二話「旅立ち」
眠い…眠すぎる…
俺は王からいくらかの金を受け取った。
王は、「今日はここで休んではどうか」と提案した。
別に断る理由もないし、できるだけ金は節約しておきたかったので、俺はその提案を二つ返事で受け入れた。
俺の仲間は別室にて寝るらしい。それはそれで安心した。俺自身、まだ対人関係については少し不安が残っていた。
食事についてはいいものが出た。あの時食べた料理の味は忘れられない。
何ヶ月もの間、コンビニ弁当やカップ麺など簡単なものしか食べていなかった俺には、まさにご馳走のように感じた。
……結局、食べすぎて苦しくなり、結局風呂も入らずにベッドに横たわる羽目になったのだが。
そうすると、眠気が襲ってくる。食ったら眠くなる、当たり前のことだ。
そのまま俺は、深い眠りへと堕ちていった———
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『うわ…アイツ来たぞ…』
『こっち睨んでる…こっわ…』
うるさい。
黙れ。
違う。
俺は違うんだ。
そうじゃない。
そうじゃないんだ。
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「…!」
また『あの夢』か…
そう思っていると、横にあった何か温かいものに触れる。
「…何じゃこりゃ…」
瞼を擦りながら横を見ると、そこには——
「ん…あ、お、おはようございます…」
エナがいた。
正直に言わなくても、ビックリである。
「確か…お前らは他の部屋で寝るんじゃ…?」
「一人だと…寂しくて…」
なんとなく、祖母の飼い猫のシロを連想させるような雰囲気。
…まあ、俺は猫というより犬派なのだが、
それはまあどうでもいい。
もちろん俺には「添い寝」なんて経験、親族以外にない。
どうすればいいんだろうか?普通にただ一緒に寝ているだけでいいのか?いや…もしくは…
そんなことを考えているうちに、エナは勝手に二度寝していた。
——ま、どうでもいいか。
少し窓の外が明るかった気もするが…まあ、気のせいだろう。
俺もベットに入り、二度寝をする。
…まあ、案の定、アンとサーシャが一時間後くらいに俺らを叩き起こしに来た。
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そうしていよいよ、儀式が始まった。
「皆の衆、よく聞くのだ。
今、我々は魔族との戦いに尽力している。
しかしその成果も出ず、魔物らは我が国民を虐殺し続けている。
だが、案ずるでない!勇者である彼が、きっと魔王を打ち滅ぼし、我が王国に栄光をもたらすであろう!」
王がそういうと、国民は一気に盛り上がった。
彼らの大切な家族を殺した魔族。俺は彼ら全員の仇を討つのだ、これだけの人々が俺に期待しているんだと実感し、俺は手に力を込める。
王は城の門の前まで俺を見送りに来てくれた。
「それでは4人共、無事に魔王を倒してきてくれることを期待するぞ」
「任せてくれ!」
俺は頼もしく返事をすると、3人と共に歩みを進めた。
魔王討伐の旅の、そのスタートラインが、ようやく切られたのである。




