第93話:ユニットを強化しましょう──完全なる外法扱いです
15日目:オーク村(其の1)
「レッド様、完全に心壊れてますよ?」
「その方が改造しやすいぞ?
自発行動が取れないから世話役が要るけど」
女達4人。
人族が3人、ハーフエルフが1人。
全員服はボロを着せられ、心が壊れている。
自発的に出来るのは、呼吸。及び口にいれたものの摂取。
きちゃないのをユニに近付けたくないし、不潔なのはさっさと浄化済み。
<光属性魔術>って便利だな。
光と闇は、特に属性の力が強く、操作難易度も高い。
その代わり、イメージの自由度が広い。
光、そのものに浄化能力はない。それは単なる現象なのだから。
そこに、イメージを鮮明に注ぎ込むと恐ろしく便利な品物になる。
他の属性魔術との混合もしやすいし、流石はレア属性、ライト&ダークには感謝だな。
繁殖用に用意した部屋に運び、簡易ベッドにそれぞれ乗せる。
さて、始めよう。
装備を生産用に変更。
指貫グローブを装着。
カッコいい白衣を装着。
「ハーハッハッハッ」
「レッド様は何をしてるんでしょう」「マッドサイエンティストに成りきってるんス。見守ってあげるっス」「キュ」
おっと、テンションが上がってしまったな。
<錬金術>と<工作>を中心に、魔術を使って身体を変えていく。
顔貌は、オーク達にアンケートした中から、最大限寄り添うものに。
人族の女が3人いるので、貧乳、普乳、巨乳にそれぞれ改造。
単なる整形手術ではなく、<錬金術>なのです。異物ではないのでだいじょーぶ。
ハーフエルフはむしろそのままがいいという意見多数のため、黄金比に近付けるだけにしておく。
んー、お薬と<錬金術>だとこれくらいが限界かなー。
ユニみたいに魂から変えられれば良いんだけど、あれかなり厳しい条件下で可能だったみたいだし。
エル:一部のみ可能です。
なんですと?
エル:個体名:ユニのケース。及び派生する現象を解析し、<変異誘発>スキルの自由度が上がっています。
<変異誘発>って、パッシブだけじゃなくなったのか。
やり方は?
エル:マスターの操作領域にインストール中──
──ふんふん。こんな感じか。
ユニにやったことの、劣化模倣だな。
だが充分充分。
まずは、女達に名前を適当につけて、上書き。
エーナ(ハーフエルフ)、ビーナ、シーナ、ディーナ。
……よし、上書き出来た。我ながら、適当に名付けた割にはいい感じではなかろうか。
次に、干渉できる魂の一部分に、干渉していく。
おっ? <精神魔術>使えば更にいい感じになりそう。
あとは付与と改竄か。
「ユニー、手伝ってくれー」
「何をすれば良いですか?」
「ユニのエクストラスキル<サキュバスの因子>を、一部コイツらに劣化コピーさせるから、ユニは俺に抱えられていてくれ」
「はーい」
全身やーらかいユニを抱え、よりユニの魂に、スキルに意識の焦点を当て、解析していく。
足りなくなってきた制御力を上げるために、<極限集中>起動。
ユニから写し取ったスキルを、合うように書き換えた魂にインストールしていく。
……かなりの劣化だが、必要最低限はカバーできる。
次に、再度肉体に干渉。
ピアス状のマジックアイテムを、身体の各所に配置。
<文字之技術>で、魔印、魔法陣、魔紋を身体に刻んでいく。
親にもらった身体に穴を開けていいのか?
良いんです、他人の身体ですし。
第一、ピアスの穴でぎゃーぎゃー言うくせに、胃に穴開くのは、管理がなってないとか言うの、おかしいと思います。
どーでもいいけど。
……よし、染料が定着したな。
目立つ紋様と、目立たない紋様に分け、ハーフエルフの魔紋は不可視化処理。
最後。
精神を弄くる。
──くっ、<限界弑逆>を部分発動。
更に増した処理能力を使って、精神を解析し、適宜改竄していく。
オーク達と繁殖しやすいように。
自ら望んでオークを増やすように。
サキュバスという種族を模倣し、作り出す都合の良い肉人形。
……
…………
………………
「ぷはぁー! できたー! <限界弑逆>解除。及び<極限集中>段階解除。
はー、ユニー悪い気とやらを<ドレイン>して癒してくれー」
「はい! ユニ頑張ります! 吸いますよー」
あー、癒されるー。
めっちゃ癒されるー。
『アニキ、出来たんスか?』
『おう。今できるすべて突っ込んでみたよ。
こんな感じ』
『……うっわ。R指定同人みたいな設定っスねー』
『都合の良い感じにしたからな。
ともあれ疲れたぜ。フォルトゥーナは?』
『角をトレントにあげに行ったっスよ?
マジで豊穣の角だったんスね、あれ』
『俺もビックリだ。<レッドの腕輪>内に、フォルトゥーナ農園と、養蜂場作ったらめっちゃ育ってんだけど』
『野菜も育てながら移動可能って、凄いっスよね』
『凄いんだよ。神が作ってくれたミソロジーのアイテムだからな。
よおし。動けるようになった』
「ユニ、お風呂に行こう。
彼女達は、能力の定着まで時間がかかる。
あとは放っておいて大丈夫だ」
「え? お風呂有るんですか?」
「勿論作ったとも。
サモン、ゴブリン隊。
お前達、この4人はオーク用の人形達だ。
今夜はこの4人も保護対象でよろしく」
「ハッ! 畏まりました! オーク村配属の者達も、スキルの成長・発現を確認。
きちんと育っております」
「そいつは重畳。それじゃあ俺は風呂入ってくるから、あとはよろしくな」
「お任せください」
「よーし、今日はアワアワにしてやるからなー」
「お背中お流しします!」
はー、明日起きたら、ステータス確認しねーと。
アウト:相変わらず名付け方がひどいっス。
フォルトゥーナ:キュ(おいしい野菜と果物そだてー)




