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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第5章 きっと、みんなと一緒なら
68/68

トルネクロンB

トルネクロンは高揚バフ付与詠唱が終わり、その身に風を纏った。

ここからしばらくは、今までよりも強力な攻撃が続く。


「こっからの敵行動は、単体・全体・近列・遠列のランダム順だったよな?」

「そうそう。しかも全部、溶解の状態異常付き」

「何が来るか見定めないと、いきなり事故るところだな」


ちなみにここで言う「事故る」というのは、プレイヤーの操作ミスのことだ。敵の詠唱開始から行動までの間隔が毎回3秒なので、冗談でもなんでもなく、起こり得る。


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トルネクロン「我が毒を喰らえ!」

「単体攻撃……ボスを狙うわよ……!」

「はぁ~い☆ 強化、強化~ぁっ☆」

「この私も援護したげる」

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くろんさんの宣言に合わせ、°˖✧はぴ✧˖°さんが火属性威力UPのバフを、くろんさんに付与する。


「°˖✧はぴ✧˖°さんの必殺技ゲージMAXを確認」

「チョコケーキさんの必殺技ゲージMAXを確認」


それを確認したくろんさんは、必殺技ゲージを使用して大剣に炎を纏わせると、装備の強化もあって、以前よりかなり威力が増した業火の斬撃を放った。

だがまだ、鉱石部分にはヒビ1つ入らない。


「ウプペ!?」

「やっぱ敵のHPも半端ねぇ!」


この間にチョコケーキさんは回復しつつ、ダメージバリアを全員に付与した。照輝さんも再度守護技槍を使用し、トルネクロンの強単体攻撃に備える。


詠唱が終わったトルネクロンは口を大きく開け、毒牙から紫色の液体を滴らせると、前列で怯えるくろんさんの脇をすり抜け、後列移動していた照輝さんに嚙みついた。照輝さんの隣にいたMiyabiさんも、顔が青い。


自分がターゲットじゃないと分かってても、この迫力と台詞じゃ怖いよな。

まして本当のターゲットとなっている照輝さんは……どれほどの恐怖と戦わなければならないのか。


「ウペピィ!!」

「ひえ、めっちゃ毒牙刺さってる……!」


守護技槍の効果やダメージバリアでの軽減もあったが、HPが1/3ほど抉られた。しかも……


「照輝さんへの逆鱗2回、溶解30%付与を確認」


この攻撃の本当の恐ろしさは、この状態異常付与にある。

物理防御力特化装備と、与ダメージ軽減策で溶解の威力そのものは弱まっているとはいえ、解除できないから、行動するたびに入る追加ダメージに、しばらく耐えるしかないのだ。


°˖✧はぴ✧˖°さんが必殺技ゲージを使用し、敵デバフの強化版を付与した直後、照輝さんも怯むことなく必殺技ゲージを使用し、再度与ダメージDOWNとダメージバリア付与の効果がある剣盾での、連続刺突攻撃を放った。


くろんさんも震える手で、斧を振り抜く。Miyabiさんもまた、恐怖を振り払うように大鎌の詠唱に入った。


「くろんさんへの逆鱗付与1回を確認」

「あれっ、状態異常の追加ダメージで、照輝さんのダメージバリアが割れない!?」

「状態異常の追加ダメージは、ダメージバリアで防げねぇよ!」


ただでさえ減っていたHPが、これでさらに減ったので、急いでチョコケーキさんが回復を施す。


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トルネクロン「毒風よ、回り込め!」

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「今度は遠列攻撃!」


遠列攻撃と近列攻撃は、最低1名が必ず受けなければならない攻撃だ。遠列攻撃の場合、その役目はだいたい、プリーストかレンジャーが担う。


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「みんなよけてぇー!!」

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チョコケーキさんが遠列受けを宣言したので、°˖✧はぴ✧˖°さんは前列移動の弓攻撃の詠唱に入った。元々前列にいたくろんさん、照輝さんはそのまま、前列で攻撃を続ける気のようだ。


°˖✧はぴ✧˖°さんが移動した直後、後列範囲に毒液交じりの風が吹き荒れ、ダメージバリアを砕いてさらに、チョコケーキさんを切り刻む!


