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落ちこぼれの建国計画  作者: 花倉もも
二章:帝国
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50話 お墓参り

冬の間に積もった雪が既に溶けた頃、お母様の命日がまたやってきた。黄色のフリージアのブローチをみて、涙を必死に堪える。やはり、今まで受けてきたどんないじめの100倍くらいつらい。

「お母様…ごめんなさい……私のせいで…」

私にもっと力があったらお母様が死ぬ事はなかったのに。お母様が自分の食料も私にくれているって知っていたはずなのに。

「リディア…今大丈夫?」

「月華…」

「今からこの街にいるすべての人が行かないといけないイベントがあるらしくて」

「陽翔…うん行こうか」

私が泣いてしまったらきっとみんなに迷惑をかけてしまう。だから泣いてはいけない。

喪に伏しているので服はすべて黒。この地方の風習は詳しくは知らないけど、ブローチとかアクセサリーはつけない方がいいよね。

ガイアから貰ったペンダントを才能で作った四次元空間【マジックボックス】に入れて、ブローチは手に握りしめる。花屋が売っているのは黄色のフリージアだった。

広場について黄色のフリージアの花束を貰い、街の住人全員で墓地に向かう。

中には、泣いている人もいて、子供からお年寄りまで沢山の人に好かれていた事が窺い知れる。

墓地の中の一つのお墓の前で神父様が冥界での幸せを願う言葉を紡ぐ。

「フリージア・イーカラ様の…フリージア・サンジェリル様が冥界にて幸せに過ごせるようお祈り申し上げます。」

その言葉を聞いた瞬間、時間が止まった感覚がした。前から感じていた疑問はやはり偶然じゃなかったんだ。

「お母様………」

思わず口からこぼれ落ちた言葉に、この場にいる全員が私を凝視してくる。

小さな声であったが、静かな黙祷の時間には、やけに大きく響いた気がする。

「…………まさか、まさかリディアなのか?」

神父様の横に立つ2人のうち1人が声をかけてくる。イーカラ侯爵家当主夫妻だろう。もし、もし本当にお母様がイーカラ侯爵家出身だったら…祖父母にあたる人達だ。

だんだんこんがらかってきた事態にどう対応するか考えていた私は思わずブローチを落としてしまった。

ブローチを見た瞬間、人々の顔が驚愕と喜びに彩られる。

「ようやく、ようやくお戻りになったぞー!!!」

「ああ。なんという事かしら。早くお祝いの準備をしなくては!!」

「創造神様、リディア様をここまで連れてきてくださって、誠に感謝申し上げます」

もう何がどうなっている?

「フリージア…ああフリージア!!」

「ありがとう…戻ってきてくれて本当にありがとう…」

いきなり当主夫妻に抱きつかれて、私は血のつながりを感じた。

だって、私の目の色はお祖母様のと同じだったから。

「リディア、私達は一回宿に戻るね」

「流石に感動の再会の邪魔はしないから」

2人はそう言って花束をお墓に備え、ちょっとの間祈るとすぐに立ち去っていった。

「リディア、うちにおいで。話しましょう。」

「ああ。孫とこうして会話できるなんて…嬉しくて死にそうだ…」

確かに年齢を考えるとご高齢だけど、大丈夫なの!?

「そのまま死んでしまったらもう2度と声を聞く事はないでしょうねえ」

「それは嫌だ!!!」

どうやら夫婦の力関係はお祖母様に軍配が上がるようだ。


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