二人を結ぶ呪い11
えぇ!?な、悩んでたの!?
そんな事で悩むディオンなんて、全く想像できない。
ディオンの腕の中で、胸が高鳴るのを抑えられない私は、驚きと嬉しさを感じながら、ディオンの意外な一面に思わず微笑んだ。
「はぁー……お前って、ほんと小せぇな」
ん?ま、まさか胸の事じゃなよね?
「柔らけぇし、誰よりも偉そうで……」
何の話?
「自信がなさそうなのに実は努力家で、そしてマジの吐き気がする位に甘々でお節介焼きだ」
「まさか私、貶されてる?」
思わずそう返した瞬間、ディオンがふっと笑って、少し低い声で言った。
「どうだろうな。でも……、そんなのを全部ひっくるめて……お前が好きだ」
ハッキリと『好き』と言われて、私は抱きしめられたまま、言葉に出来ない程の嬉しさを噛みしめ、目を見開いた。
「この気持ちがなんなのか、ずっと分からなかった。お前を見てると異様にイラつくし、体は勝手に動くし……。だからこれはずっと呪いだと思ってた」
「呪い?」
「言っただろ?誰かに呪いをかけられてるって。だから最初はお前が俺に妙な呪いでもかけたんじゃないかって、疑ってた」
……ああ、確かディオンが過去にそんな話をしていたような?
「私がそんなことするわけないじゃない!」
「分かってる。耳元で叫ぶな」
ディオンは顔を歪めて私を引き離すと、ふと自分顎の下に手を添えて宙を見上げた。
「……いや、でもこれもある意味、俺にこの気持ちを植えつけたお前からの『呪い』なのかもな」
「えっ……?」
何を言っているんだろう?
独り言のように呟く言葉に理解が出来ない。
ディオンが何かを思いついたように、私に視線を戻す。
でも、何故かその目には不敵な笑みが浮かんでいて、体が勝手に警戒モードに入った。
「そうだ……、俺に呪いをかけたお前に、今度は俺から呪いをかけ返してやろう」
不敵な笑みを浮かべたディオンに、思わず変な汗が出そうになる。
「何のことだかサッパリ分からないんだけど!怖いから止めてよ!」
「いいや許さねぇ」
ディオンはそう言うと、突然片膝をつき、手を差し出した。
「な、何……!?」
驚きながらもその手に視線を落とすと、小さなケースが現れた。
私は、そのケースに釘付けになる。
なんだか、テレビとかで見たことのある風景だと思った。
これって、まさか――
そうしてパカッと開かれる。
「……えっ」
すると中には、花の形をしたその指輪が存在感を放っていた。
花びら1つ1つは宝石になっていて、煌びやかに光を放っていた。
「俺から、一生離れられない『呪い』をかけてやる」
その言葉が届いた瞬間、やっとティオンの言う『呪い』の意味を理解した。
すぐに胸がいっぱいになり、私の頬に大粒の涙がこぼれた。
その涙は静かに花畑の花びらに落ち、夕焼けに馴染むように消えていった。