「チョコケーキさんへの溶解20%付与を確認」

「敵の攻撃そのものは魔法だから、魔法防御力が高いプリ受けが最適だけど、溶解は物理防御力がマジの次に低いプリにとって最悪の状態異常だから、そっちがきついな……!」


この隙に敵の攻撃中から詠唱を開始していたくろんさんは、自傷双剣で自身に付与されていたダメージバリアを砕きつつ攻撃を放つ。

直後照輝さんが味方全体への防御バフを延長しつつ、ダメージバリアを1枚追加したが、すでにダメージバリアが割れているチョコケーキさん、くろんさんのダメージバリアはこの追加分のみとなった。


「くろんのやつ、状態異常ありの敵に対して、またそんな無茶を……!」


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「20%溶解マジ痛いんだけど~!! 何で照輝さん、平気そうな顔してんの~!!」

「準備は万端……一気に行くよ!」

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風が完全におさまった直後、Miyabiさんは後列移動しつつ、必殺技準備に入った。


「Miyabiさんの必殺技ゲージMAXを確認」


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トルネクロン「毒風からは逃がさぬ!」

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だが続く敵の攻撃は全体魔法攻撃、すぐには前に出られない!


「いや……この敵の攻撃間隔なら、全体魔法攻撃後でもギリギリ、バフ切れる前に叩き込める!」


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「逃げるしかないかもぉ~!」

「守りを固めるの」

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°˖✧はぴ✧˖°さん、くろんさんが次々と後列へ避難する中、


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「準備いいでしょそうでしょ」

「筋肉が守れと囁いてるぜ……!」

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チョコケーキさんが守護技槍で敵の与ダメージを一時的に下げ、照輝さんが風属性耐性付与の剣盾を掲げた。赤い光が味方全体を包み込む!


「ウペペペ!」

「聖盾連携きた!」

「照輝さんの逆鱗1回の消費を確認」


紫色の強風が味方全体に襲い掛かり、ダメージバリアもろとも全員を切り刻む。そして……


「味方全体への溶解10%付与を確認」


状態異常が容赦なく、火属性選抜メンバー全員の身体を蝕んだ。


ちなみにゲームの仕様上、「効果威力が高いもの・効果時間が長いもの」に上書きされるため、すでに照輝さんとチョコケーキさんに付与されていた溶解の威力はそれぞれ、30%・20%のまま効果時間が延長されることとなる。


「照輝さん、くろんさんの逆鱗1回の消費を確認」


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「これが私の、より強くより美しい攻撃よ!」

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フルバフ状態となったMiyabiさんが、行動時ダメージに耐えつつ必殺技攻撃を放つ!


その杖から放たれた魔力は渦巻く炎となり、トルネクロンを覆いつくすと、ようやく鉱石部分に小さなヒビが入った。


「ウピッ!」

「よし!」


他の人たちも行動のたびにダメージが入るので、チョコケーキさんは耐性付与メイスで同時に回復をこなす。


「チョコケーキさん、行動時回復は持ってなさそうだな……」

「持ってたところで余裕枠ないだろ。今回はプリーストも必ず1つ、前列移動武器入れないとだから……」


そして昼エリアのボスに対して、多くのプレイヤーがやっていたように、プリーストやナイトが積極的にデバフ付与を手伝う余裕もなさそうだ。


「あ、でも今くろんさん、自己回復効果ある双剣使ったな!」

「アークタルラ戦の時は自傷武器ばっかりで痛々しかったけど、コンボ的にもいい武器だし、誰かに助言されたか?」


私には何となく、助言というよりは文句を言われて編成したような気がした。今までのくろんさんなら迷わず、攻撃威力重視で自傷武器を選んでそうだし。


照輝さんが敵のヘイトを取りつつ、自己防御バフの延長をしたところで、


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トルネクロン「毒風よ、捉えよ!」

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4種のランダム順攻撃では最後となる、近列攻撃の詠唱が開始された。これを見たMiyabiさんは即、自己バフを延長しつつ後列移動する。


「え、ちょっと待てよ。これ……°˖✧はぴ✧˖°さんとくろんさん、下がれるか!?」

「詠唱なし武器ならギリギリ……!」


その言葉通り、詠唱なし武器で2人が後列移動し、照輝さんが自身にダメージバリアを付与した直後、前列範囲に毒液交じりの風が吹き荒れ、ダメージバリアを砕いてさらに、照輝さんを切り刻んだ。


敵の行動が早いので、こういう場面もあり得るのか!


