第八章、寂れ行く街2
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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次の日。
春菜が営業や、お得意さんの所に用事で出向く時は、賢パパが乗っていた、
大きな高級外車で出向く。
やはり良子の配慮で、春菜には安全面を考えて、乗る様に与えていた。
春菜は保々フリーで、何時でも外出する事が出来た。
幹部からの電話も滅多に来なかったので、何をしていても、怒られる事は無かった。
昔から、がめつい洋子では有ったが、現代に戻れば娘の様な存在で、
外出する時は、決まって小遣いをくれた。
今日は行き付けの、街のおしゃれなカフェテラスで、小幡とお茶をしていた。
春菜はカプチーノを飲み、小幡はコーヒーを飲んでいた。
小幡、「ヤレヤレだね、直子はともかく、街はゴーストタウン化から、
改善が出来ない状況とは」。
春菜、「一見繁盛してる様に見える店でも、半額期間中だったり、
通常料金時では閑古鳥です」。
小幡、「未来人の恩恵を受けた者は、悠々自適だが、
信じなかったあの会社以外の知り合いは、今酷い目に遭ってるよ」。
春菜、「これから..、どうなるんだろう」と、呟く春菜の表情が、切なく見えた小幡だった。
小幡、「タイムドアーに頼りたいが、あの扉は現代から過去しか、
降りられないらしい」。
春菜、「逆に未来でドアーが開いて、未来人が降りて来ないかな..」。
小幡、「確かにね!、でも未来は絶望の極地で、この世が有るかどうか..」。
そして二人は同時に、溜息を付いた。
小幡、「直子、春菜に香織の事を、何か言って無かったかい?」。
春菜、「逆に私が聞いてしまったの、直子さんに『杉浦君はどう思っていたの』と、」。
小幡、「春菜が未来に戻ってから、香織はそっと杉浦に近づいて行ったが、
春菜の事を忘れられない杉浦は、しばらく香織を避けていたみたいだったよ。
数年付き合って別れた香織よりも、たった2ヶ月の間の春菜の方が、思い出に残り、
現実逃避していた杉浦だったよ」。
春菜、「今思い出すの、杉浦君は私が小さい頃から側に居たの。
何時も側に居て、私と一緒に星を眺めていた。
幼い頃、山に父とこもっては、観測仲間として..、見知らぬ観測好きの叔父さんだった」。
小幡、「切ないよな、知らなかった春菜の方が..」。
春菜、「一番切ないのは、叔母さんだと思う..」。
小幡、「たった一度の過ちが、杉浦と香織の関係を引き離し、香織は春菜を見て、
杉浦の大切さを知る事になる」。
春菜、「ずっと昔から、私を見ていたんだ、叔母さんは..」。
小幡、「今となっては、可愛く思ってるさ!、春菜の事を..」。
そんな会話で午後のひと時を、過ごしたのであった。
帰り際レジの所で、春菜の携帯が鳴った。
ポケットから携帯を出して、着信名を見ると洋子からだった。
電話の着信ボタンを押して、耳に宛てて話し出す春菜。
「もしもし、うん、幾つ?、4個ね買って直ぐ持って行くね!、はい」。
小幡はレジでおつりを貰い、「洋子さんだろ!」。
春菜、「分かります?」。
小幡、「あんまん買って来い!と言う、指令だねアハハハ」。
春菜、「アタリ!」。
小幡、「好きだね~、何時まで経っても..」。
そう言って小幡と別れて、車でコンビニに向かった。
春菜は洋子とは別に、良子と圭子に軽くおやつを買って、レジであんまん四つ頼んでいた。
すると後ろから、「春なぁ~、春菜ぁ~」と、か細い声で誰かに呼ばれた。
ふと後ろに振り向くと、杖を付いた老人が立っていた。
老人、「春菜、ワシじゃ!」。
春菜は驚いて、「そ..その声は..、部長!」。
部長、「おぉ!、気が付いたか!、久しぶりじゃのぉ」。
この老人、春菜がタイムスリップした時に、働いていた文房具の問屋の部長で、
あの地下倉庫で直子と、ブッチューしていた本人だった。
すると春菜は、慌ててレジでお金を払い、「部長!、生きていたんですね!」。
部長、「もうとっくの昔に、部長ではないが、なんとか息はしておるぞ!。
