきたいと思っています!」
宣言したあとも次々と質問が飛びかかり、しつこくインタビューに追われながら、私は逃げるようにグラウンドへ向かった。
グラウンドには卒業生、講師、見送りの人々がいた。
私はそんな中、新米講師のローレン、クラス講師、クリフオジサン、学園長たち一人ひとりに挨拶していく。
この学園で過ごした時間は、あまりにも長い。
数えきれないほどの思い出がたくさんある。
両親に会えず、泣き明かした夜。
いくら頑張っても魔力が足りず、進級できなかった悔しさ。
意味の分からないルールを押しつける国や学園への怒り。
そして、かけがえのない友人に出会えた、喜び――
放課後、クレープを食べながらメイの恋愛話を聞く時間、規約を破って友人たちとパジャマパーティーを開いた夜、露天風呂から星空を見上げながら語り合ったひととき、サプライズを真剣に計画した時間、友人がフラれて慰める時間、両想いになった嬉しそうな顔を眺める時間――
あげきれないほどの思い出。
どれも、かけがえのない瞬間だった。