「安心すんのはまだ早いぞ、ランダム順の縄跳びが来る!」


ようやく1周の終盤となったが、ここから2回即死列攻撃が来るので、本当に全く気が抜けない。


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トルネクロン「風刃よ、切り刻め……!」

「前に出て筋肉を見せつけてやれ!」

「前には行くけど、やだよ( _•ㅅ•)_」

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「後列からだ!」


照輝さん以外の4人が次々と前列移動しつつも、火力2人は着実に敵のHPを削り、補助2人はバフ・デバフを追加付与していく。


「°˖✧はぴ✧˖°さん避けるのうまっ!」

「レンジャーは大半が詠唱ありの武器だから、列避け難易度高いのに、よく計算されてるっ!」


行動時ダメージの痛みに耐えつつ、全員が移動し終わってすぐに、後列範囲を竜巻が通り過ぎた。

そして間髪入れず、


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トルネクロン「風刃よ、降り注げ……!」

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今度は前列攻撃の詠唱が開始される!


「Miyabiさんの必殺技ゲージMAXを確認」

「照輝さんの必殺技ゲージMAXを確認」

「うまい、Miyabiさんは縄跳び直後に、必殺技叩き込む気だ!」

「くろんさんも必殺技準備っぽいけど……まだゲージ溜まってないよな?」

「いや、それはもしかしたら……」


前列範囲を、死の竜巻が通り過ぎた。


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「いっけ~!」

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それを待っていたように、Miyabiさんが必殺技ゲージを使用し、杖をかざす!

渦巻く炎が再度トルネクロンを包み込み、また少し鉱石部分のヒビが大きくなった。


「くろんさんの必殺技ゲージMAXを確認」

「え、待てよ、今くろんさんが使った武器って……」

「やっぱり追加バフと同時に、追加デバフが大幅に入る、第2の必殺技準備武器だ!!」

「敵の最大攻撃が来る直前に!? デバフまで追加付与したのか!?」

「しかもその準備武器の自傷で、ダメージバリア割れたし!」


すかさず照輝さんは、敵に与ダメージDOWN効果をかけ直しつつダメージバリアを張り、チョコケーキさんは耐性付与しつつ、行動時ダメージで減ってしまった全員のHP回復に努める。


そしてついに、


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トルネクロン「我が力、暴風となり吹き荒れよ!!」

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1周最後となる、極大全体魔法攻撃の詠唱が開始される!


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「筋肉は決して裏切らない!」

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ここぞとばかりに照輝さんは必殺技ゲージを使用し、火属性の剣盾を掲げた。今までより一層濃い赤光が、味方全員を包み込む!


「味方全体に風ダメージ耐性UP50%7.9秒付与を確認」

「来るぞ!」


暴風が吹き荒れ、ダメージバリアもろとも火属性選抜メンバーたちを切り刻んでいった。耐性を一時的に強化していても、HPの大半を持っていかれる威力……やはり魔獣戦は一味違う。


「照輝さんの逆鱗1回の消費を確認」


特に魔法防御力が元々低いうえに、ダメージバリアが他の人より1枚少なく、デバフまで付与されていたくろんさんは、かなりの重傷だ。

だがそれでも、彼女は止まらない!!


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「怖い……怖いけど、私はもう……逃げない……!!」

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必殺技ゲージを使用し大剣に炎を纏わせて振り抜いた斬撃が、トルネクロンの心臓部分にぶち当たる。こちらが予想していた以上の大ダメージが入り、鉱石部分が1/3ほど欠けた。


それと同時に行動時ダメージが入ったため、瀕死に追い込まれたくろんさんはよろめき、大剣で身体を支えた。


「ウペパペ!?」

「くろんのやつ、HPが残るギリギリの無茶をやりやがって……!!」

「°˖✧はぴ✧˖°さんの必殺技ゲージMAXを確認」

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