第六話
小学五年生、この頃はどうだったろう。まだ、バスケは楽しかったし、塾もまだいい成績を維持することができていた。でも、頭に強く残っているのは水泳を辞めたことだった。英会話もやめた。塾が忙しかったからだ。その分バスケの背番号も少し下がった。それを冗談のようにお母さんに言ったら、だったらバスケもやめればよかったのに、水泳か、英会話を続けてバスケを辞めればよかったのに、と言われた。あんたにはバスケは向いていないと言われた。少しカチンときたが、でも僕は何も言えなかった。僕は、まだお母さんに対抗する術を持っていなかった。姉は、優しく悩みを聞いてくれることもあったが、マイペースな性格もあり、悩みを話しても、なんでそれで僕が悩んでいるのかわかっていないようだった。人それぞれだし仕方ないと言われても、それでもモヤモヤしたままだった。父親は僕に興味がなかったのか元々そういう人なのか悩みを話せるような人ではなかった。外では、僕はすごく明るいキャラを演じていたため、そのような悩みを持っているとは知られたくなかった。
塾でも親しい友達ができた。二人できたがどちらも同じようなレベル感で、好きな科目なども似ていたため、すごく仲良くなった。また新しい居場所ができた。先生は少し怖かったが、それが気にならないほど、楽しかった。
でも、塾から帰った後は地獄だった。塾の授業で間違えた問題をお母さんに説明するという作業が必要だった。お母さんはお世辞にも算数ができるというわけではなく、国立文系の大学で数学をやっているとはいえ、本当に苦手だったらしく、僕は苦労した。それだけならまだいいが、僕の教え方が悪かったり、僕が疲れた様子を見ると、暴言を浴びせてきた。僕が字が汚かったのも災いしたか、それともそんな僕が気に入らなかったのか、たびたび暴力にも訴えかけてきた。僕はまだ対抗する術はなかった。何回も家出しようと思った。でも、途端に冷静になり、家を出る勇気は出なかった。その理性が働いている間は、大丈夫だと思い、また明日も頑張ろうと布団に入る。夢の中ではまたお母さんががなっている。その頃から、夜によく寝ることができなくなっていった。それでも、明日はきた、寝る時は、明日目が覚めなくてもいいやと思いながら布団に入っていった




