一話 「退屈な世界からの離別」
記念すべき初投稿…?
じゃないですけど。でも、一応初投稿という体で。
ちなみに、あまり長くは書きません。その分ペースは早めに出していきたいと思うので、よろしくお願いします。
———その日は、春にしては比較的暖かい日だった。
関口智成、高校2年生。最も、彼は不登校となっているのだが。
彼が不登校になった理由は、特にない。
ただ、彼は既に飽き飽きしてしまっていたのだ。
この『退屈な世界』に。
そうして彼はベッドへと向かうと、ささやかな祈りと共に眠りについた。
『次起きたら、そこは異世界でありますように』と。
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「———無事に召喚が成功しました、王よ」
「おお、これが異界の勇者か!」
意識が鮮明としていく。
何だよ、俺の眠りを邪魔しやがって———と心の中で悪態をついた、その時。
彼は、今自分がいる場所、光景に理解ができなかった。
途方もない程に広い部屋に、これまた途方もない程高い天井。
床にはかなり大きい魔法陣のようなものが描かれており、何らかの儀式のようなものが行われたのだと推測させられる。
室内は金色の塗装が施されており、この部屋の主人の裕福さが見て取れた。
異世界、しかも王城だ——と、今までの(アニメ三昧)生活で養われた勘は一瞬でそう判断したが、自分の中の「常識」はなかなかそれを認めなかった。
異世界なんてあるはずもない。そんなはずだった。それなのに——
彼は立ち上がると、改めて辺りを見回した。すると、人影があることに気がつく。
なぜあんな遠い所に?
——そりゃまあ、こんな大規模の魔法陣に巻き込まれりゃ大変なことになるわな。
そうして自問自答(半分現実逃避のようなものだが)すると、彼らはすぐそばまで移動してきていた。
「お初にお目にかかります、異界の勇者様。さぞ混乱されている事でしょう。」と、いかにも側近っぽい人。
「ここはクーティオケ王国の王城。そして我こそがこの王国の王、リーキ3世である。」
そして彼らは「別室で話そう」と、俺を別室まで案内した。
正直な話、意外と対応がサバサバしているな、と感じた。
だが、そんなことはどうでもいいのだ。
俺は正真正銘、『勇者』になったのだから。
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俺は応接室へと案内された。
メイドさんがお茶を運んでくる。自然と胸元に目が行く。
……まあ、普通くらいがちょうどいいよな。
お茶を口に運ぶ。少ししつこいような味わいが口の中に広がった。
その後、俺はこの世界について色々話を聞かされた。
…長いので要約すると、「この世界が魔王によって侵略されそうなので、勇者である俺に倒して欲しい」ということだった。
…しかし、問題点が一つあった。
「…え?予算の確保が難しい?」
「そうなのだ。我が国は魔王との戦いに大幅な費用を費やしておる。しかし、それでも防衛程度にしかならんのだ。」
俺は難しい顔をした。当初は、大量の資金を用いて最強装備を買い、最強のスキルで魔王を倒そう、といった計画だったのだが、それほどの予算が出せないともなれば、最強装備は用意が難しいだろう。
…というか、今の俺は手ぶらだ。無論、武器など持ってはいない。まさかとは思うが…
「…一才金を出さない、という訳では…?」
「まさかそんなわけがあるまい。少ないとはいえ、一応金貨100枚程度の用意はある。」
よかった、と俺は安堵した。詳細な価値はわからないが、きっと日本円で1万から10万くらいはするだろう。
最強ではなくても、ある程度の金稼ぎには十分な性能の装備は手に入るだろう。
王は続けて、「さらに、お前には仲間もつけてやろう。さあ、入ってこい」と言った。
戸が開く。そして、入ってきた仲間たちを見た俺は、心の中で歓喜した。
「では、三人にそれぞれ自己紹介をしてもらおうか」
「初めまして!私、アンって言います!よろしくお願いします!」
巨乳美女である。所々の露出がまたいい!…これで何日いけるのだろうか。
「初めまして。私はサーシャ。勇者様、お会いできて光栄です」
これまた安定の巨乳美女である。こちらの方が少し大きいだろうか。
「は、初めまして…えっと、エナ、です…よ、よろしくお願いします!」
小柄で平坦でそれでいて可愛い、猫を思い出させるような体型である。
皆、俺のタイプである。現実的に見ても、これくらいの方が食費も持つだろう。
…ツンデレがいないのは少し寂しいが…まあ、これ以上は高望みだろう。
「俺はトモナリだ、これからよろしく。」
これから彼女らが俺の仲間になり、そして共に魔王を倒すのだと想像すると、ワクワクが止まらない。
「勇者様、準備が整いましたので、こちらへどうぞ」
どうやらメイドさんが案内してくれるようだ。
「私は3人と話を少しするから、先に言っておいてくれ。」
「分かりました、では失礼します。」
そうしてお茶を飲み干し、席を立つと、俺は一礼し、部屋を後にした。
メイドさんの案内で、俺は準備がしてある部屋に向かう。
準備の内容は分からないが、きっとスキルかなんかの測定だろう。
俺は測定の結果を楽しみに、歩みを進めるのであった。
勇者が去った後の、応接室。
「…では3人共、どうか彼を頼んだぞ
彼は我が国の希望の光であることには変わりはないのだからな。」
「ハハハ、まあ結局ウチらは金さえもらえればいいんで〜」
「またいいお値段で、お願いしますよ?」
「え、えっと…頑張り…ます?」
「ちょっとエナ〜何言ってんの、適当でいいのよ?」
「で、でもお仕事なので…」
「そっか、エナはこの仕事初めて?」
「はい…そうです…けど」
「最初に言っておくけど、ボロは出さないようにね。過度なフォローもあまり良くない。」
「つまり…?」
「アンの言った通り、適当でいいのよ。それが最善。」
「さすがサーちゃん、経験者は違うね〜」
「アンだって経験者でしょ?」
「…お話についていけない…」
「そうじゃ、折角じゃし、ウチのエドとまた一緒に、送別の意もこめて、どうじゃ?」
「いいですね〜私参加で!サーちゃんは?」
「私も折角だし、参加しようかしら」
「…あの…何をされるんですか?」
「………えっと…その…」
「…いや、分からないならいいのよ」
「え…で、でも、知りたいです!何をするんですか!」
「…あーあ、なんか純粋だった頃思い出すわ〜」
「…アンに純粋な頃なんてあったんですか?」
「ないけど?」
二人の笑い声が廊下に響く。