第11話:冒険者ギルドでの騒動──など巻き起こさない
1日目:アルサの町:冒険者ギルド前
さてここか。
テンプレの巻き起こる地。
それが、冒険者ギルド。
何故冒険者ギルドが存在するか、色々と理由はある。だが、一言で解決しよう。
創造神のノリ!
創造神、なんて万能なんや。
それはそれとして、冒険者ギルドに出陣。現在は混む直前、といった時間具合。
そして俺は、新人として登録しようとしている。
つまり、時間がかかる。
美人な受付嬢を独占すれば、無用な騒動になりやすい。美人は避けよう。
あと、コワモテかつ隠れギルド長フラグも避けたい。
人間嫌いとはいっても、美醜感覚は普通にある。人外の方が好きなのは、人間が嫌いゆえ。
美しい方が良い! それは男として仕方ないじゃないか。巨乳とか、その辺も。
とはいえ、子供は俺は出来ないだろうがな。作るまではいけても。
冒険者ギルドの看板を潜り、中へ。
町の規模にしては、大きい建物だ。当然、中も広い。あと大きいのは、鑑定協会、貴族系宿、町の代官の屋敷。行政の建物。宗教関連かな。
併設された、簡易の酒場──テンプレだな──はまだ本格開店しては居ないようで、今日は早く戻ってきたのか、もしくは休業日なのか、数人の冒険者達が情報交換している。エル、聞いといてくれ。
エル:了。
さて……くっ、全員美人かっ! コワモテ系は0!
というか、人数少ないな。まだ忙しくないからか。レジを開けるのは特定の時間ってな。
男も居ない、か。
しゃあない。一番最初に目があったあの受付嬢にしよう。
「いらっしゃいませ。当冒険者ギルドへようこそ。本日のご用はなんでしょうか?」
テンプレ──正しい意味で──のセリフを聞きつつ、想定していたプロットを進める。
「今日は、冒険者ギルドへの登録に来ました。時間は大丈夫でしょうか? これから混むと聞いたのですが」
「はい。大丈夫です。ここでも登録の受付は出来ますが、別室で行いますか?」
「あっ、お願いできますか?」
「はい。まずは身分証の提示をお願いします」
「これです。持っていた身分証は来るときにモンスターに襲われて無くしてしまって」
「そうなんですか? 大丈夫でしたか?」
「ええ、撃退は出来たのですが、運悪く身分証を入れていた袋を飛ばされてしまいました。
倒したゴブリンの魔石は、買い取って貰えますか?」
「可能ですよ。登録が終わったら、一緒に処理しますね。では移動しましょう。すみません! 抜けますね!」
受付嬢に先導されて、別室へと移動する。
さて、これでイベントはどうなるかな。エル、警戒頼むぜ?
エル:了。予定通り、鑑定は強者を避け、強者だと思われる相手は、少しずつ情報を取得して行きます。また、受付嬢にギルドマスター、及び幹部と思われる人物は発見できませんでした。
──────────
視点:冒険者ギルド受付嬢
「これが鑑定書です。確認して貰えますか?」
今、私が受付している、新人未満の人は鑑定書を持参しているみたいだ。有りがたい。これが有るだけで、話はスムーズだ。
成人してから、受付嬢を始めて早3年──この世界の成人は大体15才程。
しかし一人前と見なされるのは、レベル20の壁に当たってから──色々な人を見てきましたけど、この赤い髪のレッドさん は接しやすい人のようです。
物腰は丁寧で、話もきちんと聞いてくれる。下品なことを言ってこないのも嬉しいです。慣れても嫌なものは嫌ですから。
「はい。確認させて頂きました」
鑑定書が有ると、この後作成するギルドカードに、スキルとして載せることが出来る。
鑑定書がないと、自称となるし、確認にも時間を取られる。
鑑定書の日付を見ると、今日だ。お金を貯めてから来たのかな?