お前が生まれてから今まで、ちょくちょくワシの前を通り過ぎて行ったがの!」。
春菜、「なんで今まで、声を掛けてくれなかったのですか#!」。
部長、「お前、何時からワシの事を知る様になるか、分からんかったから、
ぼちぼち気づくかと思ってのぉ、今声を掛けてみたのじゃ」。
春菜、「部長三年遅いです!。
それよりも、大変な事が起きたのです!」。
部長、「もうこの世の中、大変な事だらけで、大抵な事では驚きはせんよ!」。
春菜、「失踪したと思われた、小島 直子さんが、
私が出て来たタイムドアーから、出て来たのです」。
部長、「小島 直子?、あ~!あのHなオッパイがでかい女かのぉ?」。
春菜、「部長が地下倉庫で、その直子さんとチューしてる日に、
タイムスリップして、この現代にやって来たのです」。
部長、「わしとチューしてた?、そんな事も有ったか忘れた」。
春菜、「そんなのんきな事、言ってる場合では無いのです!」。
部長、「その直子は、今何処に居るのじゃ?」。
春菜、「柿本クリエイトの、オフィスです!」。
部長、「失踪したままの若さでか?」。
春菜、「そうです!」。
部長、「一度見てみたいのぉ、冥土の土産に」。
春菜、「まだまだ生きれそうですけど..、なら私とオフィス来てくれませんか?」。
部長、「それは良いが、お前以前に比べて落ち着いたのぉ!、
タイムスリップして来た時には、高校生を働かせて、
お咎めが有るのでは無いかと、はらはらしていたが..」。
春菜、「昔から私は、親譲りで童顔なんです#!」。
部長、「それで春菜、歳は今幾つじゃ?、22歳くらいか?」。
春菜、「28に成り立てです#!」。
部長、「相変わらず、春菜は老いなくて羨ましい!」。
そんな話で一路、会社に戻った。
会社に着くと、春菜は車から降りて、助手席のドアを開け、
部長の手助けをしようとすると、部長は、「余計な事せんでもいい#!、
車くらい一人で降りれる」と、拒んだ。
部長、「しかし春菜、良い車に乗っておるのぉ!。
あの頃は会社まで、バス通いじゃったのに!」。
春菜、「それは大槻 良子さんに、言って下さい」。
そして二人は、階段を登り社内に入った。
フロアーに入ると、三人集は誰だか気が付かなかった。
すると直子が臭いを嗅いで、「部長でしょ!」。
三人集は、「へぇ~~!!」、当然驚いた。
良子、「お久ぶりです..お元気そうで!」と、答えると、
春菜は椅子を引いて、部長を座らせた。
部長は直子を見て、「これか!大変な女が来たとは..」。
春菜、「見覚え有りますよね..」と、不安そうに答えた。
部長、「やたら人の体を嗅ぐ女じゃったのぉ!、
ワシの臭い気に入られて、地下倉庫に呼び出し食らって、いきなりチューじゃよ!」。
皆さん呆れて物が言えなかった。
春菜、「普通逆なんだけどね..」。
するとここへ、春実がやって来た。
春実、「あら、今日は過去から、仙人がやって来たのかのぉ!」。
春菜、「お姉ちゃん、しゃべり方が同じ!」。
春実、「は?」。
圭子、「部長とブチューの、部長さんよ!」。
春実、「御対面ぇ~ん!で、あるのか!」。
洋子、「これも何かの縁だねぇ」。
圭子、「どこで見つけたのよ?」。
春菜は頼まれたあんまんの袋を、洋子に渡して、
春菜、「コンビニで声を掛けられたの」。
洋子はあんまんを頂きながら、「しかし部長、長生きね~」。
部長、「恩歳91じゃ!、ワシもここまで生きれるとは、思わんかったでのぉ」。
春実、「春菜、この婆ども100まで行くかも知れんのぉ!、
早く召されん事には、二人でのんびり暮らせんよのぉ、あの城売り捌いて..」。
良子、「誰が売り捌けと言ったのよぉ#!」。
春実、「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、強姦御殿が!」。
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良子、「.....」。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。