第8話:魔物考察しつつ、町に到着──したい
1日目:草原
ふぅ、殺れた、な。
精神耐性や種族特性なども有るが、明確に他者の命を奪うのは初めてだ。
でも殺れた。
エル、ステータス。
【ステータス】
レベル:2(+1)
生命力:2000(+1000)
体力:82/201(+101)
魔力:89/203(+101)
氣力:76/206(+104)
レベルが上がってる。弱ゴブリン1体でか。いや、1歳児が一年で獲得する経験値だ。
ゴブリンを投擲で殺し、ボーナス付き。まあ、この辺の考察はエルに丸投げ。
エル:了。
殆ど血も出さずに、殺せた。匂いは単にゴブリンが臭いだけ。
迷宮のモンスターはドロップアイテムと魔石を残して消えるが、普通のモンスターは普通に残る。
ゴブリンの価値は、小さな魔石と、討伐証明部位ってところか。まだ把握しきれていない。
丸々収納しておこう。棍棒も。
<ゴブリンの棍棒>
ゴブリンの持つ棍棒。特に強くはないが、一般人を殺すには充分。
さて、今回の戦闘データはエル先生が取っているし、精査してくれる。
戦いを重ねれば、更に良くなるだろう。スキルはぽんぽこ取れる訳ではないが、常人より余程早く取れるだろう。
本来、スキル獲得やスキルのレベル上げは月単位、年単位だ。
まだこの世界に生まれて数時間。高望みが過ぎると言うものだ。
しかし、投擲が思いの外、強かったな。ただの石なのに。氣力纏わせたからか。
それに、スキルレベル3。これは中々に強い。
駆け出し:レベル:1
一人前:レベル:2
そこそこ:レベル:3
冒険者でも、レベル3有れば、新人を越えるのは簡単らしい。
スキルレベルは大体がMAXで10。そこから、派生したり。上位化したり。イレギュラーしたり。
剣も使ってみたかったが、刃毀れなどの、整備が必要となるし、近距離戦はもっと慣れてからで良いだろう。石はタダだ。
1ヶ所、大きな岩も有ったので収納しておいた。投げれないが、使いようによっては使えるだろう。
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さて、魔物の考察。
魔物は、ランク制を導入したらしい。このランクが上がると、種族進化などを起こし、強くなる。レベル100になり、条件を達成でランクアップ。
ランク1:虫とか、鼠とか。人に危害をそんなに加えないレベル。子供でも頑張れば殺せる。
ランク2:大型動物や猿、犬等。一般人では厳しい。人数多くして当たれば、倒せる。
ランク3:貴方はでかい猪、熊と戦えますか? そう、ランク3からが本番。
大体、ランク2上位~ランク3を倒せるのが、戦闘を生業とする者で、駆け出しだ。
ゴブリンはランク2上位。俺が殺したゴブリンは、成人前後なので少し弱い位だろうか。
エル先生が、神から貰った情報、鑑定ですっぱ抜いた情報を簡易に表示すると、こんな感じ。
【ゴブリン】
ランク2~の魔物。
種族スキルとして、<繁殖><性欲上昇>を持ち、その繁殖力でゴキ扱いされる種族。
オス、メス共に居るが、メスの出生率はかなり低く、尚且つ別種のメスの方が、オスの好みの為、人類種、特に人族がよく襲われる。
基本的に部族を作り、集落も作る。はぐれとなる個体も多い。
雑魚の代名詞の1種だが、多様性が強く、成長した個体はかなり手強い。ゴブリンに舐めてかかったら、上位種で返り討ちされた、という初心者は多い。特に女性戦闘者に嫌われている。
弱いとはいっても、猿などが武器と知恵、拙いがコンビネーションを取り襲ってくる。一般人は逃走推奨。
とまぁ、まだまだ有るがこんなとこ、だろうか。モンスター等は、創造神が造り出したもの以外にも、イレギュラーが起こりやすくなっており、かなりの多様性がある。
他にも、他世界:特にアースからの情報により、新たなモンスターが生まれたりする。何らかのシステム神が頑張っている。
とりあえず、ランクが有るものはモンスター。ランクがない生き物は動物。ジョブに就けるのは、人類。大雑把にこんな括りだとか。
ゴブリンを殺害したことにより、<とある神与の迷宮創造>スキルで、下僕:眷属でゴブリンを作り出せるようになった。なったが、かなりのリソースを食うみたいだし、まだまだ止めておこう。
リソースは、他者の殺害。魔力氣力体力、生命力。寿命など。さまざまなものだ。ゴブリンの遺体でも可。
ちなみに、俺の不老とは、老いない。そして代謝はするが、マイナスにはならず、徐々に良くなる。上昇するという、隠れた成長ボーナスだ。
皮膚はターンオーバーを繰り返す毎に、俺の認識において、より良いものとなる。
骨も、固く、柔軟になる。
今はまだまだ効果を感じられないが。多分、日々実感できるモノではないとも思う。
頭の一部でそんなことを、思考しつつ。足は動かしていく。
街道? を見付けたのでそれに沿って歩いていく。
途中で鳥や、鹿を見付けたので、投擲して仕留めて置いた。辺りに警戒の必要なものはなく、落ち着いて解体できるポイント、及び水場を見付けたので、解体してみた。
ためしに、魔力でソナー出来ないかなーっと試してみたら、エル先生がやってくれた。
そのデータと、エル先生のお力でさばいた。素人だが、玄人のエル先生が居るので、殆ど無駄なくさばけたと思う。
革袋に入れてもおかしくない量を詰め、残りはアイテムボックスに。レベルは上がらなかった。
結構時間使ったし、血の臭いも出たが、襲われることはなかった。
つらつらと考えながら歩いていくと。
強化された視野に、人工物が見えた。
それは、城壁。
町が、見えた。
旅装セットは万能。