成人してからに見えるし、そう言ってたけど。
「冒険者ギルドの冒険者は、ランクで格付けされています。ランクは10は有り、上から、SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gとなっています。
ランクは、ギルドへの貢献で上がり、ランクが上がると受けられる依頼の幅が増え、サービスの質も向上します。」
実質的に、Sが最高、みたいなところ有るけどね。
G:駆け出し
F:一人前
E:下級冒険者
D:中級冒険者
C:ベテラン冒険者(二つ名が付き出す)
B:上級冒険者(サービス向上及び義務発生)
A:一級冒険者
S:英雄冒険者
といった具合だ。D、Cはボリュームゾーン。Bから一気に少なくなる。
ランクの昇格には試験が有るが、Bからは待遇が良くなる代わりに、義務もあるし、厳しい試験となる。
義務とは、指名依頼が特に有名だろうか。断れない訳ではないが、基本的に断れない依頼だ。
重要だし、時には上級貴族、王族からの依頼もある。Bからは、特に冒険者への信頼が強い。
Sはもう、人類の切り札だろう。ユニークスキル持ちが当たり前の、凄い人たちだ。
SS以上は、歴史上に残る英傑、もしくは人外だ。本当に数が少なく、居ない年代もあるとか。
ここ最近の年代は当たり年なのか、少し多いと言う。
実際にここ、アルサの町が所属するヤエコーマ王国に1人、SSランクが所属している。
アルサの冒険者は、Bランクが2人居るのみ。
ここは平和だもの。モンスターも強いのは居ないし。
おっと、話が逸れた。やっぱり男の子なのか、SSランクとかの話は食い付いてたわね。
顔立ちも、少し女の子みたいだし、なんだか弟みたい。
「冒険者は、Gランクから始まりますが、鑑定書で戦闘系スキルの保持者はFランクから始められます。レッドさんはどうしますか?」
「そうですね……、Fランクからのデメリット、Gランクにするデメリットは有りますか?」
「敢えてGランクにする必要はないと思います。受けられるクエストも、雑事ばかりで、Gランクに居る人は、身分証目的や、狩人などが時折獲物を卸しに来るときに使う為の登録です。
Fランクから始める人は多いですし、特に目立つことはないと思いますよ」
「そうですか。ではFランクからでお願いします」
「はい、承りました。何かご質問は有りますか?」
「宿屋を何処にしようかと。門番の人から、風鷲の宿を紹介されたのですが」
「風鷲の宿ですか。確かに良い宿です。冒険者には割り引きも有ります。少し高めですが大丈夫ですか?」
「それならまだ問題ないです。安全を重視したいので」
やっぱりきちんと考えてるのね。偉いわー。見習ってほしいのがいっぱい居るわね。
「あと、モンスターの情報などを知りたいので、資料室を利用したいです」
「今日は時間も少ないので、明日ではどうですか?」
うんうん。情報収集は大事よ?
「新人研修も受けたいのですが、そちらの直近は何時ですか?」
「次の新人研修は明後日です。登録しておきますか?」
「はい。資料室も明日でお願いします」
「はい。承りました。ギルドカードも出来たようなので、お渡ししますね」
真っ黒い縁取りのギルドカードを渡す。
「ではこれに、血を一滴付けてくださいね?」
清潔な針を渡し、血を付ける。あっ、驚いてる!
「ふふ、その針はマジックアイテムで、刺し傷を治してくれるんです。使い捨てですが、便利ですよね」
「そうなんですか! 便利なアイテムですね。でも、先に言って欲しかったですよ?」
「すみません、ちょっと驚かせてみたくて」
「もう……、あっ」
ギルドカードが、Fランクを示す紫色の縁取りに変わる。
「登録完了です。レッドさん、貴方の登録を歓迎します」
「はい、ありがとうございます」
「では、諸々の手続きに、カウンターに向かいましょう」
「分かりました」
色が変わって驚いた顔も良い感じねー。
と落ち着いて考えられていたのも、ここまで。
「おい! ミーシャちゃんは何処にいんだよ! 今日は受付の筈だろう!」
あちゃー、何かしらね。
冒険者ギルドの受付嬢、元気印のミーシャさん(弟が2人、妹が1人)面倒見が良い性格で人気者。
人間ヲ嫌ウ者の偽装により、人当たりが良く好かれやすい人物像に。想像以上に効果が大きい模様。




