第77話:馬も車牽けば豚に当たる
15日目:交易都市ハラスラからの街道
ひとしきりアウトとマンガ談義をしつつ、ユニの髪を整えていると……。
「ユニ、アウト。戦闘準備だ」『フォルトゥーナ、見えてるな?』
「はい!」「はいっス」『キュー!』
感知系と、航空偵察から魔物を察知した。
敵は複数。
大柄、そして人型。
何より──
『旦那様、ワタシをお使いください』
『勿論だとも』
──イフが大興奮している。
エル:表示します。
【ステータス】
個体名:───
性別:男
種族:オーク・リーダー(オーク種)
レベル:50
ランク:4
【ステータス】
個体名:───
性別:男
種族:オーク(オーク種)
レベル:21~80
ランク:3
オークの集団だ。
『イフ、初の実戦で、お前のターゲットだ。
きちんと使ってやるから、従えよ?』
『勿論でございます、旦那様。
どうぞワタシを、豚どもの首を割くのにお使いください』
メインウェポンはイフだな。
短剣だが、オークの太い首を斬るのには使えるだろうし、やりようはある。
『ここからは念話だ。
オーク達が稚拙だが罠を張って、街道を通る人間を襲うようだ。
これは冒険者ギルドの情報でもあった。
今回は、俺がイフで前衛。アウトも前衛だ。
フォルトゥーナは撹乱。
実戦未経験のユニは、後衛で魔術とドレインを。ミゼリコルデは発動状態だ』
『はい! レッド様』『オークっスか。ファンタジーっスね』『キュー(おいしい)?』
『オークのお肉は美味しいらしいぞ』
オーク肉を豚/猪肉として食べるファンタジーが有るが、この世界:イリガルドでも食材になる。
魔鳥たちの視界からも、姿が捉えられた。
背の高い草木にでかい図体を隠しているが、上空からでは丸見えだ。
オークの姿は、豚や猪のような頭部。
太い脂肪に守られた肉体は、筋肉がしっかりと付いており強靭。
服や皮鎧を装備し、武器を携帯したり罠を張る知能も有る、特に女性に嫌われる魔物だ。
まー、ゴブリンのパワー強化型だな。
獣人の豚人や猪人に、やーいオーク。とか言えば戦争である。
アイツがリーダーだな?
一人だけ、ハンマーを持っている。
冒険者からの鹵獲品かな?
他の奴等は基本的に棍棒装備。
俺の感知内に入ったことで、スキルの確認もできる。
うわ、やっぱり<性欲上昇>と<繁殖>が有るよ。
……うん。遠距離型の<投擲>と魔術師見習いが居る。
アイツらを先に捌くか。
『ライト、ダーク。接敵する。
落とし穴が有るから、気を付けろよ。
俺が埋めるけど』
『『ヒン!』』
さあ、戦闘開始だ。
──────────
馬車から飛び出し、火・風・土混合魔術<破裂する熱岩>を叩き付ける。
オークの数は22、うち<投擲>4、<無属性魔術>2。
<投擲>持ちに熱岩を叩き付け、破裂すると溶岩擬きの弾丸を撒き散らしグループダメージ。
落とし穴に干渉し、穴を埋める。
厚い脂肪で熱い岩のダメージは少ないか。
だが一体、行動不能。
フォルトゥーナは屋根から<ツェール>や投げナイフをうさうさ投げている。
右手にイフを、左手にアウトを装備。
「ちょっ!?」
「逝ってこい!」
アウトを<投擲>!
「ええい! 殴って砕け! グーパンチ!」
おー立ち直り早い。
厚い脂肪を貫通する内部破壊か。悪くねぇ。
ユニも馬車から<精神魔術>で<精神衝撃>や<精神異常:恐怖>。
<ドレイン>による妨害を仕掛けている。
ユニを守る前衛を増やす。
『来やがれ! レッドール!』
説明しよう!
レッドールとは!
俺:レッドが<地属性魔術>と<錬金術>で作り出した石材と粘土を<工作>で人形にし!
<魔力・魔術付与>や<念動力>を魔石を付けてぶっ混み、各間接を魔石で滑らかに!
俺の爪、髪、血液、その他削れるものをホムンクルス的に配合!
生み出されたのは、どことなく赤いラインの入った土色のゴーレム!
エルによる操作で実質オート!
槍と盾を持った、優秀な前衛だぞ!
しかも、レッドールは俺と同期してるからスキルも使える上に、経験値も入る!
『ユニ、レッドール達を盾にして、後ろから撹乱を』
『はい!』
レッドールに魔石使いすぎて、色々手が回らなかったが、4体のレッドールの盾は中々だぞ。
ブーツを地面に叩き付け、加速!
