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百花宮のお掃除係~転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。  作者: 黒辺あゆみ
第十五章

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713話 噂の人に会いに行く

 まあ、そんな侍医事情はともかくとして。

 侍医から病名が付けられなかったミンのことを、皇后宮の同僚がどのように扱ったのかも容易に想像がつく。


 ――怠け者扱いをされたんだろうなぁ。


 「妙な言い訳をするな」だとか「嫌がらせをしているのだろう」だとでも言われたのであろう。前世でも不幸ながら、こういうすれ違いが少なくなかった。その末に医者不信どころか、人間不信に落ちるのだ。そんな敏を励ましてほしい、というのが野猫イェマオからのお願いであるが。面倒だと投げ出さない辺り、野猫も本当に彼女に懐いているのであろう。


 ――野猫が情に厚いっていう性格なのもあるか。


 なにせあの危ない穴を這って、毎日皇后に会いに行くくらいである。情の厚さに行動力まで備えている野猫は、一歩間違えば暴走娘だ。そんな紙一重な野猫の取り扱いは、今後の皇后の手腕に期待するとして。

 なんにせよ、後輩に頼られたとあっては、俄然張り切るのが雨妹である。


「まずは話をしてみないとね」

「そうか! 今なら敏さんがどこにいるのかわかるぞ」


雨妹ユイメイがそう言うと、野猫は早速案内しようと立ち上がり、洗濯物が入った籠を積んで持ち上げる。


「洗濯はもういいの?」


野猫の作業がキリ良くなるまで待っているつもりだった雨妹は、心配して尋ねる。これに野猫がふるふると首を横に振った。


「おう、今日しなきゃいけないのは終わっているし、これはついでの仕事だから、出来なきゃ明日するまでさぁ」


どうやら雨妹のことをかなり待っていたらしいと知れて、雨妹は内心で申し訳なく思いながら、濡れて重くなったであろう籠を一つ持ってやった。

 野猫は洗濯が終わった籠を干し場に置いて、未処理分は元の場所に戻してから、敏がいるという場所へと改めて向かう。さて、卓敏とはかつての自分の仕事に誇りのあるカチカチの頑固者なのか、はたまた不信を拗らせて人見知りを発症しているのか、雨妹は色々な姿を想像しながら野猫の後についていく。


 ――っていうか、その人の症状っていつからなんだろう?


 野猫が皇后宮に配属になったのは花の宴後であるらしいので、それ以前の事は当然知らないはずだ。なのでそこは本人に語ってもらわないと、話が進まない。さらには侍医が敏の病気に病名が付けられなかったのが、侍医が藪医者である疑惑はおいておくとしても、実は「専門違い」であった可能性もある。

 そんなことを考えながら進むと、野猫がとある部屋の前で立ち止まった。


「ここだ」


野猫がそう言って指差したのは、洗濯物が集まる部屋だという。敏はこの時間、ここで洗濯物の仕分けをしているのだそうだ。しくじって降格処分になったとはいえ、衣類の扱いに長けていることは確かなので、衣類の強度ごとに籠分けする作業に適している人物なのだろう。特に皇后宮ともなれば、宮女であっても下っ端から女官一歩手前までの位ごとにお仕着せも違うので、扱いが難しいはずだ。

 野猫が部屋の戸を開ければ、その中は衣類の山に埋め尽くされていた。


「うわっ、すごい量……!」


雨妹はこの量に圧倒される。しかし偉い人たちは時間ごとやら状況ごとに着替えるというので、皇后宮では下っ端宮女であっても、一枚のお仕着せを一日着っぱなしというわけにはいかないのかもしれない。

 そしてその洗濯物の山に紛れるようにして、座っている女性がいる。


「敏さん!」


野猫が呼べば、その女性が衣類の山の隙間からこちらを見た。どうやら彼女が卓敏であるようで、野猫をじとりと睨む。


「これ、まず部屋に入る際の挨拶であろう」


そしてぴしゃりとお叱りが入り、野猫の背筋がピンと伸びた。


「失礼します、入ります!」


仕切り直すように大きな声で挨拶をした野猫に、敏は「まあいいでしょう」と頷く。

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― 新着の感想 ―
>情の厚さに行動力まで備えている野猫は、一歩間違えば暴走娘だ。 野猫の事を述べている様でありながら、実際には自己紹介してる様に見えてしまうのは何故なのだろうかw
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