『イフ!』
『はい!』
イフのスキル、<精神白失>でオーク達の意識を一瞬飛ばす。
<人豚殺行>スキルはパッシブで働く、オーク系の特攻!
<痛撃膨激>を発動させ、相手に与える痛みを更にドン!
目の前の<無属性魔術>持ちの首を掻っ切り、左から来たオークを<蹴撃>、吹っ飛ばし右のオークに<殺刃撃>。
イフに氣力を流し込み、<氣刃>を形成。
<氣刃>を伸長させ、リーチを伸ばす。
オーク達の攻撃を<回避>しながら、イフの殺意と俺の殺意をミックスさせ<意識投射>を発動。
殺意を攻撃力に変換し、オーク達を解体していく。
<解体>スキル、そして<料理>スキルを意識的に稼働させ、オーク達を筋に沿って解体していく。
並列思考により、辺りを確認しているが。
『グーパンチ! グーパンチぃ!』
おお、動きがかなり良くなっている。
強化・付与魔術をてんこ盛りにしたけど、破壊力に連撃。パリィ。
あれ、アイツいつの間に氣力飛ばせるようになった?
『キュキュキュキュ(おにくおにくおにくおにく)!!!!!』
フォルトゥーナは<ツェール>を当てて、相手に不幸を付与。
行動の失敗を誘発させ、ナイフを投げまくる。
投げられた石は蹴り飛ばし、反撃までしている。
『えーい、死んじゃえ! <ドレイン>!』
ユニは、心配要らないな。
戦うこと、命を奪うことに忌避感も薄いみたいだ。
……あの過去じゃな。
杖を振り回しながら、スカートもフリフリ。可愛い。
やってることも、俺は気にしないし。
レッドール達も、大楯でユニへ向かうエロオーク達を留めながら、槍を振るい、突き刺し、地味ながら貢献している。
『あははははは!!!!! 豚は屠殺です!』
イフさん大喜びのまま、オークを狩っていく。
やっぱり、移動力・機動力は重要だな。
ブーツは大事。
<変態機動>でオーク達の意識の裏を行き、最後の<投擲>持ちの延髄を断ち切る。
『やれ!』
『クルルルルル! (ファイア・ブレス! フロスト・ブレス! ウィンド・ブレス! サンダー・ブレス!)』
逃げようとするオーク・リーダー達を航空爆撃。
対空潰してからの航空援護は当然だな。
皮膚が焼け爛れ、足は凍りつき、目は切り裂かれ、神経は痺れた四重苦のオーク・リーダーに、イフを突き刺す。
『イフ、思う存分、注ぎ込め』
『ああ! 豚よ! 豚らしく汚い苦鳴を上げながら、その生を後悔して死んでいきなさい!』
痛みによる、五重苦。
「グガァァァァァアアアアアア!!!」
『汚い悲鳴だな』
『はい。ですが、苦しめていると思うと興奮します』
うるさい声は、風属性魔術で隠蔽済み。
『おいおい、イフ。痛みが単調だぞ』
全く解ってねえな。
『旦那様……? 単調ですか?』
『そうだ、痛みってのは慣れるものだ。だから、違うパターンの痛みを注げ』
『はい! 試してみます』
刺す場所を変えてみたり、捌いてから回復してみたり、オーク・リーダーへの実験をしつつ、イフの殺戮衝動を満足させる。
『どうだったイフ』
『はいー、旦那様。イフはもっと苦しめられるように努力しますね』
『うん。頑張ってくれ』
『キュキュー(おにく)!?』
『心配するな。一番美味しそうなオーク・リーダーは実験ついでに絞めながら捌いたから、肉質は落ちてないぞ』
『キュー(やったー)!』
んじゃ、後始末と行きますかね。
遠くから隊商が通りそうだ、急いで……あれは。
『オークの集落。コイツらオークの、本陣か』
『ふふふ』『ははは』
イフの微笑みと、俺のニヤリが重なった。
『うわー、この人達めっちゃ怖いっス』
『そうですか? レッド様カッコいいですよ?』
『あっ、そうっスね。ユニ様そっち側なんスね』
『?』
ちなみに、馬のライト、ダークの2頭は襲ってきたオークを踏み潰しています。
同格のランク3なら、<レッドカード>の弱体化に、強化魔術てんこ盛りと、装備てんこ盛りなので、勝てます。
地属性と風属性の付与された蹄鉄付けてるので、オーク肉がぐしゃっ! です。
肉質が落ちてフォルトゥーナさんのうさみみが萎れました。




